夏合宿の成果実り、6人が表彰台!/東日本学生選手権

 東日本インカレ優勝から約3カ月、つらく厳しい夏合宿を乗り越え明大ウエイトリフティング部が再び戻ってきた。今大会は個人戦ということもあり、多くの選手が出場。4年生にはこれが最後の試合となる選手も多く、1年生はこの大会がデビュー戦となった。一人一人臨む姿勢は異なったものの、それぞれが目標を掲げ記録を残した。
 大会2日目に行われた69㎏級には8人もの選手が出場した。中でも久しぶりの大会出場となった美島はこれが引退試合。4年生になってからの前期は就職活動に追われ、消防士になるため勉強に励んでいた。そのため前期はほとんど練習もできなかったという。「一本一本集中、みんなに感謝、それから楽しんでやろう」(美島)。今大会はそんなことを考えながらプラットに立った。全ての試技を成功させることはできなかったものの、声を張り上げ力強くシャフトを振り挙げた美島。ジャークの3本目では今までで一番大きな「お願いします」という彼の声と「最後だぞ」という仲間からの言葉が体育館に響いた。そして、最後の122㎏のバーベルはきれいに上へと振り挙げられた。「長かったようで短かった」(美島)と4年間を振り返った美島。2年前、新人戦で表彰台へ上ったことは今でも印象に残っているという。肘にケガを負い、手術で残ったその傷がそのことを彼に思い出させる。「後悔は何もない」(美島)。最後の試技を終えた美島は真っすぐ前を向いて話した。そして「初めて楽しみながらやれた」(美島)と笑った。卒業後は地元で消防の仕事に専念するという美島。競技を続けることは難しいが「母校の後輩たちを教えて、明治に良い選手を送りたい」(美島)とこれからもウエイトリフティングと関わっていく姿勢を見せた。
 一方「ちょっと余裕」と笑顔を見せながら優勝を果たした武市主将。今の調子を聞くと「最高」の一言が返ってきた。特に調子が良いというジャークでは今大会150㎏に挑戦練習では成功したという150㎏だったが、今回はクリーンまで成功したものの挙げ切れず失敗に終わってしまった。今後はライバルである糸数(日大)に対抗するために「150㎏オーバーを目指して」(武市主将)インカレまで練習していくという。
 2年生の奥山は納得のいく大会とはならなかった。「最悪です」と試技を終え肩を落とした奥山。先週まで大阪で行われていた夏合宿ではずっと調子がよかったという。スナッチ105㎏、ジャーク123㎏の「自己新も取れていた」。大会当日のアップの調子も良かったと話した。「いけるかな」。そう思いながら再び自己新記録へと挑んだが、結果はスナッチ100㎏、ジャーク118㎏。「2本目からフォームが変わっちゃって恥ずかしい結果に…」。合宿では自己新記録のさらに上の重量にも挑戦していたという奥山。今回は「自信があった」というだけにスナッチ、ジャーク2本ずつの失敗に悔しさを隠し切れない。しかし、彼は決して下を向かない。「次の新人戦では表彰台乗るんで」。彼のその力強い言葉を信じたい。
 
   77㎏級に出場した高原は「結構追い込んだ」という夏合宿の成果も出て見事優勝。「最初からいけるな」と感じていた通り、スナッチ123㎏、ジャーク152㎏と試合のベストを更新し笑顔で今大会を終えた。
 85㎏級では千原が3位で表彰台に上がった。夏合宿が終わったばかりで「調整が難しかった」という中で自己新記録に挑戦。しかし、腰の痛みもあり惜しくも記録更新にはならなかった。またジャークの途中、手のまめがつぶれるというアクシデントに見舞われたが、集中して試技に臨み156㎏を挙げた千原。「自己新が取れなかったのは悔しい」と納得のいく結果とはならなかったが、次はインカレだ。4年生の千原にとってこれが最後のインカレになる。「2年生から出させてもらってるから先輩に恩返しするつもりで」。彼の目指すものは表彰台の頂点しかない。
 94㎏級には今年ラストイヤーの遠藤、6月に行われた東日本インカレで団体優勝に貢献した三原、敦見が出場した。まずは遠藤が姿を見せた。「今回が最後かもしれないから、骨さえも残さないように」と一層の決意をして試合に臨んだが、スナッチとジャークで1本ずつ落としてしまい、7位に終わった。「最後にこれか」と残念な表情を浮かべたが「インカレまでやれることをやっていきたい」と次に挑戦する決意を見せた。

   次に姿を見せた三原はジャーク2本目まで淡々と試技を進めるが、ジャーク3本目でまさかの棄権。結果的には3位に入賞したが、満足な試合ではなかったのか笑顔はなかった。94㎏級最後に登場したのは敦見。「合宿からメンタルの調子が悪い」と不安の中試合に臨んだが「思っていたよりできて、調子改善の兆しが見えました」と一つ一つの試技の後に笑顔を見せた。3点差で三原に続き4位に入賞したが「今回悔しい思いをしたので、新人戦では表彰台の一番上を目指したい」と気合を入れ直した。

 最後に、105㎏級と+105㎏級が同時に行われた。105㎏級には今回初試合を迎えた1年生の二宮、畠山が出場した。最初に姿を見せた二宮はスナッチとジャーク両方で2本ずつ失敗し、苦いデビュー戦となった。一方、畠山は「セコンドのおかげで、プレッシャーはなかった」とリラックスして試合に臨んだ。ジャークでは2本目から連続で失敗。しかし、合宿中に自己新記録の155㎏に成功した。今大会はこの記録を超える156㎏に挑戦して失敗したため、後悔はないようだった。新人戦への抱負を聞くと「ジャークで160㎏を挙げられるようにしたい」と明確な目標を語った。+105㎏級には大嶋が出場した。大嶋はスナッチジャークともに2本目から連続で失敗してしまったが、毎回の試技で大きな声をあげてチームの応援に応えた。結果は3位。表彰台では涙を流していた。

 先週まで行われていた夏合宿の疲れが残る中、今大会は6人が表彰台入りを果たした。出場した1年生も「初めてで精神的なプレッシャーはあった」(本多監督)が、それぞれこの大会でつかんだものがあるだろう。この経験を生かし、来月の新人戦では活躍を見せてくれるはずだ。

 6月の東日本インカレの優勝で「気持ちの面で乗っている」(本多監督)という選手たち。チーム全体も「良い雰囲気は出ている」(武市主将)という。12月のインカレまでは少し時間がある。その間、国体や新人戦に出る選手も多い。12月には今よりもっと経験も自信も、そして力を付けた選手たちが見られるはずだ。