(8)4年生特集 練習好きが強さの秘密 小口太陽

2011.08.18
 第8回は舵手付きフォアクルーリーダーの小口(政経4)の紹介です。
 レース前の準備は万全にしておかないと気が済まない性格。「不安だからやっている」とはいうものの、そこにはボートに対する真摯(しんし)な態度が感じられる。ボートを続けたことで「犠牲もあったが、ここまでやってこられたのは良かった」と話す7年間。その集大成は4回目のインカレで試される。

 ボートを始めたのは高校に入学してから。高校ではバスケットボール部に入るつもりだったが、たった一言で思わぬ展開に。父の知り合いであるボート部の監督に「ついて来い」と勧誘され、気付くと手に持っていたのはオールだったという。もともと体力、筋力には自信があり、結果はすぐについてきた。県で1、2位を争うようになり「それなりに戦える」と手応えをつかむ。勝つ喜びはボートを続ける原動力へと変換されていく。

 着実に力を付けていった小口にも成し得なかったのが日本一だ。「いけると思っていた」。インターハイ優勝に確かな感触を持って挑んだシングルスカル。しかし、結果はライバルの前に敗れた。感触が良かっただけに、余計に悔しさがこみ上げる。そんな状況で舞い込んだ明大からのオファー。「日本一を目標にやってみよう」と思い立ち、明大端艇部の門をたたく。

 大学に入ってからの最初の関門は寮生活だった。授業が終われば一目散に寮に帰り練習に励む。また、1年生は掃除や食事の準備といった雑務をこなさなければならない。目の前のことに精いっぱいで「練習よりも生活面の方が大変だった」と振り返る。当然、練習も厳しいがそれは高校時代も同じこと。インカレでは上級生とクルーを組むことが多く、技術や考え方を学び取れる環境に恵まれた。「自分にとってプラスとなった」練習に苦痛は感じていない。

 そして自分が4年生となった今、後輩たちにどれだけのものを残していけるのかという姿勢だけでなく、周りの人から教わっているという意識も強い。今インカレの舵手付きフォアでは、「(他大との)力の差はあまり感じない」からこそ新たなものをどれだけ吸収できるかが勝負になってくる。「最大の強みは練習を楽しむこと」と語ってくれた小口なら心配はいらないだろう。大学日本一への挑戦権は持っている。あとはベストを尽くすのみだ。

◆小口太陽 おぐちたいよう 政経4 岡谷東高出 175㎝ 70㎏ 

☆次回のRowing!Rowing!Rowing!レガッタ2011は8月21日掲載予定です。