鎧坂主将、アジアの舞台で5位/アジア選手権

2011.07.10

 「M」が刻まれた紫紺のユニホームではなく、胸にはJAPANの文字。この日は明大の鎧坂主将が日本代表として日の丸を背負ってトラックに立った。
 いつになく積極的なレースだった。スタート直後すぐ前へ飛び出し、ハイレベルな選手の中で積極的にレースを引っ張る。3000mまで先頭に立ち続け、攻めの姿勢を貫いた。果敢な日本人選手の姿に会場の声援が集まる。

 アジア選手権は2年に1度行われる、アジアナンバーワン決定戦だ。アジアの国と地域約40が参加している。また今大会は、今年8月に韓国・テグで行われる世界陸上の代表最終選考会の意味も持つ。今大会で優勝すれば選考の対象にも成り得る。
 晴天でコンディションも良く、大会記録も続出するレベルの高い戦いに会場は熱気に包まれ、盛り上がりをみせた。大学生で今回男子長距離代表選手に選ばれたのは村澤(東海大)と鎧坂主将だけである。

 大会3日目。この日の最終種目、男子5000m決勝の号砲が鳴り響く。
 スタートしてすぐ鎧坂主将は先頭へ出ると、先頭集団の7人が縦一列に並び、そのままひた走る。会場の声援を一身に受け、鎧坂主将は先頭のままトラックを7周。
 レースが動いたのは3000m手前。バーレーンのゲブレ選手が前に出る。3200mを過ぎた辺りで周回遅れの選手を抜かす際に鎧坂主将は他の選手と接触し足がもつれて体勢を崩すが、すぐさま立て直す。すかさず3300m付近でバーレーンの2選手が一気にペースを上げて後方の選手を離しにかかる。バーレーン選手陣はレースペースを自在に変化させ、巧みにゆさぶりをかけてきた。

 1位集団がバーレーン人選手の2人に、3位集団が日本人選手3人の塊になるが、ここから鎧坂主将は後退する。必死に前に食らい付くが、4300mを過ぎた辺りから前との差は広がり単独5位に。そのまま5位でフィニッシュ。フィニッシュ後、悔しそうな表情を見せたが、トラックに深々と一礼をして競技場を後にした。

 果敢に勝負を挑み、最後は力及ばなかった。しかしアジアという大舞台を経験することで、彼はまた場数を踏んだ。

 鎧坂主将は、JAPANのユニフォームを着て今度はユニバーシアード日本代表としてレースを戦う。8月中旬、戦いの場所は中国・深圳。紫紺のランナーが日の丸を背負って世界の舞台に立つ。

[西井岬]

順位 氏名 国名(所属) タイム
◆男子5000m決勝結果一覧◆
1位 デジュネレガサム ムートゥマー バーレーン 13分39秒71
2位 佐藤悠基 日本(日清食品グループ) 13分40秒78
3位 アレム・ベケレ ゲブレ バーレーン 13分41秒93
4位 渡邊和也 日本(四国電力) 13分48秒81
5位 鎧坂主将 日本(明大) 13分54秒35
6位 スレシュ クマール インド 14分05秒64