(3)RB・スペシャルチーム編
RB(ランニングバック)の役割
RBの役割は一般的に、QB(クォーターバック)から手渡されたボールを持って相手ディフェンスをかいくぐり、相手陣地めがけて1cmでも前へとゲインすることにある。それ以外にも、ボールを持ったふりをして相手ディフェンスを引き付けてボール保持者から遠ざけることもプレーによっては重要な役割になる。求められる能力としては脚力と小回り、そして何より相手ディフェンスにつぶされないようなパワーが挙げられる。また、相手ディフェンス陣の「穴」を見つける視野の広さも必要だ。
魅力・見どころ
RBの見どころは何と言ってもランプレーだ。OL(オフェンスライン)がこじ開けた相手ディフェンスの穴になりふり構わず体ごと突っ込む、タックルを華麗なフットワークでかわすさま、激しいタックルを受けて崩れ落ちても何事もなかったように平然と立ち上がる様子……ランプレーには「フィールドの格闘技」と評されるアメフトの格闘技的要素全てが詰まっている。RBの魅力について選手たちは「まず分かりやすさ。アメフトを知らない人でもRBのプレーは分かる。アメフトのスピード、パワーなどが一番伝わると思う」(宇佐美・政経4)、「1人じゃ何もできないところ。味方がディフェンスをこじ開けて初めて成り立つポジション」(川上・商4)、「相手のタックルをかわしたときが一番かっこいい」(中島・政経4)と語っている。
第2回でも触れたようにグリフィンズは「ランの明治」と呼ばれるほど伝統的にランプレーが強く、エースランナーを多数輩出してきた。ここ2、3年では喜代吉壮太氏(平22理工卒)、小谷田圭純氏(平23政経卒)の印象が強い。今年度も同様に川上、宇佐美、高松(政経3)、小形(政経2)などを中心にRBの駒はそろっており、まだまだ「ランの明治」は健在だ。
スペシャルチームの役割
スペシャルチームとは、各ポジションの専門性が高いアメリカンフットボールならではの制度である。オフェンス・ディフェンス両面の極めて特殊な局面で登場するチームのことを指す。今回の特集ではK(キッカー)に焦点を当てたい。K(キッカー)は主にキッキング・ゲーム(ボールを蹴る必要がある場面)で登場する。例えば、3rdダウン(3回目の攻撃)までに思うように思うようにゲインできず4thダウン(4回目の攻撃)でパントを選択し陣地を回復する時のプレーや、フィールドゴールを狙うときのプレーなどだ。総じて絶対に失敗できないという局面が多く、一つ一つのプレーに確実性が求められる。またグリフィンズの場合はほとんどが他のポジションとK(キッカー)を兼任するため、ケガに強いというのも大切な要素だ。
魅力・見どころ
上記のようにK(キッカー)の登場する場面は、「絶対に失敗できない」という局面が多い。「絶対に失敗できないというプレッシャーの中で蹴り、点を決めた時の達成感に魅力を感じる」と坂井(政経3)。今年は日大三高から注目のK(キッカー)・赤津(文1)が加入したグリフィンズ。坂井、赤津が見せる空中戦にも注目したい。
今季のグリフィンズ
関西学大ファイターズとの定期戦を14―22と惜しくも敗れた明大グリフィンズ。しかし、スコア以上に「前半戦の取りこぼしが痛かった」(川上)、「オフェンスとしては完敗」(高松)とチームの未完成さをたたきつけられたという印象が強いようだ。今年のRB陣の課題は「最上級生が若いQB・OLをいかに盛り立てられるか」(中島)にある。
RBというポジションはOLとの連携や意思疎通が重要になるが、堀龍正氏(平23政経卒)を中心としたOL陣が卒業し一気に若くなってしまったため、4年生の多いRBのオフェンスチームにおける盛り立て役という役割は大きくなる。「自分たち最上級生が『勝ちへの姿勢』を見せることが大切」(宇佐美)、「プレーで若い連中を引っ張っていきたい」(川上)と4年生が意気込んでいる。宇佐美・川上・中島らの4年生のリーダーシップ、そして昨シーズンから成長著しい高松・小形のランプレーに期待が懸かる。
また、今年のグリフィンズは坂井・赤津と2枚のK(キッカー)で勝負する。「キックは全部決める」(坂井)。ラン・パスに次ぐグリフィンズの第三の攻撃パターンになれるか注目したい。
~注目選手~
・宇佐美大輝(RB)
今年度オフェンスリーダーを務める。今年のテーマは「ミスのないオフェンスチームの構築を目指す。オフェンスのメンバー、一人一人に対して的確なアドバイスをしたい」と宇佐美。組織力のあるオフェンスチームを作れるか。
・川上裕輔(RB)
昨年はチームトップの375ラッシングヤードを記録し、充実したシーズンとなった。今年は副将も兼ねる。副将という立場について「主将を支えつつ、後輩の意見も聞きつつなので難しい」と川上。「自分の走りでチームを勝たせるという気持ちを持ち続ける」(川上)ことを今年のテーマに掲げる。
・中島亮介(RB)
昨年から徐々に出場機会増やす。関西学大ファイターズとの一戦では試合中盤にダウン更新をする見事なランプレーがあった。「必ず全員で、誰も欠けることなく甲子園ボウルに出場する」(中島)。その思いを実現させるために1ヤードでも前にゲインしたい。
・高松俊幸(RB)
昨年は川上に次ぐ374ラッシングヤードを記録するなど、リーグ屈指のRBへと成長を遂げ、下級生ながら「ランの明治」の屋台骨を支えた。今年は喜代吉氏の背番号「33」を継承。今年のテーマは「チームの勝ちのために働くこと。安定したゲインを見込めるランナーになる」(高松)と意気込む。
・小形亮介(RB)
昨年はキックオフリターンタッチダウンを2本決めるなど、リターナーとして活躍。今年のテーマは「平常心でプレーする」(小形)こと。マイペースな素顔からはギャップのある爆発的なスピードに注目。
・坂井亮介(K/OL)
昨年は25本のトライフォーポイントのキックを全て成功させるなど安定した活躍を見せた。「(キッキング・ゲームで出場したら)ショートだろうがロングだろうが全て成功させる」(坂井)。
・赤津裕之(K/RB)
名門・日大三高から鳴り物入りで入学。高校時代はOL兼Kだった。関西学大ファイターズ戦でフィールドゴールを狙う場面で出場するも得点することはできなかったが、チームの期待を背負うルーキーキッカー。
◆宇佐美大輝 うさみだいき 政経4 日大三高出 175cm・82kg
◆川上裕輔 かわかみゆうすけ 商4 明大中野高出 168cm・70kg
◆中島亮介 なかじまりょうすけ 政経4 明大明治高出 175cm・70kg
◆高松俊幸 たかまつとしゆき 政経3 駒場学園高出 173cm・70kg
◆坂井亮介 さかいりょうすけ 政経3 法政二高出 173cm・81kg
◆小形亮介 おがたりょうすけ 政経2 日大三高 165cm・70kg
◆赤津裕之 あかつひろゆき 文1 日大三高出 173cm・110kg
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