(5)夢の二冠へ!エース山本の挑戦

1999.01.01
 感涙にむせぶ選手たちの中で、山本は一人笑顔だった。昨年度の純飛躍団体戦。4年ぶりの優勝にチームは喜びを爆発させた。しかし最高ポイントをマークし、優勝の立役者ともいえる山本は、泣くことができなかった。

 団体戦の前日に行われた純飛躍個人戦。1本目で2位につけ、王座は射程圏内だった。しかし先輩である遠藤友晃(平21年卒・現雪印乳業)が90mのビックジャンプで首位に躍り出、優勝をかっさらった。結果、3位。自身初の個人表彰台となったが、顔を曇らせたままメダルを受け取った。

 「優勝しか狙ってなかった。翌日の団体戦でこそ勝てたけど、やっぱり自分の気持ちが大きかったから。一人泣けなかった」。次こそは二冠――。その思いが、今年度の山本を支えた。

 学生生活ラストイヤー、「人生を変えてくれた明治のために何か残したい」という思いも芽生えた。恩返し、それはやはり優勝という形で。実業団入りも決まった。それに恥じない成績を残したいと例年以上に自らを追い込む。シーズンインの出来は、ジャンプを始めてから一番良い感触だという。「やっぱり明治がナンバーワンでしょ。優勝、しますよ」。

 昨年度の分まで喜び、泣くつもりだ。

◆山本健太 やまもとけんた 営4 北海道余市高出 175㎝・65kg