出場した5階級中4階級で表彰台!/全日本新人学生選手権
1日目 62㎏級に出場したのは原。インターハイ優勝者であり、監督も「大学でもすぐ通用する」と期待を寄せるルーキーだ。「高校の時は成功率が良かったけど、大学ではあまり調子が良くなかった」と語ったが、スナッチ、ジャークともにすべて成功しトータル102㎏で3位入賞。優勝した玉寄(日大)のトータル111㎏という大会新記録には遠く及ばなかったが、「(3位という結果に)満足している」と笑顔で答えた。表彰台の上では「おめでとう」というチームの歓声にはにかんだ笑顔で応じた。インカレまで「記録と成功率」を課題に掲げ、練習に励む。
次の69㎏級には明大から最多の4人が出場したが、それぞれ調整不足やケガなどで思うような試技ができなかったため表彰台には一人も届かなかった。 最初にプラットに立ったのは足立。階級を上げたばかりで試合前の調整がうまくできなかった。スナッチは3連続で成功するが、一転ジャークでは苦しい表情になる。気合で2本目までは挙げるが、最後の113㎏を挙げることができなかった。「スナッチは良かったけど、ジャークは詰めが甘かった」と悔しい表情。今大会を通じて「下半身とフォームができていない」と感じたという。「体重にあった体をつくる」ことを目標にこれからも練習に励む。
同じく1年生の佐藤はスナッチで1本、ジャークで2本失敗し「ベスト近くまでとれたのに成功率が悪かった」と悔やんだ。「腰をケガした上に全身のトレーニングが十分にできていなかった」といった調整不足が原因。しかし「順位は気にしていない」という。「今年中にスナッチ130㎏位を挙げられるようにし、来年には優勝できるレベルまで行きたい」と決意した。 69㎏級で明大最高位の7位に入賞した波部。ケガをして、昨年試合に出られなかった上に「1週間前から腰を痛めて調整できなかった」と決して万全ではない中での今大会。
スナッチは2本失敗してしまったが、ジャークでは123 ㎏、126㎏と順調に挙げた。最後は「『パワーはあるから根性だよ』と先輩に言われました」と自己新記録を狙った131㎏だったが失敗に終わってしまった。しかしこの結果は「こんな状況の中では上々」と語る。同時に「せめて国体以上の記録(スナッチ100㎏、ジャーク127㎏)を出したかった」と悔しさもにじませた。まずはケガをしない体づくりを目指し、来年のインカレでメダル獲得を目指す。
69㎏級で一番悔しい結果となったのが奥山。「実家に帰っていたため練習ができなかった」「練習に戻ってからも風邪をひいた」と調整不足だったという。しかしスナッチを連続で挙げると最後の3本目には自己新記録となる106㎏ を成功させた。「自己新出せたしいけるかな」と思ったが「ふくらはぎを痛めていた」ためジャークで3本とも失敗。記録なしという結果に終わってしまった。「表彰台は狙っていなかった。スナッチで自己新を出せたのは嬉しい」と語ったが、やはり「ジャークの練習をもっとしなければ」と次の大会に向けての課題も見つかった。
「明日は期待していてください」。大会1日目、笑顔で会場を後にした本多監督の言葉通り、2日目は選手たちがその期待に応え表彰台入りが続出した。
まず85kg級に姿を見せた高原。普段は77kg級に出場している彼だがこの2ヶ月間、試合続きで減量も続いていたことから、今回は減量せずに出場することを決めた。試合前の練習では「110kgも落としていた」となかなか調子は上がらなかったという。しかし本番になると失敗はスナッチ120kgの1本に抑え、ジャークでは3本すべてを成功させた。結果、トータル275kgで表彰台の頂点に。不調の中での優勝。うれしい結果のように思えるが、彼は自らの試技に「55点」という厳しい点数を付け「階級を上げたのに記録が微妙」と振り返った。しかし「調子が悪い中での試合運び」は大きな収穫であり「スナッチのキレの悪さ」という課題も見えた。「もっとスピードを付けていかないとこれより先はない」。結果よりも記録や試技の内容にこだわる高原。12月のインカレでは77㎏級に出場する。「しっかり体を絞って良い体調で臨みたい」と力強く、最後は笑顔を見せた。
