
選手インタビュー(5)~喜代吉壮太~
――法大戦を終えて、今の心境は?
「全然負けた気がしませんでした。勝てる試合を落とした、という気持ちのほうが強いかもしれません」。
――最初のプレーでいきなりOFのミスが出てしまいましたが?
「あの場面はどきっとしました。試合前のプランとしては、前半にタッチダウン2本差つけて折り返す予定だったんです。それが逆に法大に2本差つけられてしまって・・・。それが最後まで響いてしまったかな、と思います」。
――第3Qは完全にグリフィンズのペースでしたが、要因は何だったのでしょうか?
「“勝ちたい”という気持ちが相手を上回っていたんだと思います。後半のキックオフは野崎総監督の指示でオンサイドキックにしました。監督から“行け”って言われた時は、自分としてはちょっと不安もあったんですけどね(苦笑)
でも、あれが成功したから完全に明治の流れにすることができたんだと思います」。
――観客席からは明治コールや校歌も響いていました。お聞きになってどうでしたか?
「すごくうれしかったです。お客さんの後押しってすごいんだな、と思いました。本当に気持ち良かったし、気持ちが入りました」。
――試合終盤の明大OFには鬼気迫るものがありました。
「ワイルドキャットフォーメーションでのノーハドルのプレーは、もともと対法大戦用に準備していたものです。あの時は、ケガした足の痛みも残り時間も分からないくらい必死でプレーしていました。4th&1のギャンブルは“絶対いける”と思っていたんですけど、気づいたら目の前にカバーしていたはずの法大の選手が来ていて……。倒された瞬間は本当に悔しかったです」。
――試合が終わった後、最後までフィールドに佇んでいた姿が印象的でした。あの瞬間、何を思っていたのでしょうか?
「これで全部終わっちゃったんだな、と思っていました」。
――日本一という夢を叶えるはできませんでしたが、グリフィンズで過ごした4年間は喜代吉さんにとってどんなものでしたか?
「学生生活のすべてだったと思います。“最後の青春”というか……。こんなに一つのことに本気になって、みんなで泣いたりできることなんて、ほかにはないと思うんです。この4年間は絶対に今後に生かせると思うし、生かしていきたいです」。
――共に戦い抜いた4年生はどんな存在でしたか?
「今年の4年生は、本当に仲の良い学年でした。合宿とかも本当に楽しかったです。そして仲がいいだけじゃなくて、言いたいことは言い合える、一人一人がすごく頑張っている学年だったと思います。だからかもしれませんが、後輩も“4年生がいてくれたから頑張れた”、“4年生を甲子園に連れて行きたかった”って言ってくれて。それがすごくうれしかったですね」。
――喜代吉さんにとって“アメリカンフットボール”とは?
「人生そのもの……ですかね。そこまで言っていいのか分からないですけど(苦笑)
でも、今の自分があるのはアメフトのおかげですから」。
「以前から、アメフトで就職はしないと決めていました。仕事を思いっきりやって、それで物足りなかったらどこかのクラブチームで続けようと思っていたんです。でも、やっぱりこれで終わるのは悔しいから、卒業後も続けるかもしれません。
それに、自分にとってアメフトはそんなに簡単に切り離せるものではないと思うんです。たぶん、何か別のことをしていてもふとした時にきっとアメフトのことを思い出す。だから選択肢は限られていると思いますが、期限を決めて、続けようかなと考えています」。
――期限、というと?
「次のW杯までがんばろうかなと思います。W杯に出て終われればいいかな、と」。
――最後に、後輩へのメッセージをお願いします。
「今年のチームは昨年よりも確かに強くなっていた。だけど、それでも法大には勝てなかった。“何が足りなかったのか”、それを考えて見つけてください。RBに関しては、“自分がやってやる”っていう気持ちさえあれば、誰でもエースになれる、それだけの力をみんな持っていると思います。OFは抜けるメンバーも少ないし、来年はより強いOFになるだろうと期待しています。頑張ってください」。
◆喜代吉壮太 きよしそうた 理工4 私立城北高出 183cm・83kg
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