(6)「1部」のプレッシャーを背に 小野寺勝也主将

2011.09.09
 昨秋、44年ぶりの1部昇格を決めた時、小野寺(法4・当時3年)は心から喜ぶことができずにいた。「勝った瞬間から今まで、ずっとプレッシャーですよ」。2部での争いから1部での争いへ。次期主将に決まっていた彼は、喜びよりもはるかに大きい重圧を感じていた。

 生粋のリーダーだ。小、中、高と続けてきたバドミントン。小野寺は常に主将を務めてきた。現チームメイトからは「周りが見れる、みんなのお父さん的存在」(田渕)「自分に厳しく他人にも厳しい。言ってることに説得力がある」(中木)と大きな信頼を得ている。

 一般的なリーダー像として考えられがちな、豪胆なタイプではない。自らを「繊細」と表現するように、その語り口はおとなしい。怒鳴りつけるのではなく、諭すような注意をする。練習中は体育館の中心に立ち、全体に目を向ける。厳しいメニューにも率先して自ら加わる。「後輩の見本になることが一番。私生活も含め、下は絶対に先輩の真似をするんで」

 「1部」のプレッシャーは大きい。だがその重みは、男子バドミントン部の原動力でもある。「去年より厳しい雰囲気になった」と各部員が口をそろえる。コーチ不在の平日練習では、主将が指導者の役割を果たす。モチベーションの維持が大変なのでは? との問いには「練習が嫌なときは、自分を焦らせてます。『このままでは2部に落ちちゃうぞ』って」。笑いながら語ったが、その言葉には力がこもっていた。

 小野寺のバドミントン生活は、苦しみの連続だ。「自分がうまくいかない。チームがうまくいかない。それが毎日続いている」という。楽しいところは「ないっすね」と笑う。だがそれは、小野寺の繊細さ故なのだろう。1部という大きな壁を前に、細かな部分まで気に掛かる。本気で壁を越えようとしているからこそ、楽しみを感じる余裕はない。練習では全力プレーを貫く。「手を抜いたら試合に出るから」という真面目さも、後輩を引き付ける魅力だ。

 それでも、長年続けたバドミントンには感謝している。「このラケットがなかったら明治にも来れなかったし、ここまでなっていない。バドミントンがあって良かった」。いよいよ訪れるラストシーズン。1部への挑戦が始まる。

◆小野寺勝也 おのでらかつや 法4 札幌一高出 180cm・65kg

●関東大学バドミントン秋季リーグ戦●
日程:9月10日(土)~19日(月)
会場:日本体育大学健志台キャンパス米本記念体育館(神奈川県横浜市)
アクセス:東急田園都市線「青葉台」駅降車
東急バス4番のりば日体大行き、終点下車
ぜひ会場に足をお運び下さい。

今回で「飛翔 2011秋季リーグ戦」は最終回です。1部に挑む男子、1部昇格を目指す女子共に高い意識で練習に臨んできました。9月10日よりリーグ戦が開幕しますので、応援よろしくお願いします!