意識したのは「球際」。終わってみれば3得点で仙台大に勝利/全日本大学選手権

2011.12.25
 この冬一番の冷え込みとなったこの日、インカレの第2回戦が行われた。本学は東北代表の仙台大と対戦。90分で決着がつかずに延長戦までもつれ込むも丸山(法4)のフリーキックにより先制し、その後2点を追加した本学が準決勝へと駒を進めた。

 本学のキックオフで始まった前半、この日吹いていた強風の影響もあり互いにボールがなかなかつながらない状態が続く。それでも本学はいつものように前線からのプレスをかけ、相手FW奥坐に仕事をさせない。するとゴール前三田(政経3)からのスルーパスを受けた阪野(商3)が倒され、絶好の位置でフリーキックのチャンスを迎える。これを丸山が蹴るも、壁に当たってGKがキャッチ。32分にはコーナーキックから丸山が頭で合わせるもGKのファインセーブにあってしまう。仙台大の堅守に苦しめられていると、逆に終了間際、仙台大に立て続けに攻められてしまう。それでも最後は高木(文4)がしっかりとキャッチ。スコアレスのまま前半を折り返す。

 後半になると風向きに味方されなかったこともあり、度々ピンチを招いてしまう。それでも丸山を中心にした守備陣が体を張って対応し、点を与えない。本学は28分に阪野がシュート。35分にはまたも駆け上がった阪野が、走りこんだ石原(政経1)にマイナスのパスを送るも石原のシュートは枠を捉えきれない。そのまま90分が終了し、運命は延長戦へと委ねられた。
 延長前半が始まる前、選手、監督、コーチとチーム全員で円陣を組み、勝利への思いを再確認した本学。立ち上がりは相手のプレッシャーの速さもあり、パスミスが目立ってしまう。ここまでの均衡が破られたのは8分、三田が倒されフリーキックを獲得したときだ。これを丸山が慎重にセットすると、「ここで負けられない」という思いを込めて蹴ったボールは巻いてゴールの右端に突き刺さった。喜びを爆発させた丸山はベンチへと一目散。明大ベンチは歓喜に包まれた。この1点で流れをつかんだ本学は延長後半になると完全に主導権を握る。開始2分に左サイドを駆け上がった小川(営2)のクロスをゴール前、「センタリングが高かったから」と頭で落とした野間(商2)が梅内(政経2)にパス。これを梅内が決め、2-0と突き放す。終了間際には相手DFのマークを振り切ってクロスを上げた石原のボールに合わせた阪野がダメ押しとなるゴールを挙げ、そのまま3点を奪った本学が勝利した。

 昨年度、2回戦で高知大に敗れた原因の「球際」を意識して臨んだ本学。最後まで足を止めることなく仙台大ゴールに襲い掛かり、「勝ちたい」という気持ちを見事プレーで表現した結果の表れであった。次の相手は同じ関東リーグに属し、本学がリーグ戦で2敗を喫している慶大。それでもリーグ戦を通じて成長した選手がどこまでやれるのか、その意味では本学サッカーの真価が問われる1戦になるだろう。

☆試合後のコメント☆
・神川監督
「(後半に)楠木(営4)がゴール前でクリアしたときは目をつぶったが、あの場面以外はあまり荒れていない。昨年の準決勝の高知大戦の敗因が球際だった。相手のほうが明治に勝ちたいという気持ちを持って臨んでいた。それにうちは根負けしてしまった。だから今日は試合前に『絶対球際で負けるな。0分からやれ。上のラウンドに行きたいのであれば、その思いは球際で表現しよう』という話をした。それだけしか言っていないと言ってもいいくらい。最後まで足も止まらなくて素晴しかったと思う。仙台大も本当に素晴しいチームで、よく勝てたなという思い。前期から考えると選手たちは本当に成長してくれた。短期間でも選手が思いを一つにすれば急激に成長することもある、これが大学サッカー。近畿大学、仙台大学と素晴しいチームに勝たせて頂いたわけだから、そういうチームの思い、関東代表としても思い、そして明治としてのサッカーを西が丘でしっかり表現したい。彼らには全力で戦ってもらって、僕はそれを応援したいと思っている」。

・宮阪主将(文4)
「前回同様無失点で勝てて良かった。試合前に延長戦になることも想定していたので90分が0-0で終わっても焦りはなかった。延長戦はいい形で先制点が取れ、いい流れができ最終的には3-0と快勝だった。90分過ぎて延長戦になったときはPK戦もあるかもと思ったが高木はPKが得意なので総理大臣杯ではPK戦で敗れたけど、心配はなかった。次の敵はもっと強いのでまずは90分間しっかりと戦い、優勝を目指す」。

