連覇達成ならず……決勝で涙呑む 全日本大学選手権

1999.01.01
 あと一歩及ばなかった。2連覇を懸けて臨んだインカレ。明大は予選リーグから準決勝まで危なげない戦いぶりを見せ、日本リーグなど日本のトップレベルでもまれた実力を発揮。準決勝では、春のリーグ戦で苦戦した中大をストレートで制した。優勝候補の青森大と早大が決勝トーナメント2回戦で潰し合うという幸運にも助けられ、決勝まで駒を進めた。決勝戦を前に連覇への期待がおおいに高まったが、卓球ブンデスリーガで活躍している松平や日本代表上田などを擁する青森大の壁は厚く、ゲームカウント1-3で敗戦。惜しくも連覇達成はならなかった。


見せ場つくるも……地力の差見せつけられる
 迎えた青森大との決勝戦、明大の一番手は軽部(営4)。そして対するはドイツで修業を積む松平。格上相手に「むかっていく向かっていく気持ちを意識した」と軽部。第2ゲームでは11-8で奪い一矢報いるも、終盤ラリーで相手に1本多く返され、健闘むなしく1-3で惜敗。軽部は「自分のプレーはできたけれど、リードした時に、そのまま押しきれなかったのがもったいなかった」と自らを分析した。第2試合は、本学が誇る全日本王者のエース水谷(隼・政経3)が松原(青森大)に貫録のストレート勝ち。1勝1敗のタイに持ち込みエースの重責をしっかりと果たした。

 この試合に勝った方が優勝に王手をかける第3試合は、水谷(隼)・甲斐(営3)組と松平・上田組のダブルス対決。4単1複ではダブルスは大きな鍵を握る。「ダブルス取れば8割勝ったようなもの、だが決勝について言えば、取って五分か、4:6」と水谷(隼)はこの試合について話した。絶対負けられない。優勝への重要な一戦に、会場は今大会最高の熱気に包まれた。試合は接戦が予想されたが、両者の明暗がはっきりと分かれる結果となった。日本代表としてもコンビを組んだ松平・上田組は着実に得点を重ねるのに対し、水谷(隼)・甲斐組はリズムに乗り切れない。1ゲーム目を8-11で奪取されると、そのまま悪い流れを断ち切れず、まさかのストレート負け。高山監督は「ダブルスに勝負を懸けたつもりだったが、勝負にならなかった」と脱帽。甲斐も「自分たちから先手を取らないといけないのに、相手から攻められることが多かった」と唇を噛んだ。結果的に、この敗戦はあまりにも手痛すぎた。もう後がなくなった第4試合、松渕(文3)が全日本ジュニアを2連覇した実績をもつ上田と激突。今年好調を維持する松渕も、終始上田に圧倒され、1ゲームも取れず敗戦。この敗北の瞬間、池田主将(法4)にまわすことなく、インカレ2連覇の夢は断たれた。松渕は「試合前から上田対策を練ってきたが、格上相手に持ち味を発揮できなかった」と肩を落とした。
 
勝負にこだわったオーダー
 決勝戦、池田主将はプレーすることなく終わった。それにはある理由がある。2週間前、超大学級選手上田には松渕があたることが決まったからだ。「全員で話し合った結果、(全員が)対上田には分が悪いと消極的だった」と高山監督。上田は4番手だろうという予測から松渕を4番手に、池田主将は5番手におかれた。上田との勝負を避けたというかたちで池田ではなく松渕を起用。だがそれは青森大に勝つための唯一の策であるからに他ならない。第5試合で池田にすべてを託すというパターンに持ち込みたかったが、そのもくろみは2つのことにより崩れた。1つは言うまでもなくダブルスを落としたこと。もう1つは水谷(隼)対松平の対戦にできなったことだ。その結果、第5試合を前にゲームカウント1-3で敗退。池田主将の出番が来ることはなかった。高山監督は「ダブルスをとっておきたかった。(松渕について)相手は世界の代表だし、情けないと言われても松渕にはあれが精一杯。どこがいけなかったとかではない。上田を避けていたのだから仕方がない」と松渕をねぎらった。

 勝負の分かれ目はダブルスを落としたことに尽きる。水野コーチは「ダブルスが取れれば、池田に回っていたので、回してほしかった」と悔しながらに振り返った。

 春季リーグ戦に続き、インカレでも最後に苦杯をなめた。「自分が主将になってから一度も優勝してないので、絶対優勝したい」と池田主将。喉から手が出るほど欲しい「優勝」の二文字。他の選手も「秋は優勝しかない」と口をそろえる。あと一歩のところで届かなかったからこそ、やり遂げた時の達成感は格別なものに違いない。水谷(隼)も「秋にむけて絶対負けられない。先輩たちのために優勝する」と意気込む。日本のトップレベルを相手にしてきた経験や今までの悔しさを糧に、選手たちの思いは、秋季リーグ6連覇として結実する。

☆試合後のコメント☆
高山監督
「いろいろ考えてやってきたが、相手がそれ以上のことをやってきた。ダブルスに勝負を懸けたつもりだったが勝負にならなかった。松平、上田は超大学級プレイヤー。松平対水谷(隼)にしたかった。今回は完全に力負け。今後に向けては戦術とか『考える卓球』を教えていきたい。秋は優勝しかない」

水野コーチ
「青森大に勝ってこそだったので、勝ちたかった。悪い流れの時にベンチからもっと声を掛けられればよかった。いつまでも水谷(隼)頼りではいけない。『自分も』という選手がそろそろでてきてもしい」

池田主将
「悔しい。(主将としてチームを見ると)応援とか勝ちたいとかいう気持ち少しが足りない。だが終わってしまったことは仕方がない。自分が主将になってからまだ一度も優勝してない。チームのみんなにも申し訳ないし、OBの方も応援しにきてくれるので、秋に向けては絶対優勝したい」

軽部
「今回は優勝したので、連覇を目標にやってきた。前回は青森大が参加してなかったので、今回は打倒青森大と早大でやってきた。青森大の日本代表の選手に対して、向かっていく気持ちで、自分の中では自分のプレーができた。リードした時にそのまま押し切れなかったのがもったいなかった。(松平について)最近試合をやれて、サーブとかレシーブとかはわかっていたが、最後のラリーになった時あと1本が向こうのが多く返していた。もう一本自分の方の戻りとかを、しっかりしていれば、勝てたかもしれなかった。準優勝という結果は他の大学からしたら、たぶん立派だと思うすけど、明治からしたら、去年も優勝してるし、春も負けてるので優勝したかった。悔しいです。4年生で最後のリーグ戦なので、今年まだ一回も優勝してないので、最後は優勝したい」

甲斐
「優勝したかった。一人一人頑張ったけど、2位は悔しい。(ダブルスは)自分たちから先手をとらないといけないのに相手から攻められることが多かった。秋に向けては絶対優勝したい。ダブルスもシングルスも強化したい」

松渕
「この舞台に出させてもらって感謝しているけど、期待に応えられなくて残念だった。上田対策を練習してきたが、自分の持ち味を相手に出させてもらえなかった。自分が負けて、チームが負けたので悔しい。春負けているので、秋では優勝目指して頑張りたい」

水谷(隼)
「完敗です。オーダーとか関係なく力がたりなかった。向こうはやりこんできた。去年メンバー不足で不完全燃焼だったので(向こうは)気持ちが強かった。連覇のためにここに来た。まともにぶつかったら確実に負ける相手なので、プレッシャーはなかった。まずは今日の負けを受け入れて、今日以上のプレーをする」