(6)4年生特集 ケガを乗り越えつかんだ最後の夏 中村実季

2011.08.12
 ここからは、最後のインカレに挑む4年生を5回にわたって特集します。今回は女子舵手付きクォドルプルクルーの中村(法4)。足の故障と手術の影響で、1、2年生時は出場できなかったインカレだが、昨年は初出場で2位入賞。大手術からの華麗な復活は、彼女の地道な努力の継続のたまものだった。

 中村がボートと出会ったのは高校時代。当初は中学時代に入っていた陸上部での経験を生かすため、高校でも陸上を続けようとしていた。しかし父から「初めての競技をやってみてはどうだ」という助言をもらい、全く知らなかったボート部に入部した。周りの部員が音を上げるほどボート部の練習は厳しく、「顧問についていくのがやっとだった」(中村)。それでも中学時代に陸上で鍛えた体力で何とか乗り越えた結果、高校3年間で国体に出場するほどの選手へと成長した。

 そして、大学でもボートを続けようと決意した中村が明大進学を決めたのは、初めて端艇部寮を訪れた時のこと。ボートについて角監督と話していく中で「ここで4年間やってみたい」と感じ、これが入学の決め手となった。高校で始めたボートで県代表レベルの選手になりさらには競技環境の整った大学に進学できる――。ここまでは順風満帆だった。しかしそんなボート生活が一転する。

 「漕ぐどころか歩くことさえ大変だった」。足の痛みが中村を苦しめた。高校時代に脱臼した部分が痛み、思うように練習ができない日々が続く。なんとか痛みをこらえて練習を続けてきたが、1年の冬中村は大きな決断を下した。「これからのボート生活のために」と足の手術を受けることを決意した。

 手術から4カ月が経ち、ようやく中村はボートを漕げるまでに回復した。久しぶりのボートに「高1の時に感じた重さを感じた」と4カ月のブランクを痛感。思うように体が動かず憤った。それでも「マイペースにいこう」と、焦らず地道に練習を継続。そのかいあって、2年生時の新人戦に出場するなど見事な復活を果たした。これで「焦らず地道にやることで大きな壁が乗り越えられることを知った」とケガから継続の重要性を学んだ。

 1、2年出遅れた分中村はさらなる努力を続けた。その結果、3年生時のインカレでは女子の花形種目舵手なしクォドルプルのクルーに選出された。結果はライバルである早大に敗れ、惜しくも2位だったものの、手術後から復帰したことを考えると大健闘だと言える。
学生最後のインカレで中村は女子舵手付きクォドルプルに乗る。「このクルーで勝つ」という強い気持ちで、4年生全員で選んだ艇だ。男女インカレ総合優勝のために中村は最後のインカレに挑む。

◆中村実季 なかむらみき 法4 八潮高出 160㎝