(1)ルーキー特集
①野原啓(法1=美方)
ボートを始めたのは中学から。最初は入部する気はなかったが、先生に誘われて入部した。しかし入部したのは強豪チームで、練習はかなりのスパルタ。朝5時に起きて練習、昼も夕方も練習に明け暮れ、ボートに乗らない日はなかった。そんな毎日の生活はつらかったが、それでも続けられたのは、仲間の存在が大きかったという。「毎日の練習の大変さや、互いにこぎ方について、もっと早く進めようとか話し合ったり、刺激を受けた」と語る。
中学時代で特に思い出に残っているのは、男子舵手付きクォドルプルで出場し、優勝を勝ち取った全中だ。試合の感想は「つら過ぎて、気付いたら終わっていた」。しかし勝った瞬間、それまでのつらい練習を続けて良かったと思えたという。
中学で輝かしい成績を収めた野原だが、高校でもボートをやろうと思ったきっかけは意外にも「近所の仲のいい友達がやり始めたから」だという。生活態度からしっかりすることを求められた中学のボート部とは対照的に、高校のボート部には解放感があった。人として当たり前のことを当たり前にする、という監督の指導方針の下、部の雰囲気は自由で、みんな仲が良かった。学校の授業が始まる前の朝6時からの朝練、授業が終わってからも練習。毎日ボートに乗っていた、と当時を振り返る。
そして迎えたインターハイでは、男子ダブルスカルで出場するも、準々決勝で敗退。野原の中に、次は絶対勝ってやる、という気持ちが芽生える。この頃は大学でボートを続けるつもりはかったが、インターハイの終わりに監督に誘われ、続けることを決意。周囲の仲間が大学でもボートを続けるつもりであったこともきっかけの一つだ。明大端艇部を選んだ理由は、「有名で高校時代から知っていたこと、たくさんの人と知り合ってもっと人生良くなるかな、と思って」と、ボート以外にも要因があったようだ。
入部してみて感じるのは、明大端艇部は仲が良く、温かい空気があるということだ。慣れない寮生活はつらいが、いい人たちが周りにいてくれるので、いつでも相談できるのが良いところ、と早くも仲間との信頼関係を築いている。しかし、高校と大学のレベルの差や周囲との実力の差も感じるという。大学のボートは距離が伸びる。体力面や技術面、精神面でも自分はまだまだ、とこれからの成長に意欲を見せた。
「インカレに向けて、みんなが共通の意識を持っている」と、インカレに向けた部の雰囲気の高まりを感じているようだ。彼がボート部の将来を担う未来も近いだろう。
①冨田千愛(政経1=米子東)
1年生ながら現在エルゴの成績は部内一。また、先日の東日本インカレでは、クルーリーダーとして女子舵手付きクォドルプルを優勝へ導いた。そんな実績を持つ冨田だが、ボートを始めたのは高校に入学してから。小・中学時代はバスケ部に所属していた。しかし「チームでうまく動けなくて。高校では新しいことをしてみたかった」という。ボート部の体験で「水面を走るのが面白かった。こんなスポーツあったのかと思って」と、ボートの楽しさに気付き、さらに同じ高校のボート部に所属していた姉の影響もあって、ボート部への入部を決意した。
入部してからは、朝は6時半から、授業後も夕方6時まで練習の日々が待っていた。帰宅時間は夜の8時。毎日15kmの距離をこがされ、夕方の練習では真っ暗で周りもよく分からないまま漕いでいたという。
高2のインターハイでは舵手付きクォドルプルで4位の成績を収めた。クルーは1年生の時に1年生だけで組んだ4人乗りだ。インターハイ出場を目指し、冬の間に練習を積むと、2年の春には努力が結果となって表れる。大会では周りは上級生ばかりだったが、今度はインターハイで結果を残したいと強く思うようになったという。そして迎えたインターハイでは、全員が2年生のクルーで4位という結果に手応えをつかんだ。「次のインターハイでは優勝したいと思った」。3年でのさらなる活躍が約束されたかのように思われた。
しかし、3年生のインターハイでは準決勝敗退。震災の影響で全日本選抜がなくなり、モチベーションを上げるのに苦労したという。しかし「条件はどの学校の選手も同じ。去年より上に行けるのが当たり前と、みんなが思っていたところがあった」と振り返る。その後は悔しさをバネに、とにかく自分を追い込む練習を開始する。冨田曰く「3年間で一番つらかった」。その苦しみが報われ、国体では見事7位入賞を果たした。
ボートを続けようと思ったのは、ボートから得たものが多かったから、そして日本一を経験できずに悔しい思いをしたので、もっと上のレベルのところで一から学びたかったから。明大端艇部の角久仁夫監督が高校のOBだったことから、誘いの声が掛かった。「日本代表のいる早大に力を合わせて勝っているのに引かれた」と、昨年のインカレで明大の付きクォドが早大の連覇を止めるのを見てかっこいいと思ったことも明大を選んだ理由の一つだ。 明大端艇部に入部して変わったことは、練習メニューから自分で決めること。「それぞれが伸びるためには、受け身ではいられない」と語る。また、部員の技術や、自分で考える姿勢にも影響を受けたという。「今まではボートの知識が大まかだったと思う。これからは考えながら、細かいところまで意識していきたい」。
インカレには、ダブルスカルで出場する。「インカレは初めてで緊張するけど、先輩を負けさせる訳にはいかない。チームの優勝に貢献できるように細かいところまで考えてこぎたい。体力と技術を付けていきたいですね」とあくまで謙虚な姿勢で、より上を目指す冨田。
彼女がインカレで活躍するのは間違いなさそうだ。
関連記事
RELATED ENTRIES