48年ぶりに上位入賞/第87回東京箱根間往復大学駅伝競走

1999.01.01
 3日は5区・大江(政経2)の区間2位の力走もあり、昨年より2つ順位を上げた4位からのスタートとなった本学。復路でも粘りを見せ、48年ぶりとなる上位入賞を果たした。

 復路のスタートを切ったのは、大学駅伝初出場の廣瀬。「最初の上りでリズム良く上れなかったことが響いた」(廣瀬)と、区間新記録を叩き出した千葉(駒大)に抜かれ、区間17位の苦しいレースになった。順位を1つ下げたものの、なんとか5位にとどまり渡辺に襷をつないだ。

 7区を任されたのは、2年連続の箱根駅伝出場となった渡辺。今季はなかなか調子が上がらなかったが、11月に行われた上尾ハーフマラソンでの部内4位の好走をきっかけに復調した。「順位を落とさないように考えた」(渡辺)と、5位をキープしたまま平塚中継所へ。

 8区は最初で最後の箱根駅伝となる、4年生の岸本が起用された。首脳陣も「不安だった」(山本コーチ)と話すが、その不安を一掃する区間6位の走りで大健闘。岸本自身も「最後の大会で、100%を出せて良かった」と喜んだ。「15㎞くらいからきつく、体も動かなくなった」(岸本)と振り返るが、最終的に前を走る東海大との差を9秒まで縮め、襷をつなぐと倒れこんだ。「応援が力になった。緊張したが楽しめた」と、沿道の声援にも背中を押され、2日間合わせて約112万人の観客を集めた、箱根駅伝の舞台を楽しんだ。

 9区細川(勇)は、安定した走りで9秒差あった東海大をとらえる。中継所前でわずかに離されてしまったが、東海大との差を4秒まで縮め、4位争いをアンカー・小林(優)主将に託した。「箱根で無難な走りができたことは自信になる」(細川・勇)と大舞台で手応えをつかんだようだ。

 当初山登りの5区での起用予定であった、小林(優)主将。しかし、11月の終わりにケガをしてしまい、比較的平坦な10区での起用となった。「ケガで合宿にも行けず、不安だった」と話す小林(優)主将だが、練習不足を感じさせない走りで、4秒差に詰まっていた前を行く藤井(東海大)と、終始並走状態に。日比谷通りに入っても、熾烈な4位争いが繰り広げられた。最後は、「スパートが止まってしまった」(小林・優主将)と藤井の驚異的なスパートに引き離されたものの、5位でフィニッシュ。待ち構えていたチームメートに迎えられた。

 今大会をもって、4年生は引退となる。絶対的なエースがおらず、「穴の世代」といわれた4年生。しかし、彼らの地道な努力によって、48年ぶりとなる上位入賞を果たすことができた。その姿から後輩たちも多くのことを学んだだろう。

 今回の5位入賞で3年連続のシード権を獲得し、シード権内の常連校ともなっている本学。今ではシード権獲得はもちろん、順位も期待されるようになり、戦力的にも十分上位を狙える位置にいる。次の箱根で目指すは「優勝」の2文字だ。

~コメント~
遠藤監督
「予定通り。狙い通りの結果。松本は1区は集団でそんなに離れなかったから順当。
鎧坂は疲れもあったと思うからこれからしっかり休ませる。鎧坂の力はほしいがそれに頼らないチームを目指していきたい。大江はクレバー。たいして準備してないのに1時間20分切れるのは大したもの。48年ぶりの5位だけどなるべくしてなったという感じ。プラスの連鎖が続いたのが良かった。まだまだ発展途上のチームだからもっと強くなる。狙って勝つのと、たまたま勝つのでは違う。西監督は優勝を狙うと言っているが、それは今まで全くなかったこと。駒がそろってきたし、自信があるということでしょう。これからは要求されるものが高くなる。プレッシャーもあるが、そうなることはいいこと。コツコツ練習を積まなくては」。

西駅伝監督
「1区は力負け。あのスローペースだと5位か6位じゃないと。ただ、3位と30秒差だったので、良くはないけど悪くもない。1区は松本(翔)以外の人選がなかった。慣れれば北條(平22年文卒)みたいに走ってくれるかもしれないとも思った。2区は村澤(東海大)が6分台だけど、鎧坂なりに走った。80点です。目標タイム以上だしね。菊地はもともと持ってるものは高いんだし、出雲・全日本できっかけをつかんで今日は良く走ってくれた。5区は80分台で行けばいいと思っていたが思っていた以上のものが出た。来年のことはまだわからないけど、この経験は重要。8区は迷った結果の岸本。これまでコツコツとやってきたし、調子も良かったので起用した。どっちかとは思っていたが、いい方向に当たったね。10区は故障明けだし、4位5位どちらでも変わらない。とにかく無理をして痛んでしまってはいけないので無理をしないように走らせた。レース後に歩けなかったのはマメがつぶれただけ。5位という結果は満足はしていない。もう少し、上に行ってほしかったけど、十分」。

