(4)ケガを乗り越え刻んだチームへの思い 田渕雄喜
「きついことをやって結果が出るのが楽しかった」。幼いころから自分を追い込み、結果を残してきた。初めてシャトルに触れたのは小学校2年生の時。他のスポーツにはほとんど手を出さず、これまでずっとバドミントン一筋でやってきた。高校は名門・札幌一高に進学。そこで出会った成田元主将(平23法卒)の後を追い明治の門をたたいた。
明治に入ってからもこれまでと同じく「皆と同じ練習じゃ勝てない」と人一倍練習に打ち込んだのが奏功し、下級生のころから活躍してきた。同時に、自分を極限にまで追い込んでしまうところも幼いころから変わっていなかった。昨年の東日本学生選手権。既に限界を迎えていた体にムチを打ち出場したものの、腰が悲鳴を上げた。目前に控えていた秋季リーグ戦へのエントリーは絶望的。「本当に最悪だった」。全力でやったが故のアクシデント。田渕にとってあまりに残酷すぎる出来事だった。
しかし、ケガをしたからといって決して怠けたりしないところも彼らしかった。腰を痛めながらも積極的に練習に参加し、他の部員のサポートを行った。そこで見えたのは、歯をくいしばってシャトルを追う仲間の姿。自分が練習しているときは気付くことのできなかった光景を目の当たりにし、田渕の中にも変化が訪れたという。「皆が頑張っている姿を見て、これからはチームのために頑張りたいと思えた」。ケガをして戦線離脱し、初めて見えたチームメイトの頑張り。「何が何でもチームのために」という気持ちを、田渕の心に刻み付けた。迎えたリーグ戦も、ベンチからの観戦。ひたすら応援に徹した。本来ならば、自分が立っていたはずのコートに今まで出したことのないような声でエールを送る。チームのことを思うと、声を出さずにはいられなかった。
チームのため、皆のため。その気持ちが「体を動かしたのかも」と、ケガから1カ月あまりでコートに戻ってきた。復帰戦となる入替戦最終ゲームではそれまでケガをしていたとは思えないほどの動きで圧勝。「気持ちの面でも強くいることができた。皆のおかげです」。気持ちの弱さをぬぐい切れずにいたが、この入替戦で一皮むけたという。それもチームのおかげだと、笑った。
今年から副将を務める田渕は部内でも憧れの的。「プレー面でも気持ちや意識の面でもお手本になる」(福田・理工1)「面白くて優しい」(橋本・政経3)とその魅力はさまざまだ。しかし、チームや仲間を何よりも大切に思う、その気持ちが慕われる一番の理由だろう。この秋もかけがえのないチームメイトと勝利を喜ぶために。田渕最後の戦いが、今始まる。
◆田渕雄喜 たぶちゆうき 文4 札幌一高出 180cm・65kg
●関東大学バドミントン秋季リーグ戦●
日程:9月10日(土)~19日(月)
会場:日本体育大学健志台キャンパス米本記念体育館(神奈川県横浜市)
アクセス:東急田園都市線「青葉台」駅降車
東急バス4番のりば日体大行き、終点下車
ぜひ会場に足をお運び下さい。
次回の飛翔 2011秋季リーグ戦は9月8日(木)、末松(政経3)、橋本(政経3)をアップ予定です。お楽しみに。
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