精彩を欠き、3種目総合での連覇逃す/関東学生三大大会

2013.09.18
 2週間前、同じ会場で優勝を果たした時の勢いは、陰を潜めたままだった。6月10日~12日に行われた関東学生馬術争覇戦では見事優勝。そして迎えた今大会。勝って当然と言われることへのプレッシャーがあったのかもしれない。

 明大は昨年、この大会を障害、馬場、総合馬術の3種目いずれも個人、団体ともに制していた。年間を通じても全日本インカレ、六大学戦と並ぶ重要な位置付けの大会であるため、是が非でも勝ちたい試合だった。しかし、結果は団体3種目総合で2位。しかも3種目全てで宿敵・日大に敗れての準優勝。本来なら十分胸を張っていい結果のようにも思われる。だが、そこは明治のプライドが許さない。長年常勝軍団と言われ続け、この大会でも連覇経験が豊富なだけに、悔しい結果となった。

 初日の障害で日大がトップになったものの、明大も3位に入り、総合優勝の可能性は十分に残っていた。「馬場の減点状況が最終結果にそのまま反映されるので、馬場がカギとなる」(作田監督)ため、全体の結果にも大きく関わる2日目の馬場が、カギを握っていた。だが大きなミスはなかったものの、いまひとつ得点が伸びず、日大1位、明大2位で差を詰められない。3、4日目の総合馬術でも出場メンバー全員が、自分の役目を果たしたものの、日大との得点差を埋めることはできなかった。

 5月末の全日本ヤング総合大会で「馬場の出来具合が結果を左右する。今回の大会での大きな課題の一つ。一朝一夕では変わらない」と作田監督が言っていたように、今季の課題ともいえる馬場で思うような結果を残せなかったことが敗因にあるのは間違いない。これから夏に向けて、今まで以上に馬場の対策をする必要があるだろう。その部分を改善しなければ、このまま日大に水をあけられてしまうかもしれない。

 また今大会では、チーム全体としての課題も見つかった。「チームの雰囲気の良さと緊張感がマッチしていなかった」と吉田(賢・政経4)が振り返り「もっと下の学年からもレギュラーを狙ってきてもいい」と佐藤(政経4)が語るように、部員同士が良い意味でライバル意識を持ち、切磋琢磨(せっさたくま)していかなければ、本当の意味での強いチームにはなれない。「再度、チーム内の競争意識を高める必要がある」とは西脇(政経3)。4年生だけでなく、近い将来馬術部を引っ張っていく3年生も思いは同じだ。

 しかしながら、全てが悪かったわけではない。個人を見ると、馬場で吉田(学)主将(政経4)が優勝し、西脇が3位に入った。個々のレベルは高いだけに、チーム全体の底上げができれば、団体の馬場でも好結果につながるだろう。また、総合馬術では、佐藤が2位、吉田(賢)が3位にそれぞれ入った。特に佐藤は最近の大会でも安定して成績を残しており、これからの試合にも期待が高まる。

 他にも好材料はある。総合馬術で吉田(賢)とペアを組んだジェニーブラックの加入だ。パートナーは「(ジェニーブラックは)経験のある馬で安心感はあったが、想像と違う点もあって、誰が乗っても点数が良いという訳ではない」と冷静に分析した。確かに部に加入して間もないため、信頼関係を深めていく必要はありそうだ。それでも「明州の穴をカバーしてくれている。アジア大会の出場経験もあり、総合馬の中でも中心的な存在」と主将が語るように、高齢で全日本ヤング総合大会での失権もあった総合馬の明州に代われるだけの即戦力で、実戦経験も豊富でポテンシャルは十分だ。監督の「ミスを少なくすれば、一定の得点につなげられる段階にいる」という言葉からも期待度の高さがうかがえる。

 今大会は辛酸をなめる結果となったが、「練習の質はかなりいい」(吉田(賢))状態であるから、パートナーである馬との信頼関係をさらに強くしていけば、きっと結果はついてくるだろう。信頼関係を築く上で、吉田(学)主将が言う「他大との大きな違いは、馬と部員が共に生活していること」は大きな強みになるであろう。さらに「OBの存在は大きい」と古賀(商3)が話すように、コーチ陣の存在も忘れてはならないが「優秀なコーチに教わっていてもそれをすぐに実践できるわけではないし、日々練習していって積み重ねていくのが大事」と作田監督の言葉にもあるように、これから夏場に向けて、選手も実感する質の良い練習を継続し実戦に臨むことが求められる。

 そして「(今回の結果を踏まえて)秋に向かって死に物狂いでやるしかない。今の段階では少々厳しいが、インカレの目標は優勝しかない」(作田監督)、「新体制になり、勝てる要素は増えたので、全日本学生(インカレ)まで集中する」(吉田(学)主将)と監督、選手共に11月に兵庫県の三木で行われる全日本インカレを見据えている。おととし、明大はそれまで18連覇していた関東インカレで優勝を逃し2位に終わった。しかしその年の全日本インカレでは見事優勝した。復活できた要因は夏の努力にあった。今年も状況は似ている。悔しい思いを練習にぶつけ、前人未到の全日本インカレ18連覇へ。夏の努力が秋に実を結んだとき、表彰台の定位置に立つ彼らの姿がある。

試合後のコメント
作田監督

「日大が力をつけてきているが、現時点での実力差はほとんどないから、あまり気落ちする必要はない。危機感を持ち、今回の悔しさをバネに、奮起を期待したい」。

吉田(学)主将
「全体的に馬の調子は悪くなかった。個人的には、最終日の余力審査で一番手だったので、失点0で行かないといけなかった。日大との人の(面での)実力差が出た。勝ったチームが強く、負けた僕らが弱かったということ。負けたことを受け止め、改善し、チームとして立ち直らないといけない。これまでも毎日ミーティングをし、チームで話し合ってきた。チーム全体が最後まで気持ちを切らさずにできたことは収穫だが、当たり前のことでもある」。

佐藤
「馬場がいまいちだった。馬場で上位にいて余力まで減点0できて落ちないのが理想。技術では負けていないが、メンタル的な部分では日大の方が上だった。1年のためにも4年が勝たなきゃいけない。プレッシャーを背負っていくべき」。

吉田(賢)
「コーチを迎え質の高い練習ができていて、おごりがあったかもしれない。自分たちの意識の問題なのに、優秀なコーチについているという変な安心感があった。今回は周りの人をがっかりさせてしまったので、インカレでその分まで勝ってくる」。

古賀
「個人的には特に馬場が課題。(馬場は)大学から始めたので大変だが、結果に大きく響く要素であるから重点的に練習する。インドアと野外の違いに慣れ、両面で上達しなければいけない。明望は、練習では弱さが出るが、本番では力を発揮したから安心した。特に総合(野外)での適応力があり、これからに期待が膨らんだ。夏に向けて、初経験の三木で、結果を出せるようにしたいので、そのためにも練習をしっかりする。そして、(今回負けた分を)全学(インカレ)で取り返す。勝つしかない」。

西脇
「個人としては、障害・馬場・総合ともに最悪だった。夏に向けて、三木への遠征は(人馬ともに)負担だが、ひとまずは、今の馬とのコンビを大切にしていく必要がある。何よりも、馬が、日本の暑い夏を乗り越えられるようにしなければならない」。