「優勝も普通にできていたと思うから残念」。94㎏級に出場した敦見も2位という結果に満足はしなかった。調整不足が影響し「思っていたよりできなかった」という敦見。成功はスナッチ123㎏、ジャーク152㎏と1本ずつ。「成功率が悪かった。ジャークは156㎏くらいできてもおかしくなかった」と悔しい表情を見せた。「結局いつも試合で失敗する」と今回も試合での「勝負強さ」が問われる結果に。課題克服には至らなかったものの「2位になれたのはよかった」と表彰台では笑顔を見せた。「成功率」そして「勝負強さ」。この2つをものにできれば「まだまだいける」。こんなところで落ち込む彼ではない。「ロンドンの次のオリンピック」。大きな目標へ。挑戦はこれからだ。
もう一人、1年生の片山がこの階級に出場した。記録なしと悔しい結果に終わった先月の東日本学生個人選手権。リベンジを果たすべく臨んだ今大会。スナッチでは2本続けて100㎏を落とし、後がない3本目。また記録なしに終わってしまうのか。片山は一層大きくなったまわりの応援を力に変え、成功させる。120㎏からスタートしたジャークでは危なげない様子で成功させ、順調に次の127㎏も挙げる。最後の130㎏。重い鉄のかたまりは勢いよく空中へと振り上げられた。彼にとっては挑戦の重量だったがしっかりと頭上で抑え見事成功。その瞬間、片山は「よっしゃあ」と力強く雄たけびを上げ、笑顔でプラットを後にした。応援していた明大の選手たちも後輩の成功に笑顔で大きな拍手を送った。
最後の105㎏級に登場したのは二宮と畠山。二宮は東日本学生個人選手権からトータル12㎏も上回る記録を更新し、畠山は2位で大学初の表彰台に上った。畠山は試合前の練習で好調だったというスナッチで本番まさかの失敗。「どうしようかな……」と不安もある中で2本目の110㎏を成功させるが、3本目の114㎏を挙げ切れず「もう表彰台に上がれないと思った」。一方、試合前「140㎏も取れていなかった」というジャークは絶好調。3本すべてをパーフェクトで終え、ジャークベストは154㎏。不調を感じさせない試技で会場を沸かせた。今大会が2回目の大学試合。スナッチの失敗を気にする一方で、インターハイ3位の戦績を持つ彼も大学初の表彰台に「正直うれしかった」とほおを緩めた。しかし、彼もまた「2位という結果に満足はしていない」。「個人戦(春に行われる全日本学生個人選手権大会)の標準記録突破」とすでに目標は先へと向かっていた。また優勝した日大の渡辺について「同じ1年生なのに全然違う」とライバルの存在も気になるところ。そのハングリー精神でチームを引っ張るエースになる日も、そう遠くはないはずだ。
今大会では出場した5階級中4階級で表彰台に上る選手が見られ、入賞に届かなかった選手も自己ベストを更新するなど監督も「よかった」と顔をほころばせた。充実した夏合宿、そして日々の練習を経て臨んだ今大会。「真面目にコツコツ練習している成果が出た」と本多監督も選手を評価し、一方で「記録は物足りない」(本多監督)とまだまだ上を目指す。選手もこの結果に甘んじることはない。インカレまで残り約1ヶ月半。「なんとか優勝して今年に花を添えたい」(本多監督)。「(インカレでは)明治に少しでも得点を持って帰りたい」(高原)。目指すものは皆いっしょだ。今年最後の大会で最高の結果を。残りのわずかな時間で選手たちは最後の調整に入る。
|
関連記事
RELATED ENTRIES