
単複2冠達成!「常勝明治」完全復活/全日本大学総合選手権(個人の部)
【ダブルス】
ルーキーイヤーで学生日本一――神・平野組
名門・青森山田高出身の神と、その青森山田の13連覇を阻止して高校選抜を制した野田学園高のエースだった平野。「自分たちは高校時代はライバルだったけど、明治で一緒にダブルスを組んで頑張ろう」(神)。そう誓い、同じ紫紺のユニフォームに袖を通した。春季リーグ戦では無敗を記録、その後の新人戦、関東学生選手権を圧倒的な強さで制し、新人離れした活躍を続けてきた。そんな二人がついに学生卓球界の頂点に立った。
準決勝、決勝を戦った同じ明大の先輩ペア2組が「あっちの方が戦力が上だった」と完敗を認めざるを得ないほど、その強さはずば抜けていた。決勝の相手は6月の関東学生選手権と同じ、松渕・根田組。第1セットを11-2で奪い、序盤から圧倒した。続く第2セットを落としたものの、第3、第4セットを連取し、栄冠をつかんだ。
「元気があるし、とにかく動いて攻める」(高山監督)。だが、それだけではない。「(春に比べて)荒い中にもつなぐ技術ができて、台上技術が目に見えて上達している」(高山監督)。学生規模の大会では未だ負けなし。細かい技術にも磨きがかかり、日々進化を遂げる彼らの強さは1年生にして他の追随を許さない域に達している。そんな二人が次に目指すのはもちろん1月の全日本選手権。「まずは表彰台を狙わせたい」(高山監督)。日本最高峰の舞台には、世界選手権代表の水谷(隼・政経4)・岸川(スヴェンソン)組や松平(健・早大)・丹羽(青森山田高)組といった強敵が待つ。だが、今の二人にはその中に割って入るだけの実力が十分にある。
2年連続準優勝――松渕・根田組
「悔しいですね。今年こそはやっぱり優勝という思いがあった」(松渕)。一昨年はベスト4、昨年は準優勝。松渕がラストシーズンを迎え、根田の入学以来3年間組んできたこのペアで出る最後の全日学。タイトル獲得は悲願だった。
決勝まで勝ち上がる中で「苦しかった」(根田)と振り返ったのが、準々決勝の橋本・藤木組(中大)との一戦。セットカウント2-2で迎えた最終セットは7ポイントを連取され、序盤から3-9と大差をつけられた。なんとか2点を返すも、直後に相手のマッチポイントで5-10。だが、あと一点取られれば敗退が決まる窮地でも、二人はあきらめていなかった。ここから連続で5点を奪い、ジュースに追いつく粘りを見せる。そして、最後は15-13で逆転勝利をつかんだ。
決勝では、関東学生選手権と同じ後輩ペアに敗れ、優勝にあと一歩届かなかった。ただ、決勝までたどりつけたのは3年間ずっとペアを組んできて生まれたお互いへの信頼があったからこそ。「準々決勝の中大戦でも、根田が開き直ったプレーで助けてくれた。最後まであきらめないで、パートナーを信じてできてよかった」(松渕)。
ベスト4――桑田・横山組
「大学では初の全国ランク入りで素直にうれしい」(桑田)。これまで目立った成績はなかった二人が一気に全国にその名をアピールした。
2回戦で早大の主力の高岡・岩崎組に3-0で完勝し、続く3回戦の相手は関東学生ベスト4の埼玉工大のペア。セットカウント2-1とリードで迎えた第4セット。このセットも8-5とリードしながら、逆転を許した。相手の粘りに「足が止まってしまい動けなかった」(桑田)。それでも最終第5セットは11-8で競り勝ち、ベスト16入り(ランク入り)を決めた。そこから、シード選手を次々に倒し、ベスト4に進出。準決勝は敗れたものの、ここまでの4試合でわずか1セットしか落としていなかった神・平野組とフルセットまでもつれる熱戦を演じた。
初めてたどりついた高みで課題も明らかになった。「二人とも決め球がなく、ラリーになっても力負けしてしまう」(桑田)。「競った時に打ち急いでしまった。競った場面で勝てないとダメだし、簡単なミスをなくさないと本当に上では勝てない」(横山)。だが、同時に「自信もついた」(横山)。今回ベスト8以上に入ったことで1月の全日本選手権の出場権は獲得済み。あとはその舞台で1つでも上の順位を狙うだけだ。
【シングルス】
ダブルスに続き大学日本一に輝いたのは神だった。優勝の瞬間、床に倒れこみ突き上げた拳には喜びがあふれていた。ベスト8からは昨年度のランキングで1桁の実力者を次々と下し文句なしの優勝。準々決勝では1度も勝ったことがなかったという上田(青森大)から、続く準決勝は日本でも屈指のカットマンとして知られる御内(早大)から大金星を挙げる。最後に立ちはだかったのは昨年の覇者・笠原(早大)だった。「笠原さんは格上の選手、どうしても1セット目を取りたかった」(神)と試合の主導権を握るべく、第1セットから勝負をかける。それは相手も同じこと。サーブや戦術を普段とは変え、序盤はリードを奪う。だが、神が冷静に対処し、9ポイント目で勝ち越しに成功。結局、このセットは11-9と神に軍配が上がる。その後の第2、第3セットは神のペースでゲームは進み、ゲームカウントは3-0に。迎えた第4セット、両者譲らずに得点を重ねていく。笠原がこの試合初めてのマッチポイントを奪い、勝利への望みをつなぐかに思われた。それでも、動じることなくポイントを決めてくるのがこの日の神。3連続ポイントで一気に決着を付けた。高校時代には手の届かなかった個人戦タイトル。初タイトルは大学日本一の大きな称号だった。
ランク入りを果たし、選抜選手権出場を決めたのが平野、中尾(商2)だ。今まで、表立って活躍することの少なかった2年生の台頭、グランドスラムに大きく貢献した1年生と若い力が着実に育っている。「次の選抜が大事。結果を出してこの大会だけってならないようにしたい」(中尾)。結果を出し続けること。これこそが今の明治に求められている。
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