栄光つかめず惨敗するも再生の兆しあり/全日本大学対抗選手権
1日目
長野でのインカレは曇天で幕を開けた。会場は松本市のかりがね自転車競技場。一周333mのこのコースでの大会初日、男子スプリント予選には佐々木と加藤(剛)が出場した。上位16名が予選通過という条件の中、加藤(剛)が25位という成績でトップ集団に食い入ることなく予選落ち。一方、インカレでのスプリントは3年連続となる佐々木は経験の豊富さから10位という位置に付け予選突破。佐々木はその後の1/8決勝で相手選手に降格が与えられたことで、続く1/4決勝にも進出。大会2日目へと順調に駒を進めた。
田澤・和田(卓)ペアによる男子タンデム・スプリント予選。ペア初の公式戦ということもあってか、思うようにタイムが伸びずに予選落ち。このレースを最後に引退となる田澤は「不完全に終わったがしょうがない。レースはきっぱり引退、趣味でもしない」と断言。しかし「タンデムは普段乗らない。自分の意志だけではなく2人の意志で動くのが面白い」と、いつもは寡黙な田澤が笑みを浮かべ満足そうに振り返る場面も。
また、男子4kmインディヴィデュアル・パーシュート予選で鈴木は、決勝進出はおろか全21人中18位という結果に終わり、全国の壁に阻まれる形となった。
2日目
男子ケイリンで始まった大会2日目。この種目で和田(拓)は予選組2位という成績で好スタートとなるも、1位の選手のみが決勝進出となる厳しい条件から午後の敗者復活戦で再起を図ることとなった。しかし、そこでも「敗者復活とはいえ強い選手が多く、極端な組み合わせ」(和田(拓))と無念の敗退。敗れたことで競技への参加はなくなったものの「1着になるイメージはついた。3日目からは最高のサポートを頑張る」と残る選手への期待をあらわにした。
男子チームスプリントには佐々木、加藤(剛)、田尾の3人が出場したが、上位には詰め寄れずに予選で姿を消す。続く男子4㎞チームパーシュートでは出澤、中野、西沢、金井が予選タイムで4位と大健闘。翌日の3~4位決定戦へつなぐ。
午後最初の種目は男子1kmタイムトライアル決勝。午前に引き続き出澤と中野が競技に参加するがあえなく敗退。順位は芳しくなかったが7秒台を目標にしていた中野は「及ばなかったが自己ベストはうれしかった」と自分の成長を素直に喜んだ。男子スプリント1/4決勝の佐々木も対戦相手である東北学院大の會澤に敗れ、3日目の5~8位決定戦を最後のレースとする。そして、2日目最後の男子ポイントレース(40km)には西沢が。しかしその西沢は「体調が良くなかった」とレース中ハプニングに見舞われ途中棄権。吉報のないまま3日目を迎える。
3日目
本学勢不調続きのトラック競技。その最終日である3日目は男子スプリント5~8位決定戦で佐々木、男子4㎞チームパーシュート3~4位決定戦で出澤、中野、西沢、金井が出場。佐々木は7位という結果、チームパーシュートも4位と勝負どころの一歩が甘かった。しかし、今大会で引退となる佐々木は「対戦で負けても本当の負けではない。負けたと思ったら負け。気持ちが切れたら駄目」と冷静に振り返った。
4日目
台風の影響で天候が不安定な中行われた4日目のロードレース。明大からは主将を含めた8人の選手が出場した。出場選手のうちルーキーが5人を占め、面手を筆頭としてさらなる期待が寄せられる。自転車競技の中でも一番の華と言われるこの種目。それだけに、スピードや判断力、体力、そして気力まで全ての能力が総合的に問われるのが特徴だ。出場選手169人のうち127人がリタイアしている現状を見ると、ロードレースがどれほど厳しいものかが手に取るように分かるだろう。
今回のコースは標高差が約260mあり、一つのコースを完走すると標高3000m以上の山を登ることに匹敵する。さらにコーナーがきついのが特徴で「登りでどれだけ差をつけられるかが勝負」(高山監督)とレース展開を分析する。
雨が降りしきり天候が危ぶまれる中、定刻通りにレースはスタートした。初めの周回は末永と加藤(雄)主将が先頭集団に加わりレース展開を冷静にうかがう。そして3周目に突入すると法大と明星大の2選手が先頭に抜け出し、その後方のメイン集団で明治の選手が散らばる形となる。しかし、この時点でルーキーの鈴木がタイムオーバーでリタイアしてしまう。ロードレースの過酷さを身を持って痛感したに違いない。また、順調なレース展開を見せていた加藤(雄)主将もパンクという不測の事態に見舞われる。それでも素早いタイヤ交換の後、執念を見せ集団後方に加わり態勢を立て直した。
その後は5周目を回ったところで、出澤が先頭で逃げる早大の入部を追って集団から抜け出すが再び吸収されてしまう。そして、8周目辺りから集団にばらつきが見られるようになり逃げ集団ができ始める。明大は末永と西沢がメイン集団先頭に、金井と加藤(雄)主将がその後方に控える。
しかし終盤になると市山がリタイアし、それに続いて続々と選手たちは抜けていってしまう。気付いてみれば残ったのは末永のただ1人に。その後は集団から離されながらも、本学で唯一完走を果たし36位と結果を残した。
表彰台を目標に据えていた末永にとって、この結果には決して納得はしていない。「周りの実力に付いていけなかった。普段の練習で満足していられないと痛感した」と自分の現状をあらためて見つめ直したようだ。高山監督の新体制の下でチームの雰囲気や意識は確実に変わっている。まだまだ発展途上であるかもしれないが、4年生が抜けた新チームでどれだけ完成型に近づけることができるか。さらなる躍進に向けて、新たな真価が問われる時が来た。
「選手が競技に集中できるよう、絶対に目立たずサポートに徹する」(柿本マネジャー)とチームが一丸となっていた。その大一番で上位進出という誉れをなせずに終わってしまった自転車部。しかし選手の表情に曇りはなかった。それは「経験を積んでイメージに体を合わせていくのが課題」(和田(拓))という姿勢からも空威張りではないと分かる。選手それぞれが迷走することなく自己の課題を見つめる機会となった今回、高山監督は「種をまく年」と位置付けた。1年選手にとっては全国の実力を知ることが目標であった。2年選手はこれからチームの主軸となり、それを3年選手がけん引することとなる。そういった広い視野で見れば、チームとしてはまだ準備段階であるのかもしれない。環境が整った中で自転車部の幸先は、まいた種が無事芽を出すか否かにかかっている。選手一同の眼はもう来年へと向いていることだろう。
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