(3)コックス特集

2011.08.03
(3)コックス特集
 コックス(舵手)とは、一人前向きに乗り、舵を取る役割を担う。ペース配分を考えてクルーに指示したり、タイムを計ったり、声を掛けたりしてクルーを鼓舞し統制を図る。コックスの指示は絶対であり、勝敗を握る存在だ。
 第2回は、そんなコックスについて特集します。明大端艇部にはコックス専門の選手が3人いますが、今回はそのうちの一人、小西さん(営4)にお話を伺いました。


 コックスは艇の司令塔として「いろんなレース展開を読んで、ラストスパートのタイミングや勝負どころを見極める」のが役割だ。さらに重要なのは「クルーをまとめること。人数が増えれば増えるほど大変になる」と、そう簡単には務まらないポジションでもある。

 小西がボートを始めたのは高校からで、以来コックス一筋でやってきた。漕ぎたいと思ったことは?との問いに、「漕ぎ手は大きい体格でないとなれないが、コックスだと人数が少なくてレギュラーになりやすい」と実はおいしいポジションでもあるようだ。普段、筋力トレーニングをすることもなく、さらにレース中も「体力は使わないし、レースを楽しんでいる」とコックスならではの発言も聞かれた。

 コックスに就く条件として、一つに小柄であることが挙げられる。理由は少しでも重量を減らすため。実際、大会前になれば55kgまで体重を落とす。高校時代まではそれほど大変ではなかった減量も大学生となった今ではひと苦労だ。一時的とはいえ、食事を抜くまでして減量に励むこともあるそうだ。

狭いボート内で仰向けになり舵を取る小西
狭いボート内で仰向けになり舵を取る小西

 今年のインカレに小西は3年連続となる舵手付きペアで出場する。同種目は2人の漕ぎ手が3人分の体重を乗せて進まなければならないという点で、エイトなどの大人数の種目よりハードな種目かもしれない。日ごろの練習では長い距離をこなすことを意識してスタミナ強化に努めている。過去2年間の成績は惜しくも2位。「追いつけそうで追いつけなかった。日大はずば抜けている」と王者日大との差を痛感。ライバルの存在を認めつつも、「今年こそは勝ちたいという思いは強い」と話した小西。穏やかな口調ながらもそこには彼の気合が感じられた。一番印象に残ったレースは高校時代の国体だそう。「仕掛けるタイミングが完璧だった。全てが報われた」と感じるほどの出来だった。そんな会心のレースを、この夏にも期待したい。

◆小西淳介 こにしじゅんすけ 営4 関西高校出  168cm・59kg

☆次回のRowing!Rowing!Rowing!レガッタ2011は8月6日掲載予定です。