
駅伝に向け上々の仕上がり/日本学生対校選手権
大会初日の10日。明大は、本大会最初の種目である4×100mリレーで予選落ち。その後も400m、100mと短距離種目が続いたが、いずれも結果を残せなかった。そんな中で口火を切ったのは、5月に行われた関東インカレでも好成績を残した、松本・山崎両選手が出場した1500mであった。ともに予選を通過し、決勝へ進出。松本は、自己ベストを更新し3位に入賞した。この結果に遠藤監督も「箱根に向けてロード中心の練習をしていて、全カレに合わせてきたわけではない。その中での松本の3位は大きい」とたたえた。
大会2日目は、800mの予選・準決勝と10000m決勝が行われた。関東インカレの優勝者で、本大会でも優勝が期待された粟津は、予選・準決勝と危なげなく勝ち進み最終日の決勝へ。プラスで拾われ、準決勝に進出した石丸は積極的に前に出るものの、後半に失速し涙をのんだ。また10000m決勝では、村澤(東海大)や平賀(早大)など来年の箱根駅伝でも活躍が期待されるエース級の選手が多数出場した。4000m付近までは集団で固まっていたものの、ベンジャミン(日大)がスパートをかけると集団は一気にバラける。大江もついていけずに、後続集団から先頭を追う形に。5200m付近からはベンジャミンの独走状態になり、2位の村澤と19秒の大差をつける圧巻の走りをみせた。大江は最後まで追い上げられず、12位。駅伝メンバーを狙っているだけに、「納得いかない結果」(大江)と肩を落とした。
最終日は800mと5000mの決勝が行われた。800mでは大本命の粟津が序盤からレースを引っ張る。だが、ラスト200mで後続の選手が追い上げ、大接戦の末まさかの3位に。レース後明大スタンドに向かって両手を合わせ、謝るようなしぐさもみられた。この結果に粟津は、「うまく使われた。いい位置を取ろうと前に出たが、ペースメーカーのように利用されてしまった」と悔しさをあらわにした。5000m決勝では本学のエース鎧坂と、体調不良が続いていた菊地が出場した。序盤は鎧坂・菊地ともに好位置につけていたが、2800m付近で矢澤(早大)がペースを上げると菊地は先頭集団から外れてしまう。先頭集団の中でも、矢澤・ベンジャミンと集団を引っ張る選手が目まぐるしく変わる中、鎧坂は3番手あたりをキープ。しかし4400m付近になり、三岡(京産大)がロングスパートを仕掛けると、鎧坂は「スピードの切り替えが効かなかった」(山本コーチ)というように、普段の切れを欠き先頭集団から遅れをとってしまう。その後も三岡のペースは落ちることなく1位でフィニッシュ。矢澤とベンジャミンの激烈な2位争いから少し遅れて鎧坂は4位でゴールした。鎧坂は関東インカレでは両者に勝利していて、実力からすればこの結果は満足のいくものではない。しかしあくまで目標は駅伝。鎧坂本人も「今の実力が分かった」と前向きにとらえた。
来月には出雲駅伝が控えており、いよいよ本格的な駅伝シーズンに突入する。今は各校とも駅伝に向けての調整の時期。トラックより駅伝に重きが置かれ、本大会に焦点を当ててなかった中でのこの結果はまずまずといえるだろう。課題は、戦力不足。黄金時代と呼ばれた昨年の4年生が抜けた穴は大きいが、中堅選手がどこまで伸びてくるか。明大の真の強さが問われている。
~試合後のコメント~
遠藤監督
「松本が口火を切ってくれた。箱根に調整を合わせていて、ロード中心の練習なのにこの結果はすごい。松本は、トラックで実力が出せたと思う。競歩、短距離はよくなかった。800mの粟津は、最後を間違っただけのこと。大江も十分。長距離は目立った故障者もいないしいい感じでは。駅伝は優勝を目標にして、一つでも上の順位にいきたい」。
西駅伝監督
「これに向けての調整ができてなかったから結果はいまいちだったかな。鎧坂は勝たなきゃいけないし、あれが今の力だと思う。菊地もまあまあの結果だけど、もう少し頑張れば入賞できたかなという感じ。この時期はモチベーションが挙げるのは難しいし、合宿もあったのでその流れの中でこなす感じで一つのイベントとして臨んだ」。
山本コーチ
「松本は持ってる能力をだせた。山崎は予選が楽だったけど決勝のレース展開ではまだまだ。力をロスする走りだった。大江は冷静にできたしあれくらいだと思う。鎧坂はスピードの切り替えがきかなかった。本当は矢澤、ベンジャミンあたりに行かなきゃいけなかったけど、切れもなかった。菊地は体調も悪かったしまずまずでは。全体的に5000mはレース展開も遅く、その中で二人は落ち着いてできたので悪くはないと思う。合宿明けだし、スピード練習をやってた人が勝てたレースだった」。
松本
「ベスト更新できたし、ギアチェンジもできて良かった。合宿では長い距離を走り込んだ。日本インカレはスピード練習という位置づけで臨んだ。これからは駅伝に向け、切り替えていきたい」。
石丸
「予選はきつかった。プラスで拾ってもらえたのはラッキーだった。予選は良くなかったので準決勝の時は開き直れた。また、予選で一本走ったので刺激が入って体が動いた。だけど準決勝は駄目だった。作戦は悪くなかった。一日2本走れるように基礎体力の強化や加速を中心に練習してきた。今は4年生。今後は楽しく陸上を続けていきたい」。
粟津
「うまく使われた。いい位置を取ろうと前に出たら、ペースメーカーのように利用された。勝たなきゃいけないという気持ちで挑んだ。昨年は秋のシーズンでボロボロだったので、秋に走れるように練習した。1分40秒台での優勝を目標としていたが仕掛けるタイミングを失い、読まれてしまっていた。自分は2週目でもタイムが落ちないから、1周目をうまく走ることが今後の目標。あと、ケガをしない!!短距離ブロックは軌道にのって欲しいし、自分が短距離ブロックを引っ張っていけるようになりたい」。
大江
「今回の結果は正直言って納得いかない。もっと積極的にいかないといけなかった。最初から後ろにいてしまった。後半追い上げる展開をしたかったが、力不足だった。調子は良くなかったが言い訳にはしたくない。29分30秒くらいを目安にしていたが、届かなくて悔しい。多少調整はしたが、慢性的な疲労があった。合宿では多めに距離を踏むようにしている。まだ成果は出ていないけど、全ての合宿が終わったら出ると思う。昨年は出雲も全日本も出れなくて、悔しい思いをした。今年は全部走って、一つは区間賞を取りたい」。
鎧坂
「この大会はトラック練習という気持ちで臨んだ。合宿に挟まれている大会で、切り替えできなかった。合宿の合間なので、そんなに力を注ぐ大会ではないが、ちゃんと走らなければいけない。今の自分の体の感じがよく分かった。(いくつか合宿を終えて、長距離ブロックの力は)全体的に上がってきている」。
菊地
「あまり良くなかった。関カレ終わってから貧血になり、7月いっぱい走れなかった。久しぶりのレースとしては走れたと思うが、実力足りなかった。自分の鍛えていかなければいけない所が見えてきた。駅伝は一人で走らなければいけないが、ペースに耐える力が無く、まだ一人で走ることができない。昨年と比べると長距離ブロックの力は落ちている。鎧坂さん一人に頼るわけにはいかない。みんなで実力上げていかなければ」。
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