山本コーチ
「上出来。良く走った方。故障者もいて、3位以内に入るのは厳しかったので、5・6番じゃないかなと思っていた。妥当な順番。復路組は良く走ったと思う。主力が集中する往路はちゃんと走って当然。鎧坂・菊地は実力もあるし、結果を出して当然。小林(優)は1カ月前にケガをしてしまったが、今までコツコツ練習してきた選手だし、西駅伝監督とも走れるのなら使おうという気持ちでいた。小林(優)の起用を考えていた5区に大江を使うことは、不安はなかった。大江は大丈夫だと思っていた。逆に、復路に力のある小林(優)を置ければ、うちは余裕ができるとも考えられるし。大崩れはしないんじゃないかなと思っていた。鎧坂の活躍は他の選手に刺激与えてる。今年は4年生だし、上の学年が強いと説得力が出るし、良い。来年は優勝を目指さないと、3位も目指せない。目標は高いところに。トップを取るという意識を植え付けていきたい」。

1区 松本(翔)
「上位の方で渡すつもりでいた。1区は平坦な印象で、ラスト3㎞が勝負だと思っていた。3位集団はスローペースだったので自分の展開だと思ったが、ラスト3㎞で思ったより足に残っていなくてスパートに対応できなかった。途切れることのないのぼりや応援はすごく力になった。自分は15位だったけど、後ろの9人が5位まで上げてくれて良かった。4年間やってきたものを箱根で全て出し切れた訳ではないが、4年間一緒にやってきたこのチームで5位という結果はうれしい。この4年間で一番いい結果なので。メンバーに入りたいという気持ちをみんなが持っていたから、お互いに高め合うことができた。チーム一丸になって臨むことができたと思う。後輩たちは優勝を狙えると思うので、それを目標にやっていってほしい」。

2区 鎧坂
「襷をもらったとき、前に行きたいなと思っていた。競っていけたらと。西さんには、「落ち着いてレースすればいいから」と言われていた。レース中は監督車の関係で近くにいなかった。20㎞過ぎてから監督車が近くに来たので。(集団が近づいていて一度後ろを見たのは)給水で西さんが来ないかなと思っていただけで、焦りとかは何もなかった。村澤に付いていかなかったのは、自分の走るリズムと合わなかったから。体が合わなかったから引いた。村澤は強い。マイナ(拓大)は思っていたより延びてこなかった。個人的には、前にいけて良かった。区間賞は狙っていたが、村澤が66分で区間賞を取っていて。自分の力不足。チームとしては、一人一人力を出せた選手が多く、ブレーキも少なく良かったと思う。4年生の先輩には、1年間引っ張ってきてもらい、感謝している。箱根5位というのは、しっかり引っ張ってきてくれた結果。次から自分たちが1番上になるが、自分たちのスタイルは変えずにやれることをやっていく。試合は、勝ちにいく。練習では勝てる練習をする。チームでも同じように、箱根では優勝を目標に頑張りたい」。

3区 菊地
「西さんから、3・4区どっちがいい?と冗談っぽく聞かれたので3区を志願した。準エース区間で自分がしっかり走りたかったので。前半で流れを作ろうと臨んだ。東海大が近くにいい位置でいたのでそれを目標にした。箱根はやっぱり楽しみでワクワク。15㎞くらいで足がけいれんしてしまって、後半スパートできなかったのが自分の力のないところ。それを考えるとまだ区間でも上の順位を狙えた。これまではタイム通りに走れないことが多かったが、やっぱり場数を踏んで、変に意識しないように普段通りの走りを心掛けてきた。大江は力があるのでしっかり走るだろうと思っていた。まだまだ2人で競い合って上に行きたい。自分はまだまだ。日本人1位とかそういう戦いをしたい。1年生に負けたのが悔しい。来年は優勝したい。冬季練習、ロードを通じて、自分を高めていきたい」。

4区 北
「力がないと感じた。最初速めに入ってそれを安定させて、後半粘ろうと思っていた。実際には速く入ったが、中盤ちょっと落ちて、そのままズルズルといってしまった。前にいた東海大を絶対抜こうと思っていたが、なかなか差が縮まらなかったので気持ちの面でもやられてしまった。4区は距離も短く、細かいアップダウンもあって好きなコースだと思っていた。でも本当は区間賞を取らなきゃいけないところで区間11位。しっかり努力していかなきゃいけない。応援は力になった。鳥肌が立つぐらいすごかった。今は終わったばかりなので、自分の目標を定めるところからもう一度始めたい」。

5区 大江
「もともと、6区の予定だったけれど、12月に5区で走ると言われた。試走は2回くらい。5区と言われても、動揺はしなかった。やるしかないと思った。5区は楽しく走れた。もちろんしんどいが、それよりも楽しかった。設定タイムよりも上。実際終わってタイムを見たら、もっといけるんじゃないか、と。みんなの頑張りもあったし、自分も流れを作れた。昨年6区を走ったけれど、山登りの方が合っている。襷を受けたときも、どの順位できても自分の走りをしようと思っていた。駒澤が近くにいたので一緒に行って流れを作ろうと思った。タイムを見て、速いなとびっくりしたけど、大丈夫だった。来年は78分台を出したい」。

