金子、平井、関根が優勝!チームは6位/日本学生選手権

2012.09.10
 もう一歩のレースが続いた。戦前から「大会初日にチームの流れをつくることが大事」と部員が口をそろえていた明大。悲願の総合優勝に向けて、どうにか勢いとなる一発が欲しかった。ところが、表彰台が期待されていた平泳ぎのエース金子貴宏(理工4=春日部共栄)は100mでは後半伸び切れずに5位。200m背泳ぎを予選3位で通過した矢澤隼人(政経2=市立橘)も決勝ではタイムを落とし6位でフィニッシュ。予選で出した自己ベストには手応えを得たものの「表彰台を狙い過ぎて力んでしまった」と決勝のレースを振り返った。
 そんな中、初日最終種目の400mリレーでは背泳ぎを専門とする工藤優介(政経1=桐光学園)がメンバー入り。専門外ながらもタフな泳ぎで健闘し、チームは昨年同様6位入賞。得点配分が大きいリレー種目で貴重な26点を獲得した。
 得点を取るべき人が取れていない。初日は明大にとって不発の1日に。総合優勝を目標とするチームには痛すぎる総合7位で終えた。

 気持ちを切り替え臨んだ2日目。さっそく女子200m自由形で関根理沙(営1=神奈川総合)が決めた。前半から積極的に攻めるレースを展開した決勝。ラスト15mまで3人で横並びのトップ争いを繰り広げた。最後は橋口(鹿屋体大)、そして同世代のライバルである高野(同大)に先着を許したものの、不調の中で結果を残した関根。レース後、表彰台では満面の笑みを見せ「こうしてもう一度笑えたのも、チームや支えてくれた人みんなのおかげ」と感謝の気持ちも忘れなかった。
 その後は関根のメダルを機に明大に流れが来た。100mバタフライB決勝では元井健吾(法4=春日部共栄)が4年生の意地を見せつけ、自己ベストの2位。前半からハイペースで突っ込んだが、最後までピッチが落ちることはなかった。タッチしてタイムを確認すると、うれしさ溢れるガッツポーズ。予選より0.5秒タイムを上げ、勝負強さを発揮した。また、200m個人メドレーでも伊与部嵩(商4=湘南工科大付)が3位入賞。堀畑(日体大)、森(法大)といったメドレーを代表する選手を相手に、背泳ぎを専門とする伊与部がタッチ差の勝負まで持ち込んだ。

 最高潮のボルテージで迎えた最終種目のメドレーリレー。一泳の工藤から受け継いだ平泳ぎの金子は力強いストロークで前を追った。三泳バタフライの元井が持ち前のスピードで順位を上げると、アンカー益田浩平主将(商4=淑徳巣鴨)が最後まで粘り5位でフィニッシュ。先着した法大の引継ぎ失敗により4位入賞を果たした。このレースが現役引退レースとなった元井。プールから上がると「今日ほど楽しくレースができた日はない」と弾ける笑顔を見せた。アンカーを務めた益田主将も「メダルを取れなかった悔しさはあるが、このメンバーで最高のレースができた」と納得の様子。
 ここにきてようやく4年生の本来の力が垣間見えた2日目であった。

 レース最終日。この日、明大を勢いづかせたのは黄金ルーキーの活躍だった。1500m自由形決勝で同種目短水路の日本記録保持者である平井彬嗣(政経1=市立船橋)が中盤からトップに躍り出る。そのまま他選手の追随を許さずに優勝を果たし「このレースは山本さん(鹿屋体大)に勝てれば良かった。

 あとは誰に負けてもいいって男らしく腹をくくった」と興奮冷めやらぬ様子で語った。また女子100m自由形決勝では関根が「前半から飛ばして、持ち味の後半を頑張りたい」と有言実行のレースを展開し優勝。負けじと同期の住吉茉莉(情コミ1=成田)も大健闘し準優勝を果たす。「住吉と絶対ワンツーフィニッシュしようと話していた」と関根。レース後には2人でハイタッチし、喜びを爆発させた。ルーキーたちの活躍に、今大会で引退の4年生も触発される。200m平泳ぎの金子は、前半から2位につけ先頭集団を引っ張る。そこからラスト50mでスパートをかけ接戦を制し見事優勝。インカレ4年目にして、初の優勝に「タイムは残念だけど、優勝できて本当にうれしい」と目には涙をにじませ、喜んだ。

 今年の総合順位は昨年より2つ順位を落とし6位。悔しい結果に終わったが、ルーキーの活躍など来年が楽しみになる内容だった。これで4年生は引退となり、新チームとして始動する。2、3年生は4年生の跡を引き継ぎ来年のインカレに向け引っ張っていってくれるに違いない。悲願の日本一へ。明大水泳部がまた新たな一歩を踏み出した。

[阿部慎・奥村佑史]