関西学大をノートライに抑え、2回戦進出/全国大学選手権

2011.12.19
 いよいよ開幕した大学選手権。1回戦の相手は関西学大。関西第5代表として、朝日大を倒してきた。今季の戦績は関西大学Aリーグ3勝4敗と、あまり芳しくない。その相手に明治は38―3と6トライの快勝。「今日はアタックでミスが出たり、ペナルティーをしてしまった」(日高・文4)と課題が残ったものの、ひとまずは2回戦へと駒を進めることとなった。

 開始早々からFL竹内(営3)が鮮やかなトライで流れをつくる。WTB斉藤(農3)が中央から22mライン越えのゲイン。そこでできたラックから竹内が突っ込み、関西学大のディフェンス3人を振り切った。開始わずか1分で7-0とする。その4分後にもゴール前5mからラインアウトモールで12―0と、上々の滑り出しを見せる。一方で関西学大のBKにボールを回されて、あわやトライというシーンも。そこは相手のノックオンに救われた。そこからラックでの前進とSO染山(政経3)のハイパントを効果的に使い分けながら、着実に相手のラインを後退させる。最後はBKで仕掛け、前半12分にWTB山中(商4)が追加点を挙げ、17―0と点差を広げた。中盤以降も勢いそのままに、前半22分には相手のノットロールアウェイで、またもゴール前5mでラインアウトを選択する。モールでインゴール手前まで詰め寄ると、No.8小河(商4)が点を重ね24―0に。その後前半36分、相手FWがモールコラプシングによるシンビンで10分間の退場。相手FWが1人分手薄になった前半終了間際に、22mライン付近でマイボールスクラムと畳み掛ける。再び竹内が勝負に出たが、ここはあえなく阻まれる。前半最後のワンプレーはトライにつながらなかったが、プレッシャーをかけることはできた。

 後半も関西学大を突き放したい明治。ところが「だんだんと足が止まってしまったことで得点が伸びなかった」(多田・文3)とやや苦戦。後半4分に相手のPG成功で24―3と出はなをくじかれた。後半7分に相手のペナルティーからラインアウトを獲得。10mラインからモールを押し込んでトライ。スコアを31―3としたまま、追加点にありつけず足踏みが続く。ハーフウェイラインでの攻防も、得点には程遠かった。しかしここで機能したのがディフェンス。関西学大のアタックに耐え、粘り強くチャンスをうかがう明治。ラックを形成し、じりじりと相手陣内への侵入を試みる。そして後半32分、敵陣10mラインのラックからWTB村井(政経1)がこぼれ球を拾い飛び出す。初動で2人の関西学大DFをかわし、また1人ブラインドを抜ける。左サイドに60mのビックゲインし、相手DFを引きずりながらも意地のトライ。38―3と引き離した。さらにノーサイド直前にも機会が訪れた。相手のオフサイドから、CTB西村(農2)がボールを運び、左サイド22mラインでラックとする。そこからSH田川(政経2)が中央の染山にボールをつないでキックパス。落下点のインゴール右サイドに向かって小河が走る。しかしながら、相手ディフェンスに捕まえられて一歩届かず。ノーサイドとなった。

 押し切るところであと少しの踏ん張りが利かず、内容的には華やかさに欠けた。しかし「ディフェンスは今までやってきたことができたと思う。最大のテーマだったシャットアウトすることはできていた」(石原・政経3)と振り返る。また吉田監督もディフェンスに関して「ノートライという目標を掲げていたので、その点では非常に評価できる」と、及第点を突破したことを示した。次戦の相手は筑波大。対抗戦では勝利を物にしたが、成長著しい相手には苦戦が予想される。竹中・彦坂(匡)という強力な両WTBを止めるために、アタックバランスの強化はもとより、ディフェンス面の課題も急務となっている。筑波大に限らず大学選手権の注目校は多数。強豪ひしめき合う中でも、明治にとっては帝京大・早稲田が焦点となってくる。そういった意味では大学選手権優勝の前提として“リベンジ”というキーワードが濃厚だ。大学日本一を果たすためにも「真っ向勝負」(溝口主将・政経4)で挑んでくれることだろう。

[和田孟]

1.PR 石原 慎太郎(政経3)
←17.楢山(後半23分)
9.SH 多田 潤平(文3)
←20.田川(後半20分)
16 牛原 寛章(政経1)
2.HO 鈴木 亮大郎(政経4) 10.SO 染山 茂範(政経3) 17 楢山 直幸(営4)
→1.石原(後半23分)
3.PR 小野 慎介(政経4)   11.WTB 山中 翔平(商4)
←22.村井(後半9分)
18 寺田 大樹(文1)
→4.池田(後半23分)
4.LO 池田 慶恭(政経4)
←18.寺田(後半23分)
 12.CTB 溝口 裕哉(政経4) 19 梁 哲盛(営3)
→7.竹内(後半27分)
5.LO 日高 駿(文4)  13.CTB 西村 雄大(農2) 20 田川 明洋(政経2)
→9.多田(後半20分)
6.FL 比果 義稀(文2)   14.WTB 斉藤 春樹(農3)
←21.幸重(後半33分)
21 幸重 記(文2)
→14.斉藤(後半33分)
7.FL 竹内 健人(営3)
←19.梁(後半27分)
15.FB 仁平 佑樹(政経4) 22 村井 佑太朗(政経1)
→11.山中(後半9分)
8.NO.8 小河 康蔵(商4)

~試合後のコメント~
PR石原

「前半はゴール前までいいテンポで行けたが、後半はペナルティーやミスで自陣のプレーが増えてしまった。敵陣に入れない時の動きを改善できれば良かったと思う。ペナルティーに関しては、勝負しにいく場面でフォローが遅く、次につなげるプレーができなかった。ディフェンスは今までやってきたことができたと思う。最大のテーマだったシャットアウトすることはできていたが、アタックに関してはもっとできるという気持ちが残ってしまった。早稲田戦からアタックにフォーカスして練習をしてきたが、相手の低いタックルや早い上がりに手こずってしまい、シンプルなアタックをしたい場面で手先だけのプレーやハンドリングミスをしてしまった。シンプルな強さを出すことができなかったので、縦のプレーの強化をしなければならない。(2回戦に向けて)やることは変わらず、シンプルに前へ出て縦のプレーを見せて勝ちたい」。

LO日高
「失点はペナルティゴールだけで、ノートライに抑えられたのは良かった。しかし、これまでアタックの練習をしてきたが今日はアタックでミスが出たり、ペナルティーをしてしまったので、まだまだそこが課題。次の相手は筑波大だが3度目も勝てるように頑張りたい。この一週間は筑波大だけを見てやっていく。身体を張ってくるチームなので、今まで通りのディフェンスをすることと、アタックでどんどん前へ出ていくことが大事」。

SH多田
「立ち上がりはよかったけど、だんだんと足が止まってしまったことで得点が伸びなかった。自分自身でももう少しうまくFWをコントロールできればよかった。(次戦の筑波大戦について)対抗戦で勝ってるけど相手も成長しているし、厳しい試合になると思う。2トライ以内に抑えてしっかり勝ち次のステージに進みたい。今日は自分の一番の持ち味であるハイパントを蹴れたし、前半はテンポよくゲームやを動かせたと思う。自分の持ってる武器を磨いてアピールして、次の試合も出たい」。

LO寺田(文1)
「自分の役割はラインアウトを取ることだった。取らなきゃいけないところで取れなかった。他にはチームが走れていなかったので、流れを変えたかった。ディフェンスが全然できていなかった。筑波大もFWが強い。試合中は走り切って、今日できなかったラインアウトでチームに貢献する」。