波に乗れず帝京大にジュニア戦初黒星をつけられる/関東大学ジュニア選手権
拮抗(きっこう)した展開が予想された試合はいきなり動き始めた。開始早々、明治のキックオフから帝京が反則を取られ、PG(ペナルティゴール)のチャンス。ここでSO長石倉(政経1)が少し遠めの位置ながら見事成功させ、幸先良く先制に成功する。序盤は、ディフェンスがプレッシャーをかけ帝京の反則を誘発。そこから得たペナルティから、PGをまたしても長石倉が成功させ0―6と点差を広げた。一見「自分たちから仕掛けていきたい」(笠原・法4)という狙い通りに思える展開に。しかし20分にペナルティを取られ自陣に入られるとそこから相手の強力FWの連続攻撃が始まった。3分以上粘り強く守っていた明治であったが、最後にはFW混戦の中からトライされ、さらにコンバージョンキックも決められ6―7と逆転されてしまう。両チームともペナルティが多くなったが、明治のノットストレートなどラインアウトに差がつき帝京大が主導権を握る。終了間際には明治のお家芸であるラインアウトモールを押し込まれしまい6―14とリードを奪われたまま前半を終える。
早い時間帯から逆転したい明治は後半開始直後、FL笠原のパスカットから敵陣に攻め込んだ。しかしディフェンスであまり前に出ることができず、ペナルティも絡み押し戻される。我慢の時間が続いたが、明治がラインアウトをターンオーバーし、そこから右に展開。No.8古屋(商3)のビッグゲインでチャンスを迎えると最後はWTB市原(政経2)がインゴールへ持ち込み11-14と詰め寄る。前半は不安の声が聞こえていたがだんだんと声援が増え始めていく。会場の雰囲気が変わり追い上げ開始かと思われたが、前半の失点と同様ペナルティが増えたことからまたしても「警戒していた」(友永・政経3)モールで失点。勝ちたいという思いが選手と同じぐらい強い観客からは、選手に多くの言葉がかけられた。その思いに応えるように攻め込んでいく明治であったが、決定機をなかなか作れない。一矢報いたい明治であったが、攻め込まれると相手FWに明治の陣地でボールを保持され攻撃できず、最後はスキを突かれて失点。最後も見せ場をつくれないまま11-26と2トライ以上の点差をつけられて敗れた。
ジュニア戦の連勝を止めてしまい、夏合宿のリベンジを果たすこともできなかった。互いに強力FWが持ち味であるだけに、真っ向勝負で挑んだ末の敗戦は少なからずショックであったに違いない。しかし「FWの走力は勝っていた」(細谷ヘッドコーチ)と言うように次に戦うときはどうなるか分からない。帝京大に「負けてしまったのは残念だがまだまだ大事な試合がある」(友永)のだ。この敗戦を糧にすることで残りのジュニア戦は内容、結果ともに最高となるだろう。
1.PR | 楢山 直幸(営4) ←17.茅島(63分) |
9.SH | 田川 明洋(政経2) ←20.多田(68分) |
16 | 牛原 寛章(政経1) ←2.郷(63分) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
2.HO | 郷 雄貴(文4) ←16.牛原(63分) |
10.SO | 長石倉 豪(営1) | 17 | 茅島 雅俊(商4) ←1.楢山(63分) |
|
3.PR | 山口 誠(営3) | 11.WTB | 市原 祥平(政経2) | 18 | 吉田 任宏(政経2) ←4.友永(71分) |
|
4.LO | 友永 恭平(政経3) ←18.吉田(71分) |
12.CTB | 猿楽 直希(政経3) | 19 | 前田 一平(情コミ3) ←6.小河(77分) |
|
5.LO | 大椙 慎也(法1) | 13.CTB | 西村 雄大(農2) ←22.山口(63分) |
20 | 多田 潤平(文3) ←9.田川(68分) |
|
6.FL | 小河 康蔵(商4) ←19.前田(77分) |
14.WTB | 斉藤 春樹(農3) | 21 | 茂木 直也(商2) | |
7.FL | 笠原 卓(法4) | 15.FB | 高平 裕輝(法2) | 22 | 山口 修平(政経2) ←13.西村(63分) |
|
8.NO.8 | 古屋 直樹(商3) |
~試合後のコメント~
細谷ヘッドコーチ
「モールにおいて明治と帝京ではパックの部分で差が出てしまい、モールで2トライ取られてしまった。そんな中でもFWは走力では勝っていた。BKに回したときにはFWがもう少し寄らないといけなかった。ディフェンスでのリアクションスピードが遅いので改善点。次の試合では、FWにはタイトなプレー、BKにはパス回しを期待したい」。
PR楢山(営4)
「負けてしまった。悔しい。合わないまま終わってしまったという感じ。(敗因は)セット―プレー、特にラインアウトが安定しなかった。何としてでも勝ちたかったから前半ショットを狙って勝ちにいったが、自陣に入られた時にラインアウトを止めることができなかった。互いにFWにこだわったが、止めるべきところで止め切ることができなかった。(今後は)もう落とすことができない。今日と筑波大戦で見つけた課題を修正して、ここで悪い流れを断ち切りたい」。
LO友永
「相手のモールは警戒していたのにトライをとられてしまった。明治から仕掛けていかなければならないのに、先手を取られてしまった。今日の自分の出来は可もなく不可もなくといった感じ。帝京大戦は山場だっただけに、負けてしまったのは残念だがまだまだ大事な試合がある」。
FL笠原
「帝京大のFWが強いのは分かっていたことだった。それでもモールで押されてしまっていたのは帝京大のモールへの対応ができなかったからだ。崩し切れず明治から仕掛けていかなければならないのに、相手に先に仕掛けられてしまった。相手のSOの組み立てがよかったが組織的に守り、ゴール前で粘ることができた。チームとしてはこれからはプレーの精度を高めてFWにこだわりBKで仕留めていきたい。個人的にはサポートプレーヤーとしての役割を果たしたい。東海大戦は0点、悪くても2トライに抑えてとにかく勝ちたい」
WTB斉藤
「自分たちのやりたいラグビーを帝京大にやられてしまった。FWが縦に前へ出てBKで仕留めるというかたちやFWで圧力かけてテンポを出していくというかたちが帝京大の方が上手だった。帝京大は夏負けた相手だったからその分気合いも入っていたがこういう結果になってしまった。(敗因は)自分たちのやりたいところをこだわり切れなかったからだと思う。悔しいけどまだ先はある。また帝京大ジュニアと戦うチャンスはあると思うからその時は必ず勝ちたい」。
関連記事
RELATED ENTRIES