6区 廣瀬
「最初の上りでリズム良く上れなかった。その序盤でのことが響いた。試走ではコース確認だけで、タイムトライアルが無かったので、実際走ってみないとわからない状況だった。区間順位が1番悪くて申し訳ない。来年また同じ区間でリベンジしたい。最初5㎞まで上りなので、そこまでのタイム設定があったが、だいぶ遅くなってしまった。下りは思い切って流れにのって走ろうと考えていた。コースを見て、下りは好きな方なので、不安はなかった。初めての箱根だったが、それほど緊張せずにリラックスして臨めた。レース中、両足のマメの痛みが気になったが、1秒でもはやく襷をつなごうと思った。もっとまだまだいきたかった、タイムもいけたはず。往路がすごく良くて、復路のスタートの自分がもっと流れにのれば、もっと上にもいけた。次は、もっとチームに貢献できる走りがしたい。あこがれの舞台で、走るだけでなく結果を残したい」。

7区 渡辺
「7区を走るというのは12月の時点で言われていた。後半粘らないといけなかったところを粘れた。前半は良く走れていたが、中盤でペースダウンしてしまった。襷を受け取ったときは、東海大を詰めようと思って走った。後半だれないように気をつけた。前方に東海大が見えてからはなるべく詰めた。とりあえず、順位は落とさないように考えた。後半はきつかった。順位は2桁で良くないけれど、課題が見つかって良かった。課題というのは中だるみをしないようにということ。久しぶりに駅伝を走って、普段自分一人で走っているのとは違い、襷は前の人からつがれたもので自分だけの大会じゃないと感じた。大江、菊地はライバル視しているので、自分もそれに負けないようにと思って臨んだ。総合5位は昨年より上なので、ほっとしたけれど、来年はそれ以上にいきたい」。

8区 岸本
「走るのは、1月1日に言われた。どこでもいける準備をしていた。最後の大会で、100%を出せて良かった。1桁で走れと言われていて、区間6位という結果は、もう少しいければ良かったと思う。すごく緊張した。スタート前に先輩方が励ましてくれ、とにかく楽しもうと思って走った。楽しめた。最初から最後まで応援があって、15㎞くらいからきつく、体も、動かなかったけど、応援がとても力になった。感謝したい。個人的には、ラストで4年間の結果が出せてうれしい。箱根は夢に見た大会で。4年間は8割きつく、苦しかった。学生っぽいこともしてないと思う。2割はチームメート、先輩、後輩と笑って過ごせた。最後まであきらめなければ、形として現れることを感じた」。

9区 細川(勇)
「往路が良い流れでつないでくれて、復路も8区の岸本さんなどが粘ってくれた。良い位置で襷をもらい、自分も良い流れにのって走ることができた。東海大の金子さんは大舞台で結果を残されている方。ついていって、粘ろうと考えたが、(金子さんの)調子が悪かったのか意外とペースが上がらず、自分で引っ張った。しっかり、切り替えられたのは良かった。2年ぶりの箱根駅伝、今季は全日本にも出たが、少し緊張した。レース中は冷静でいることを自分に言い聞かせ、始めつっこみ過ぎないように抑えた。設定タイムが1時間11分30秒で、これと金子さん(東海大)を意識しすぎた。設定タイムは切れたが、区間順位が2桁でブレーキぎみだったのは、来年への反省点。メンバーに選ばれるのは光栄なことなので、来年も走りたい。全日本の後に走れない時期があり、萎えて焦った。しかし箱根で無難な走りができたことは自信になる。今まで部長さんや西さんが、「来年は優勝」と言っても、自分の中では漠然とした夢だった。しかし、今回このメンバーで4位と僅差の5位だったことで、明確で、届く目標になった。上位を狙って、チームを引っ張っていきたい」。

10区 小林(優)主将
「ケガで合宿に行けず、不安感があった。区間10位以内に行きたかったので、5位は思ったより良かった。いいペースで走って、中盤うまく走れた。全日本で気持ち良く走れなかったので。最後スパートが止まってしまったのが残念。やっぱり練習不足で、固まってしまった。ラスト300mは止まるくらいのスピードで。東海大に負けて、悔いが残った。往路が終わって、ミーティングで西駅伝監督から4位あると言われて、目標は1つ上を狙おうと。今回は大きなブレーキがなかったので、よかった。もともと自分が5区を走る予定だったので、大江には申し訳ない気持ち。2年前に自分が5区を走ったときも急場だったので、アドバイスとかはそこまでしていない。でも寮生活の最後は、大江と同部屋だったのでいろいろ話した。でもあの結果は本人の力があってこそ。1年生の時は箱根に出られなくて、3年目は思うように走れなかった。今年こうしているのもコツコツやってきたから。いろんな経験をして、結果が出た。キャプテンとして、チームを引っ張ったりできなかった。でもギリギリで箱根に出られた。2日前に箱根を走ると決めて、出て良かった。後輩にもあきらめずにコツコツやれば結果につながると言いたい」。