(3)競技説明――ウエイトリフティングって何だ?
【取材協力 美島選手(法4)】
◆競技の概要◆
プラットフォームに置かれたバーベルを両手で頭上に挙げ、その重量を競う競技です。「スナッチ」と「クリーン&ジャーク」の2種目があり、それぞれ3回ずつの計6回挙上します。各種目の最高重量のトータルで順位が決まります。
(例)スナッチ:110kg ジャーク:136kg 計:246kg
体重別に階級が分かれていて、男子は56kg級 / 62kg級 / 69kg級 / 77kg級 / 85kg級 / 94kg級 / 105kg級 / +105kg級の全8階級です。
競技は「スナッチ」→「クリーン&ジャーク」の順で行われます。選手は自身の名前がコールされた瞬間から試技開始まで1分間与えられ、その制限時間内にバーベルを離床していないと失敗となります。
また試技を判定する審判3人がジャッジに当たります。バーベルを持ち上げることに成功した場合も、肘が曲がっていると失敗とみなされるなど、厳しい判断が下されます。
☆「スナッチ」と「クリーン&ジャーク」の違い
「スナッチ」:プラットフォーム上のバーベルを一気に頭上に引き上げる
「クリーン&ジャーク」:プラットフォーム上のバーベルを肩まで引き上げて立ち上がり(第1動作=クリーン)、全身の反動を使って一挙動で頭上へ差し上げる(第2動作=ジャーク) 一般的に大学の試合において「スナッチ」で上位と差がつくことは少ないとされています。一方で「クリーン&ジャーク」は力勝負とされ、実力差がそのまま反映される傾向にあります。そのため「スナッチ」が得意でも「クリーン&ジャーク」を苦手としている場合は、上位進出は難しくなります。
☆力だけじゃない?☆
腕の力だけが要求されるように思われますが、一瞬でバーベルを持ち上げる瞬発力やそのタイミング、またそれに耐え得る足腰の強さなど、体全体の強さが必要です。
◆どんな練習をするの?◆
練習には、スナッチやクリーン&ジャークで実際にバーベルを持ち上げる「種目」と、スクワットなど体の個々の部分を鍛える「補強」があります。
「種目」ではまず、ウォーミングアップで重りを付けずにバーベルだけを持ち上げ、体を温めていきます。その後、自己ベスト記録の70~80%くらいの重量まで増やしていきます。調子がいいときは、自己ベスト以上の記録にも挑戦します。
「種目」はおおよそ1セット3~5本とされ、30セットほどこなしていきます。「スナッチ」と「クリーン&ジャーク」を合わせて、1日200~300本ほど持ち上げます。
「補強」には、バーベルを膝まで引く「デッドリフト」や、膝から引き上げる「スクワット」などがあります。
明大ウエイトリフティング部では、これらの練習内容を各自で決めています。自分のその日の調子や体調、またどこを強化したいのかなど、常に自分で考え練習していきます。
◆体重のコントロール――壮絶な減量?◆
ウエイトリフティングは体重別で階級が分かれているため、日々選手たちは体重に気を配っています。その中でも「太りやすいタイプ」と「痩せやすいタイプ」の2パターンに分かれるようです。
「太りやすい人」は基本1日3食ですが、炭水化物を取り過ぎないように心掛けます。夜は炭水化物の量を減らし、サプリメントで補強する場合もあります。
「痩せやすい人」は1日3~5回の食事を行います。炭水化物とタンパク質を多く取り入れるようにします。
今回取材に協力していただいた美島選手は「太りやすいタイプ」。高校時代には階級を下げるため、1カ月かけて8kgの減量に挑戦したことも。ただ単純に8kg落としただけだと筋力も同時に落ちてしまうため、いかに今の筋力を維持しつつ体重を落とすかが大切です。そのため、運動量を増やしつつ、食事に制限をかけ、筋力を落とさず体の中の水分を抜いていきます。減量期間中は頻繁にトイレに行き、唾を吐くなどの努力も欠かせません。
◆番外編:セコンドとは◆
ウエイトリフティングにはボクシングと同じように、セコンドがいます(3人)。主な役割は選手の調子や試合の流れを読み、試技する重量を決めることです。重量は選手自身で決めるように思われがちですが、実はセコンド役が判断します。選手はあくまで任された重量を挙げるだけなのです。
「優勝以外は反省です」――。あと○kg挙げさせていれば優勝といった場合や、選手の調子を見極めることができず、1本も挙げられずに記録なしに終わる場合も、責任はセコンドにあるといいます。相手の試技の結果を受けて、どれくらいの重量を挙げれば勝てるのか。またその重量を挙げられる調子にあるのか。目まぐるしく変わる試合状況を読み取り、適切な判断を下すセコンド。力勝負の裏では、そんな駆け引きが行われているのです。
◆美島純 みしまじゅん 法4 名城大附高
167cm・67kg
次回の“Lifter’s High 2011”はウエイト写真館です。これまで行われた試合を写真で振り返ります。迫力ある選手の姿をぜひご覧ください。12月6日(火)にアップ予定です。お楽しみに!
◆第57回 全日本大学対抗選手権◆
日程:12月24~25日
会場:磯子スポーツセンター(神奈川県横浜市)
◆会場へのアクセス◆
JR「新杉田」駅から徒歩4分
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