
明治の海老沼から世界の海老沼へ!!/グランドスラム東京2009
海老沼がアテネ、北京五輪の金メダリスト・内柴(旭化成)を破り、講道館杯優勝を遂げてから1カ月。世界各国から多くの精鋭が集まるグランドスラムが開催された。期待の新星として注目される中、海老沼は講道館杯、グランプリ・アブダビに続き、優勝を収め3冠。世界一の称号を手にした。
2回戦を一本勝ちで勝ち上がり、3回戦でも優勢勝ちを収め4回戦を迎える。
4回戦はワールドランキングで他をはるかに突き放し1位に君臨するツァガンバータル(モンゴル)。試合序盤、相手の力強さに押され、技ありを奪われる。ツァガンバータル優勢かと思われたが、海老沼は「一本取り返せば大丈夫」と冷静に試合に臨んだ。そして中盤、内またで一本。世界一の選手を打ち破った。
内柴がまさかの準々決勝敗退という波乱の展開を見せる中、海老沼は続く準決勝でもキレの良い動きを見せる。相手は去年の嘉納治五郎杯で一本負けし、今大会、内柴をも破ったアン ジョンファン(韓国)。「気持ちで負けないようにした」という海老沼は序盤から積極的な攻めを見せる。1分半が経った時、相手の一瞬のスキを突き、背負い投げで技ありを先取する。途中、相手のケガで試合が中断するハプニングも見られるが、その間も集中力を切らすことなく試合を再開。ちょうど中盤に差し掛かった頃、隅落で技あり。合わせ技一本となり、去年の雪辱を果たした。
そして決勝戦、対戦相手は世界ランク8位のキム・ジョジン(韓国)。「ずっと左の背負い投げばかりかけてきたから相手も左からの背負いを警戒していた」と相手の警戒にうまくリズムをつかめず序盤にリードを許す。しかし、「思い切って右からの背負いを使った」ことで相手の意表を突き、中盤に背負い投げで一本勝ち。5戦中、4戦を一本で完勝し見事、世界の柔道家の頂点に立った。
試合後、海老沼は「この優勝は自信になった。ロンドンまで一つ一つ結果を出していく」と未来の五輪選手として心強いコメントを残した。園田助監督もまだまだ未熟としながらも「これから求められるものはどんどん高くなっていく。自分で試合が支配できるように」と大きな期待を寄せている。今大会の優勝も海老沼には通過点でしかない。目指すは五輪という大舞台。今回の活躍で、海老沼は内柴を抜き、世界ランク国内1位となっている。夢の舞台は着実に近づいてきている。海老沼の今後の活躍から目が離せない。
~試合後のコメント~
海老沼
「この1年は負けもしたし勝ちもした。この優勝は自信になった。いい形で一年を締めくくれた。講道館、アブダビ大会、グランドスラムと結果を残せたのは、9月の全日本ジュニアでの敗戦の悔しさが大きかったから。来年からが本当の勝負。五輪のポイントに反映されるのは来年の大会からだから。来年取らなきゃ意味がない。自分の中では、五輪代表になることが大事。ロンドン五輪での優勝を目指す」
関連記事
RELATED ENTRIES