(3)2年連続でシード権獲得!/全日本大学駅伝
記録会などで好タイムをたたきだしていた松本は、流れを決める1区を任された。「ペースの早さにびっくりした」(松本)と言うように、スタートして3kmを過ぎたあたりから先頭集団についていけず、中盤に11位と順位を落としてしまう。しかしまだ90kmあまりの長い戦いが残っており諦めるにはまだ早い。
各校のエースの意地がぶつかり合う花の2区。我が明治のエース鎧坂は後方から着々と各校のエースを捕らえ7人抜きで4位に押し上げる。「聞いたときは信じられなかったが嬉しい」(鎧坂)と本人も予想外の区間新記録の偉業を成し遂げた。正しく「エースの走り」で魅せてくれた。
続いて3・4・5区を走ったのは北、菊地、大江。「中盤にペースが落ちた」(北)、「及第点」(菊地)、「結果的に最低限の走りしかできなかった」(大江)と言うものの、各々が任された区間を走りきり、総合順位4位をキープ。大江に関しては、出雲で区間6位・全日本で区間4位とロードでの強さを見せたことから「安心して任せられる」(西駅伝監督)と高い評価を受けた。また先月の出雲1区で苦い思いをした菊地も「あまり気負わないで自分の走りができればいいと考えて走れた」とリベンジを全日本で返せたようだ。
その後、6区では今回が大学駅伝、初レースとなる石間が出走した。「納得のいく走りではなかった」と普段のトラックでのレースとは一味違う、ロードの駅伝の難しさを痛感した様子。しかし「走れて嬉しかった」と憧れの舞台でのデビューに喜びを噛みしめた。
7区で襷を受けた細川(勇)は、昨年度の全日本大学駅伝でアンカーを務めたが、2つ順位を落としてブレーキをしてしまった。しかし今年は一変、区間4位の好走で安定感をアピールした。
今大会では6位までが来年度の出場シード権を獲得することができる。優勝争いと時を同じくして、繰り広げられるシード権争いも見どころの1つだ。4位で襷を受け取った最終走者・小林(優)主将は、他校のエース、ベンジャミン(日大)・村澤(東海大)にかわされ順位を落としてしまい、「シードのためにみんなの手を借りて申し訳ない」(小林(優)主将)と悔しそうにレースを振り返った。すぐ後ろには日体大も迫っていたが、何とか振り切りシード圏内の6位を死守。7位日体大との差はわずか8秒。アンカーという重責のなか、主将として最長区間19.5kmに及ぶ大接戦をものにし、来年度の伊勢路への切符を奪取した。
出雲駅伝・全日本大学駅伝を通して見つかった弱み。それは駅伝全体の流れを決定付ける1区と、最終区の配置だ。両者とも重要な区間なだけに選手にとってもプレッシャーのかかる区間であることは間違いない。どこの大学にとっても悩ましい問題であるだろうが、だからこそ明治はそこで適材を送り込みたい。いかに大きなブレーキをしないで全員が走れるか。区間配置の試行錯誤は続く。
これまでの2大会、出雲駅伝では8位入賞、そして今回の全日本大学駅伝では6位シード獲得と、決して悪い結果とは言えない。なぜなら彼らは「最低限のこと」(西駅伝監督)はこなしているからだ。だが「最高の走りがしたい」(北)、「自分の力を出しきりたい」(大江)。上位に食い込むためには、最低限ではなく持っている力を発揮し各々がタイムを積み重ねなければならない。
箱根駅伝のスタート地点に立つまであと2ヶ月を切った。全ては箱根のために。今日も選手たちは八幡山練習場トラックの周回を重ねる。
~大会直後のコメント~
西駅伝監督
「去年は3位だったし、手放しで喜べる結果ではないが、最低限のことはできたと思う。1区が出遅れてしまった。もう少し良い位置を想定していた。鎧坂でトップに立ちたかった。大江は駅伝できっちり走り、持っている力を出しきれているし、安心して任せられる。そういう選手がもっと出てこなければいけない。菊地は持っているものを出しきれていない。北はもう一歩だ。石間も本来ならばもう少し上にいけるはず。(今回)石間はブレーキだった。もう少し踏ん張らなければいけない。箱根の9区、10区を任せられるような選手がでてきて欲しい。順位がでこぼこしたので、ずっと上位でいられるような安定したレースができれば良い。区間順位だけ見れば良いものの、タイムを見ればここでもう少しという気持ちがある。
正直3位くらいには行きたかった。もっとテレビに映るくらいの位置、上位3校にくっついていくぐらいの位置でいたい。上位の3校も遅れている区間はあったし、そういうところで付け入ることができれば良かったと思う。
収穫は鎧坂。走って当然という中で、やはりしっかり走ってくれた。あとは抜かれたけど小林。後ろに日体大、中大で力としては向こうが上だったけど、よく踏ん張った。箱根に向けては順位のでこぼこをどう修正していくか。まだまだこれからだ」。
山本コーチ
「良かった。シード取れて本当良かった。1区はペースが速かった。どの大学もそういう選手を出してきたしね。菊地は出雲1区失敗して、今回また失敗すると本人も印象が悪くなっちゃうから。鎧以外で一番状態がいい松本をたてたんだけど。記録会にピークを持っていってしまったかな。記録会で結果出した分タメがなかった。鎧坂は経験が違うから。ベースになる力が違う。どんな位置、どんな環境でも走る。大江は安定している。いい練習をしている。4年生2人は順位悪かったけど、きつい区間だったから。つなぎの区間行けばもっと上位で走れる選手。石間はまだまだ。
箱根の前哨戦と言われているけど、最低限の走りはできている。シード取れたのはすごい楽。秋のロードシーズンに集中できるから。予選会出なくていいし。箱根とは全然(予選会の)きつさが違うけど。箱根はとにかくシードとれないとね」。
松本
