
シーズン到来!男女共に好スタートを切る/東京選手権
まさに有言実行だった。大会前の取材の際、「表彰台を狙っていく」と意気込みを語ってくれた松村。ショートプログラムではスピンでつまづいてしまうもったいないミスがあったものの、3つのジャンプにすべて成功。3位と好位置につける。そして「気を抜かずにやりたい」と臨んだフリースケーティング。着氷の際に手をついてしまったり、ダブルアクセルがシングルになってしまったりと「詰めが甘かった」部分も見られた。しかし持ち味のスケーティングでスコアを伸ばし見事パーソナルベストを15点も更新。堂々の3位に輝いた。
試合前、「棄権したい……」とまで緊張していた野口。そのせいかショートプログラムではジャンプのミスを引きずってしまい8位と出遅れる。翌日に行われたフリー演技では「無難にできた」と順位を1つ上げ、7位に終わった。
橋本は「うまくまとめることができた」というショートプログラムから1つ順位を落とし、8位という結果に。フリーでは得意のトリプルループでの転倒もあり、「見ている人に申し訳ない演技になってしまった」と振り返る。次の大会に向けて、ジャンプが課題となったようだ。
昨年多くの大会で結果を残し、部を引っ張っている石川。だが今回はケガで満足のいく練習ができないまま東京選手権に挑んだ。それでも「うまくまとめられた」というショートプログラムでトップにつける。そして「ショートで見つけた課題を修正しよう」と迎えたフリースケーティング。大きなミスもなくケガの影響を感じさせない演技に、会場からは大きな拍手が。2位に15点もの差をつけ、見事2年連続で大会を制した。しかし本人は演技を振り返って「反省すべき点は多い」と自らを厳しく評価する。頂点に立っても謙虚な姿勢を貫く石川。「さらに新しいことにも取り組んでいきたい」と先を見据えていた。
ショートプログラムで2位につけた高山。最終滑走となったフリーでは最初のジャンプに失敗すると、それが影響したのかミスを連発してしまう。それでも持ち前の表現力の高さでミスをカバーし、昨年同様2位と表彰台入りを果たした。
大人っぽい衣装をまとい、タンゴを演じきった望月。3位の好成績にも「ジャンプが駄目だった」と内容に満足していない様子。「自信を持って滑れるようにしたい」と次に向けての抱負を語ってくれた。
ルーキー大坂は今回がシニアとして初めての大会。「試合前調子が上がらなくてひどかった」とショートプログラムでは本来の実力を発揮できない。しかし「切り替えられた」というフリーで完璧ではないながらもうまくまとめ、順位を上げられたことは自信になったようだ。
男女共に明治の実力と存在感を見せてくれた大会だった。しかしシーズンはまだ始まったばかり。今回手にした課題とどう向き合うかが大切だ。この先に全日本選手権やインカレといった大きな舞台を控え、さらなる高みを目指す選手たちに期待が懸かる。
~試合後のコメント~
松村
「(表彰台入りしたことで)有言実行できた。(フリーの演技を振り返ってみて)練習通りのものを出せたけど、課題は多い。ジャンプはコンビネーションを3回入れる予定だったのに1回しか入れることができなかったり、最後のジャンプで着地のとき氷に足が引っ掛かってしまったりと詰めが甘くなってしまった。また、スピンも回転不足でレベルを取ることができなかった。(ショートが3位だったことに対して)プレッシャーを感じることはなく、いつも通り演技しようと思っていた。ショートでのいい流れをうまくフリーにつなげることができたと思う。表彰台に上れたことは本当にうれしい。パーソナルベストも出すことができた(今までは117点くらい)。今シーズンに勝負をかけて今まで以上に詰めて練習してきた成果を出すことができた。今後はこの結果に満足せず、トリプルを3種類に増やしてさらに得点を伸ばす勢いで頑張りたい」。
野口
「今回は不調だった。ショートプログラムはジャンプが悪く、フリーでやらなきゃと追い込んだ。フリープログラムはあまり良くなかったが無難にはできたと思う。最後まであきらめずに滑り切ることができた。ショートよりもフリーで順位が上がったことはうれしい。今後はジャンプで3回転の種類を増やして上位を目指したい」。
橋本
「大会までの1、2週間くらい練習での調子が悪く、その結果が出てしまった。ショートの演技はまとめることができたが、フリーでは後半のジャンプを全然しめることができず、見ている人に申し訳ない演技になってしまった。(トリプルループで転んだときは)足が棒になったかたちで着地してしまい腰に衝撃がいってしまい、もともとヘルニアであるため腰を痛めてしまった。でもそのケガを演技で見せてはいけないと思った。腰が痛くてもそれをカバーして演技し続けるメンタルの強さが必要だ。また、フリーはジャンプが悪かった分、その悔しさをバネにしてストレートラインステップで思いっきり動いた。今後はジャンプをしっかり決めて、かつ曲を表現できるようにベストを尽くしたい」。
石川
「終わってほっとしている。ショートはケガしていてあまり練習ができていなかった中でうまくまとめることができたと思う。(ショート1位だったことに対して)終わってからは順位よりも出た得点を見てフリーにどうつなげていこうか考えていた。スピンのレベルが思ったより取れていなかったり、後半になるにつれてプログラムコンポーネンツが低くなってしまうという課題をフリーで直そうと思った。フリーの演技を振り返るとジャンプの回転が不足してしまったり、コンビネーションを決めることができなかったり、演技のスピードが足りなかったりと反省すべき点は多い。慎重になりすぎてしまった。それでもケガして練習が思うようにできなかった状況で優勝できたのは今後の自信につながる。自分のできることを集中してやれば結果を出すことはできるということを学んだ。次の大会では今回入れなかったフリップを2回入れるつもり。今後は今大会で見つけた課題と向き合い、さらに新しいことにも取り組んで頑張っていきたい」。
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