(1)三大駅伝初戦、まず8位入賞/出雲全日本大学選抜駅伝
まぶしい日差しが照りつけ、出雲の神々たちが見守るなか、日本全国そしてアメリカからもチームが参加し、全22チームが一斉にスタートを切った。
チームの流れを決める重要な1区を任された菊地は先頭集団の高速ペースについていくことができない。3キロを過ぎたあたりから前方の集団から遅れをとり、さらに5キロを前にして先頭から約200メートル離され、結果総合16位で襷を渡す。このまま後方に取り残されるかに思われた。しかし明大はここから意地の追い上げをみせる。
2区の松本は「調子が良かった」と、5.8キロを区間4位の好タイムで総合順位を13位にまず上げた。
3区鎧坂は着実に前との差を詰め、区間1位と1秒差の区間2位のタイムでチームを総合9位に押し上げる。さらに4区の大江は区間新記録を、5区の北は区間タイ記録を叩き出し、安定した走りでそれぞれ総合順位を1つずつ上げて各々の役割を果たした。
そして明治は10.2キロの今大会最長区間である6区を小林(優)主将に託す。アンカー6区の小林(優)は順位を1つ落としたものの、主将として意地の粘りをみせて大幅な後退を何とか食い止める。そしてゴール付近で大勢の応援団や観客が待ち構えるなか、8位でフィニッシュテープを切った。
初出場した昨年は1区で出遅れてから結果は総合12位に沈んだ。しかし、今年は昨年とは一味違い後方からの追い上げをみせ、特に2区から5区は区間順位1桁台と好走した。対して、駅伝において重要区間であるスタート1区とアンカー6区の重要性を再認識させられるレースになったと言える。
三大駅伝、次に控えるのは11月7日(日)に行われる全日本大学駅伝だ。「区間賞を目標としてやっていきたい」(大江)と個人として更なるタイム向上の意欲も見せる。現在持っている明大チームの力を本番でどれだけ発揮できるか。箱根に続く道は長くて険しい。
~大会後のコメント~
西駅伝監督
「1区の出遅れが響いたが、中間で諦めずに走れたのが良かった。菊地には1つ、課題が見つかったと思う。駅伝は大きなブレーキが1つもないことが理想で、いかにアクシデントやブレーキを少なくするかに懸かっている。鎧坂が流れを変えるのではなく、鎧坂を生かすチームにならなくてはいけない。そのためには鎧坂より前の人が良い位置で来なければいけない。調子が悪ければ悪いなりにいかにしてまとめられるか。100%ではなく、70%最低限を出して欲しい」。
菊地
「緊張していたつもりは無かった。でも周りから緊張していたと見られているなら緊張があったんだと思う。レース前は集団の中にいてペースをあげていくつもりだった。しかし終始自分の走りができていなかった。言い訳はしたくないが、緊張やプレッシャーがあったんだと思う。それでも先輩たちはその中で走ってきたので…。今回はチームの核として臨む難しさを感じた。主要大会では期待に応えられていないので、しっかり今回の結果を受け止めたい。メンタル面が自分は弱い。どんな状況でも力を出せる強さが自分にはまだ足りないが、全日本ではどの区間でも最高の役割を果たしたい」。
松本
「ロードに慣れていこうという気持ちで臨んだ。久しぶりの駅伝は楽しかった。前に3人くらいいたので目標にして、詰めていければ、と思っていた。個人結果は思った以上に良かった。昨年より総合の力は落ちたが、その結果個人の意識は上がっている」。
鎧坂
「もらった位置が悪く、流れも悪かったので1つでも順位を上げようと思った。はじめの1キロは抑えめに走り、少しずつペースを上げようとしたが、上手く上げられず、後半ペースが落ちてしまった。でも見える選手はきちんととらえられたし、それぞれが1人で追いかける大会できちんと追いかけられた。ただ、もう少し詰めてあげれれば後の選手が楽だったかなとは思う。今回は苦しくても粘りのレースができた。伊勢では今回の反省を生かしたい」。
大江
「序盤はいい感じで入れたが、中盤からの伸びを欠いてしまった。箱根以来の駅伝で想像以上に緊張したけど、初めての出雲で思い切って走ろうと思った。襷をもらった時は無心で、とにかく前を追いかけようと思った。力は出し切れたと思うが、後半伸びなかったのが悔しい。5区の北に6位集団が見える位置で渡したかった。日体大記録会のあたりから調子が良くなり、良い流れで出雲に臨めた。鎧坂さんから良い流れでくると思ったので、それをさらに加速させるような走りをしたいと考えていた。4区は責任のある区間なのでしっかり走ろうと思った」。
北
「自分の走りにはまだ満足していない。みんなで喜んでいる場面を想像しながら走っていた。駅伝は好き。大学に入って初めての駅伝だったが、あまり良い記録ではない。切り替えて次に備えたい。全日本・箱根では最低でもシード権獲得が目標。チームとして頑張りたい」。
小林(優)主将
「6区を任せてもらったが、期待に応えることができず、とても悔しい。昨年度は三大駅伝すべてに出場したいと思っていたが、怪我で出場できなかった。1年越しの想いが実現するということで、気持ちが入っていたことが、逆に裏目に出てしまった。前半は後ろから追われていたので、抜かれないように早めに離しておこうと思ったが、後半でバテてしまった。持ちタイムからすれば、8位よりもう少しいけたはずだという考えがあるかもしれないが、自分や菊地が悔しい思いをしたのも今の実力である。しかし、去年とは違い、1区で出遅れたものの、徐々に順位を上げることができて、チームとしては良かった。(個人としては)任された区間を責任を持って、信頼に応えられるような走りをしたい。(チームとしては)その時に持っている力を出し切りたい。そうすれば結果は自ずとついてくるはずだ」。
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