「次の走者にいい流れで渡せるように臨んだ。目標は5番以内。出雲が終わってからすぐに西駅伝監督から1区でいくと言われていた。日体大記録会で記録が出ていて、そこで調子のピークだった。3キロで時計を見てペースの早さにびっくりした。ペースを落として第二集団で行こうと思った。鎧坂はやはりマイナスを挽回してくれる頼りになるエース。自分もがんばらないと。小林についてはタイムを見てないからわからないけど、展開としてシードを守ってやれることをやってくれた。これからは箱根に調子をあわせてきちんと走れるようにして行きたい」。
鎧坂
「襷をもらったときは、始めは速いペースで入って、前に大きな集団がいたのでまず追いつくことを考えた。中盤以降苦しくなったがブレーキせずに走れた。区間新記録は、聞いたときは信じられなかったが嬉しい。2区以降4位をキープできてよかったが、最後抜かれてしまったのはチームとしての弱さが出たのだと思う。でもシード権をとれたから、最低限の結果は残せた。今年のチームは一人一人がしっかり流れにのれれば走れる。逆に課題は、崩れたときに立て直しがきかないこと、長い距離に不安があること。1年生の北は無難に走ってくれた。石間はさっき話をしたが本人もあまりよくなかったとわかっている。今回の結果を受け止めて次を走れれば。箱根まで2ヵ月あるから練習をしっかりして出雲駅伝・全日本駅伝で出た課題をしっかり克服したい」。
北
「個人的には出雲駅伝も今回も最低限の走りしかできなかった。あまり良くない。チームとしてはシード権が取れてよかった。自分は中盤にペースが落ちる。前半のリズムも整え、1人で走れる力をつけたい。西監督が組んだメニューをこなしていけば、改善できると思う。箱根では、最低シード権が取れるように。今までは最低限の走りしかできていないから、箱根では最高の走りができるようにしたい」。
菊地
「今日の走りは合格点じゃなくて及第点といったところ。満足のいく走りができたかと言われれば、そうではないが、結果はそれなりに走れたので、これからに生かせるようなレースとして捉えたい。出雲駅伝でのすごく大きな失敗が自分の中ではあったので、失ったものを取り返したいと思って今回挑んだ。基本的にあまり気負わないで自分の走りができればいいと考えて走れたので良かった。まだスタミナが足りないと感じたので、箱根までの残りの時間で走り込んで20kmに対応できる力をつけたい。(箱根駅伝では)任せてもらえた区間で、区間賞を狙って、チームとしては上位入賞に貢献できるような走りがしたい。(今回は)大事な区間なので結構緊張はしたが、自分の走りを意識していたので、走れた」。
大江
「個人的には、はじめはいい感じで入れた。しかし後半伸ばせず、結果的に最低限の走りしかできなかった。チームとしては最低シード権獲得が目標だったのでホッとしている。出雲駅伝でも、後半延びず、ジョグのペースを速めにするなど、対策をとってきたが、ダメだった。これは箱根の課題にもなるので、箱根までには絶対に修正したい。出雲・全日本と自分の力を出しきれなかったので、箱根では自分の力を出しきりたい」。
石間
「冷静に行こうと思ったが、血迷ってしまった。始めの5kmを速いペースで走ってしまい、中盤遅くなり苦しくなった。前の人が後ろとの距離をつくってくれていたし、後の人も距離を広げてくれた。自分としては最低限の走りはできたと思う。記録会はよかったが、最近疲れが出て好調ではなかった。ここを乗り切らないといけないし、レギュラーに定着していきたい。鎧坂さんには『もう一回練習をしっかりして長い距離を走れるようにしよう』と言われた。体力よりも気持ち的に成長できるようにしたい。反省をしっかり次に生かしたい。納得のいく走りではないが、走れてうれしかった。テレビで見ていた舞台で自分が走ることは、はじめはイメージできなかった。わくわくと緊張があった。今は終わってほっとしている。全体としては、(小林)優太さんが順位を落としてしまったが、あれは抜いた二人がすごいので仕方のないこと。それよりも、シードをとってくれて心強かった。箱根まで残り2ヵ月だが、走れるならば今日以上の走りをしたい。距離も伸びるので対応すること。足づくりと精神力を強くしたい」。
小林(優)主将
「最初ペースを刻んで走っていこうと臨んだ。後ろに2分くらいで村澤(東海大)とベンジャミン(日大)がいたのでプレッシャーで焦って少しだけだが、早い段階でペースを速めてしまった。後ろから村澤らが来ることはわかっていた。後ろを気にして後半に上りがあることをわかっていたのに力を残せず粘れなかった。日体大の服部がすぐ後にいたが、レース中も直後も気付かなかった。別に体調が悪いところは無かったが、アンカーというプレッシャーで胃がよくなかった。事前にやれることもっとあったはずなので悔しい。シードのためにみんなの手を借りて申し訳ない。シードは最低限の目標だったのでよかった。箱根は毎年ケガで出られない人がいるのでケガ人をなくしていきたい」。
区間 | 個人順位 | 総合順位変遷 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1区 | 11 | 11 | ||||||||||
2区 | 1※ | 4 | ||||||||||
3区 | 6 | 4 | ||||||||||
4区 | 6 | 4 | ||||||||||
5区 | 4 | 4 | ||||||||||
6区 | 10 | 4 | ||||||||||
7区 | 4 | 4 | ||||||||||
8区 | 9 | 6 | ||||||||||
※は区間新記録 この結果、本学は来年度の 全日本大学駅伝のシード権を獲得 |
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