・高木
「色々ピッチコンディションも風の影響もあったけど、0点に抑えてうまくいったと思う。それでチャンスで決められて流れが良くなった。攻められてても緊迫したトーナメントではこういう場面もある。その時にどう耐えるかで変わってくる。そういうのはうちはできる。シュートミスにも助けられた。チームは全然調子悪くないしむしろいい。自信持ってた。部員の応援も力になってる。チーム一丸をすごい意識してた。それはいつもやってることで周りもサポートしてくれるしあとは勝つことで完結する。準決勝は自分たちの戦い方をやるだけ。そうすれば絶対いい結果になる。今日みたいに延長いっても勝負つけられる力はある。とりあえずこれまで無失点できてるのでそれを貫ければと思ってる」。

・丸山
「(貴重な先制点でしたが)セットプレーから取れたので良かったのかなと思ってるし、PK戦までいっても勝てると思っていた。気楽に楽しみながらやっていたし、三田があそこで上手く倒れてくれたので気持ちを込めて蹴った。(ボールをセットするとき祈ってましたが)あれは自分にプレッシャーを掛けてて、入らないと負けちゃうぞみたいな。あとは勝ちたいという思いを。ここで負けるわけにいかないし、まだみんなとプレーしたいという思いを込めて蹴った結果が点になった。(球際については)行き過ぎるとファウルになってしまうが、今日は球際がテーマだったので、やれてたんじゃないかと思う。(次戦について)どちらがきても強い。仙台大がすごい良いチームだったので、近大もそうだがそこの選手たちの思いも持ちながら準決勝しっかり戦いたいと思う」。

・阪野
「相手が結構ポゼッション上手くて流れが悪い時間帯もあったが、最後まで諦めなかったし、運動量の面でも最後まで動けていたのが良かったと思う。(試合前に球際のことについて監督からお話があったと思いますが)いつも言われるんですが、そこはやっぱり重要だと思うので、自分の得意なところでもあるし頑張りました。(得点シーンを振り返ってください)幸治(石原)はシュートだったらしいんですが、ちょうどいいところに転がってきて触るだけだったので良かった。(次戦について)慶大も今年は2敗してるし、桃山学大も総理大臣杯で苦戦して、自分が今季一番良くなかった試合でもあるので、どちらがきてもすごい楽しみ。1試合1点決めるのが目標で、今のところそれができているので次もしっかりそれをやって勝つだけ」。

・梅内
「今日は個人的には点を決めただけで他のプレーは何にもチームに貢献できなかった。チームとしてはゴール前で危ない場面があったけどみんなで体を張って止めることができたから良かった。自分は今日、入り方やボールを持ってからの判断が悪かった。でも先制点で動きが変わった。得点のシーンは野間がボールをキープしてくれて自分がフリーになったため決めることができた。でもいいシュートではなかった。このままいけば負けることはない。出場して点を決めたい」。

・野間
「仙台大強かった。風も強くて蹴り合いになった。その中でアシストできて良かった。(アシストシーンではなぜシュートではなくアシストを選んだのですか)センタリングが高かったから落とした方がいいと思って。その場で判断した。(前の試合から途中出場で結果を残していますが)途中で入るから結果残さないと。プレッシャーもあるけどそれがいいモチベーションになった。(チームの雰囲気は)負ける感じがしない。4年生が引っ張ってくれてる。まとまってると思う。リーグ優勝は経験したことあるけど、何回優勝してもやっぱり優勝はいいから優勝したい。(次戦について)相手どうのこうのっていうより自分たちのサッカーをする。自分が出られればいいけどチームが勝てば決勝行けるしチームとして勝ちたい」。

・石原
「ここまで来るとどこのチームも強いのですごい厳しい戦いだったが、最終的には3-0で勝てて良かった。途中出場ということで、その分流れ変えたり点を決めたり、点に絡んだりという結果が求められる。今日はアシストができて良かったです。(阪野さんが、「あの幸治のアシストは実はシュート」とおっしゃってましたが)シュートだったんですけど、まあ結構いいところに転がっていって入りました。(次戦は)気持ちという面が大事だと思うので、決勝に行くために次もしっかり勝ちたい。次も出たところでしっかりと結果を出して、勝てるように頑張りたい」。