将来担う2”大”エースが躍動/全日本学生個人選手権

2011.11.11
 先日行われた東日本で準優勝の成績を残した明大。舞台を全日本に移し、個人インカレに臨んだ今大会では上級生が思うような成績を残せない中、2年の大石(文2)と1年の大貫(文1)がともにベスト8に入賞した。

「明治らしさ」見せた大石
 前期に行われた全日本選抜で1回戦敗退を喫した明大。その団体戦での重要な1戦を落とした大石の顔には悔しさが滲み出ていた。その後、がむしゃらに戦う高校生を見た大石は一度初心に帰ろうと考える。それが功を奏し、矢野杯以降は普段の姿を取り戻しつつあったが、今大会の大石はいつもに増して闘志と気迫にあふれていた。
 1回戦から積極的な攻めを見せつけ全く相手を寄せつけない。2‐0で連勝し、迎えた3回戦。相手は今大会2連覇中の浜田(中大)。主将の神田にとっても「憧れでもライバルでもある」と言わしめるほどの強敵。しかし「浜田さんとの試合は何度も研究を重ねシミュレーションしてきた」と一番戦いたい相手でもあった浜田への対策は万端であった。開始早々に一本を取るとさらに攻めの勢いは加速。先手を取られ浜田が慎重になったところを見逃さずに突きを決め、あっという間に勝負は決着。3連覇が懸っていた浜田の3回戦敗退に会場からは大きなどよめきが起こった。
次の幸村(同大)も得意の蹴りを2本決め快勝した大石。この調子で表彰台を目指したかったが「浜田さんを倒したからこそ下手な試合はできなかった」と負けられない重圧に襲われてしまう。準々決勝では立命大の辻を攻略できず0-1で3分間が終了。最後の最後に攻めきれず、準決勝に駒を進めることはできなかった。
 「試合は文句なし。ここぞという時に決められる選手になった」(一ノ宮監督)と、監督からのお墨付きをもらった大石。また、大石自身は「2年まではがむしゃらにやってきたがそうはいかない。上級生として勝つことが求められる」と上級生となる自覚が徐々に芽生えつつある。そして、その中でもやはり彼の存在は大きい。「(浜田に勝って)負けられない重圧を感じ、改めて浜田さんのすごさを感じた」と変わらぬ浜田への憧れを語った大石。その憧れの存在がいま、ライバルになろうとしている。

攻撃の幅広げ成長を遂げた大貫

今年から明大拳法部に入部し、活躍を続けている大貫は今大会でも1年らしからぬ活躍を見せつけた。3回戦までは3分間を使い切り、決して調子のよくない試合運びではあったがなんとか勝利し駒を進めた大貫。そして4回戦では前回の東日本で敗れた木下(中大)との対戦になる。試合に入ると木下は大貫が苦手としている組み技に持ち込もうとする。いままでならうまくかわしていた大貫だったが「思い切って、組まれても粘って粘ってという戦い方をした」。その戦い方が功を奏した。木下に組まれても、粘ることで抑え技を決め、2本を連取。木下の土俵である組み技を制し、リベンジを果たした大貫は「ちょっと成長してるのかなと感じた」とその言葉には自信がこもっていた。そして迎えた準々決勝。相手は早稲田の主将である中村と、厳しい戦いが続く。試合が始まり、ともに譲らぬ展開となる。しかし「拳法を長くやっている中村の巧さが出た」(大貫父)と相打ちのような形になるも中村の一本となってしまう。さらに前蹴りを決められ2本を連取で試合は終了。ベスト4へあと一歩及ばず、大貫の快進撃は幕を閉じた。

 今大会を終え、神田主将は「上級生がこの様というのは悔しい」と3、4年の結果に、下級生の活躍を手放しで喜ぶことはできなかった。「府立(団体インカレ)で上級生がどれだけ踏ん張れるか」(神田主将)が団体インカレに向けて大きな課題となりそうだ。しかし、大きな収穫もあった。府立で優勝争いを繰り広げるであろうライバル中大に大きなインパクトを与えた。中大の主力である浜田、木下を大石と大貫が倒したからである。特に今大会2連覇中の浜田を倒したことで他大に与えた影響は大きい。
拳法部の1年を締めくくる府立まで1か月を切ったいま、部員皆が通年目標にしてきた府立優勝に向けての視界は決して悪くない。