(7)一歩ずつ「前へ」

(7)一歩ずつ「前へ」
 「人生は苦しい時こそ上り坂」。この言葉はある予備校講師にもらったものだ。この言葉を改めて思うと、受験生時代とともに高校3年の夏を思い出す。「面倒くさ」。高校時代、部活に向かいながら口をついて出るのはこの言葉だった。しかし最後の夏となれば別の話。「勝ちたい」という一心が身体を突き動かす。

◆普天間基地問題で、5月決着を鳩山首相は約束した。「命がけで行動する」。首相はこう述べた。にもかかわらず、首相が沖縄県を初めて訪れたのは5月4日。就任から7ヵ月以上も過ぎた遅すぎる沖縄訪問。先ほどの言葉がむなしく響く。5月下旬に原案である辺野古移設で日米が大筋で合意。「最低でも県外移設」の言葉を信じてきた地元の期待は無情にも裏切られた。結局、迷走しただけで何も前には進まなかった。口約束ばかりではなく、もっと早くから最前線で汗を流すべきだったのだ。

◆人間誰にでも無限の可能性があるわけではない。だが誰にでもできることはある。目の前のことを一つずつやることだ。

◆今はどうだろう。4月の新鮮味は失われ、身をもって五月病を体験する。また「面倒くさ」の一言が口をついて出る。考えたり悩んだりはする。だが行動はしない。行動したら、どうなるか?そんなことは分からない。大きな違いが起こるとも思えない。しかし行動する以外に「前へ」進むすべはない。大学生活は何もしないには長すぎるし、何かをするには短すぎる。目の前のことを一歩ずつ、それからさらに一歩、その踏み出す同じ一歩が次へつながる。