水谷(隼)まさかの敗戦、連覇途絶える/全日本選手権
圧倒的な強さだった。スーパーシードで4回戦から登場の水谷(隼)は、準決勝までの試合は全て圧勝。これが、世界トップクラスの実力だと言わんばかりに強さを見せつけた。しかし、日本代表の張(東京アート)、松平(健・早大)と強豪をやぶり勢いに乗る吉村との決勝はそうはいかなかった。互いに2ゲームを取り合うと5ゲーム目も勢いづく吉村に奪われ、後がない状態に追い込まれてしまう。6ゲーム目、吉村の両ハンドの勢いはとどまることなく上がっていく。自分の思い通りのプレーができない水谷(隼)が思わず天を見上げた。しかし、ここから打球点の早い攻撃で流れを引き寄せると、全日本王者の意地で6ゲーム目を奪う。最終ゲーム、互いに一歩も譲らない展開が続くと、7-7、まさかの吉村のサーブミスから連続で得点すると最終ゲームで初めてのリードを奪った。さらに続く水谷(隼)のサーブでサービスエースを決めると、チャンピオンシップポイント掴む。誰もが確信した、やはり水谷(隼)が勝つ、6連覇を決めると。しかし、この場面で吉村が仕掛ける。決勝の試合で使ったことのないサーブをここで出してきた。「普通にサーブを出しても厳しいレシーブがかえってくるだけ、少しでもチャンスを作らなくてはと思い、自然と出た」(吉村)。このサーブから流れは一気に吉村へ。途中でタイムアウト(試合中に一度だけ取ることのできるタイム)を取ったが流れを変えることはできず、吉村に5連続得点を許し全日本選手権6連覇を達成することはできなかった。
試合終了後、思わず下を向いた。かなうことのなかった6連覇。その悔しさは計り知れない。ベンチに戻るときは唇をかみしめ涙をこらえていたが、ベンチに座った瞬間頭を抱え込み男泣き。数々のタイトルを奪ってきた左手からはラケットがこぼれ落ちた。
今年で明大を卒業する水谷(隼)。1年間明大を主将として率い見事グランドスラム(春季秋季リーグ戦・インカレの3連覇をはたすこと)を達成し、常勝明治の復興に大きく貢献した。明大に入学し得た仲間や経験は、これからの日本の絶対的エース・水谷(隼)にとってかけがいのないものになる。
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