(8)インカレ出場を懸けた戦い 原・中田
インカレは各大学から全階級合わせて8人の選手が出場する。明大はそのうち62㎏級の1人だけが未定。原か中田か。「直前まで待って、調子が良い方を使う」(武市主将・農4)。2人のインカレは既に始まっていた。
努力のスーパールーキー 原 亮太
今年の春、インターハイ優勝の戦績を引っ提げ明大ウエイトリフティング部へやってきた原。
「大学ですぐに通用するようになる」(本多監督)。前期はケガに苦しみ、満足に練習はできなかったものの、復帰した後期は国際大会に出場。新人戦でも自己新記録をマークし3位で表彰台に上るなど、本多監督の言葉通りスーパールーキーの登場だった。
そんなスーパールーキーは今、初めてのインカレを控えている。高校時代は大きな試合の前に必ずと言って良いほど減量があったという原。しかし、今回は減量がない分「そういう緊張感はない」。後期に入ってから記録も伸び、ずっと調子が良いという。「今はインカレに出るにしろ出ないにしろ、調子が良いから記録を伸ばしていきたい」と、どんなときでも自分のペースは崩さない。
競技面だけでなく、普段の生活から努力を怠らない原。高校時代は理系で国公立の大学へ進学希望だった。部活に打ち込む一方で、勉強にも真剣に取り組んでいた。しかし、ウエイトリフティングを続けるため、明大へ。入学したばかりのころは「理系から文系っていうのが慣れなかった」というが、今では競技との両立をこなしている。もちろん競技面においても、もはや趣味は筋トレというほど「ウエイトに対して熱い」(中田)。そんな原の理想の選手像は「努力する天才」「どんなに強くても努力を怠らず、いつでも強さを求める」。そんな選手になりたいと話す。しかし「練習前にやろうと決めたことも、実際はきつくて妥協してしまうときがある」と、まだまだ納得はいかない。今に満足することなく、貪欲に上を目指すことが彼の強さの秘訣(ひけつ)なのだろう。
インカレに出場するとしたら、目標は何ですか。その問いに原はこう答えた。「1、2本目はチームのために。3本目は自分のために挙げる」。スーパールーキーからエースに変わる日もそう遠くはないだろう。「やったるで」。彼の努力が今、試される。
「ウエイトで人生変わった」 中田 健太郎
「意識していなくはないが、平常心で練習している」。
あくまでいつも通り練習に励む中田。後輩とのメンバー枠争いに、彼は冷静な姿勢で臨んでいた。
部内から「ウエイト好き」に見られる中田。本人は「もう生活の一部」というが、そんなウエイトリフティングとの出会いが、彼を変えた。「中学の時は遊んでばっかりだった。高校は親とケンカして行かんとか言っていた」。誰もが通る思春期に彼もまた悩んでいた。しかし、そんな時に高校のパンフレットで見つけたのがウエイトリフティングだった。「高校でこれをやろう」。願書提出の2日前、彼は急きょ進学先を変更した。なぜウエイトをやろうと思ったのか、それは自分でも分からないという。しかし「ウエイトをやっていたから今ここにいる。ウエイトは人生の転機になった」。
「その場だけじゃなくて、先のことも考える力が付いた」。この2年間での成長を中田はそう話した。高校時代は練習に一生懸命になり過ぎるあまり、ケガを繰り返していた。しかし、今では体に異変を感じたらすぐに練習はストップ。練習量がものをいう競技なだけに「(練習をやめることは)勇気がいる」という。しかし、先のことを考え「自分を抑えられるようになった」と彼は確かな成長を実感していた。
「個人の出たいという希望より、点数を取れるやつが出るのが最優先。自分が取れないんだったら、原が出るべき」と、自分自身のことよりチームのためを考える。「普段からいろいろな人の練習を見ている」と他の選手の分析も欠かさない中田。そんな彼だからこそ、チームにとってのベストな形を求めるのだろう。しかし、今年初出場が懸かるインカレを前に「今ある力を最大限に出すことしか考えていない」。既に戦う準備はできている。
◆原 亮太 はら りょうた 法1 須磨友が丘高出 163cm・61kg
◆中田 健太郎 なかた けんたろう 政経2 常翔学園高出 159cm・63kg
次回の“Lifter’s High 2011”は最終回です。敦見選手(営2)と三原選手(政経2)が登場します。アップは12月23日(金)の予定です。お楽しみに!
今回は諸事情によりアップの順番を変更してお届けしました。
◆第57回 全日本大学対抗選手権◆
日程:12月24~25日
会場:磯子スポーツセンター(神奈川県横浜市)
◆会場へのアクセス◆
JR「新杉田」駅から徒歩4分
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