Bチーム、慶応に惜敗するも「明治ラグビー」の一端見せる/関東大学ジュニア選手権

1999.01.01
 ジュニア選手権予選最終戦。勝てばセカンドフェーズへの自力出場が決定する大一番で、迎えた相手は慶応。対抗戦で敗れたAチームの雪辱を果たすべく、Bチームは勢いよくグラウンドに飛び出した。

 試合開始直後から攻勢に出るも決め切れない明治。逆に開始7分、呉(政経4)のハイパントを奪った慶応が前のめりになったラインをあっさりと突破。早くもトライを決められ、さらに11分にはドロップゴールで追加点を奪われ0―8とリードを広げられる。しかし、前半20分のライン突破から得た5メートルスクラムをきっかけに、明治は真価を発揮し始める。強烈な押しで相手のFW陣を崩壊させ、スクラムトライを奪うことに成功。さらに、34分の相手の5メートルスクラムにおいても相手FW陣を粉砕。そのままなだれ込みながらのトライを決めた。今年のチームには見られなかった「これこそが明治」と観客に思わせる劇的な2本のトライを演出し、逆転に成功する。その後完全に流れを掌握した明治は、ブレイクダウンで慶應を圧倒。優位に立ってプレーを進めていく。木村(商1)の縦への突破によるトライなどさらに2本のトライを追加し、26-8という大差をつけてのスコアで前半を折り返した。

 だが後半、「前半のスコアの余裕から油断する気持ちが出てきてしまったのかもしれない」(渋谷・文4)と、選手たちのプレーに気持ちが乗りきらず、試合の主導権が完全に慶応に移ってしまう。後半5分には、モールからサイドに素早くボールが展開され、縦への突破を許しトライを奪われる。その後もチャンスをものにできないどころか、自分たちのミスでピンチに変えてしまう。中に人数を集めさせられた後にサイドを割られるというパターンで2本のトライを獲られ26-27とついに逆転を許す。更に38分にダメ押しのトライを奪われ、結局26-34でノーサイド。明治はまたもや勝てる試合を自分たちのミスで逃してしまうことになった。

 同日に行われた試合で関東学院が帝京大に敗れたことで、明治はセカンドフェーズ進出を果たしたものの、「今日の試合はスクラム以外に良いところがなかった」(土橋コーチ)、「後半から気持ちが折れてしまった」(池島・営4)と試合を振り返る選手、コーチの表情は硬い。だが、「(Aチームは)前半のスクラムトライを見て何も感じないはずがない」(松浦・商4)というコメントが示すように、FWから崩すラグビーを体現してみせたことにはなによりも変えがたい価値があるのではないだろうか。次はこの試合を見ていたAチームが、今週末に控える帝京大戦で真価を発揮する番だ。

[石川雄治]

1.PR 松浦 雄樹
→17.木暮(後半17分)
9.SH 下村 真太朗(法2)

16 大澤 裕(政経4)

2.HO 鈴木 亮大郎(政経2)

10.SO 筆谷 優樹(政経1)

17 木暮 宗(商2)
←1.松浦(後半17分)
3.PR 小野 慎介(政経2)

11.WTB 木村 圭吾
→18.笠原(後半35分)
18 笠原 卓(法2)
←11.木村(後半35分)
4.LO 鎌田 祐太郎(法4)

12.CTB 安部 亮佑(法4)
→20.津久井(前半30分)
19 榮長 寛(政経3)
←7.池島(後半39分)
5.LO 渋谷 泰志

13.CTB 猿楽 直希

20 津久井 信介(政経4)
←12.安部(前半30分)
6.FL 堀江 恭佑(商1)

14.WTB 川口 直哉(商4)

21 石井 彰太郎(法3)

7.FL 池島 昇平
→19.榮長(後半39分)
15.FB 呉 基烈
→22.石丸(後半23分)
22 石丸 剛也(政経4)
←15.呉(後半23分)
8.NO.8 竹内 健人(営1)

~試合後のコメント~
黒須コーチ
 「前半は悪くなかったが、後半シャットアウトされてしまった。チャンスで獲り切れなかったうちとチャンスで獲り切った慶應さんの差が出てしまったためだろう。今日は全員で勝とうということでチーム全体が集まっていたいたし、そういう点では一体感が感じられる試合だった。これからA、Bともに帝京と戦うことになるが、課題となるのはFWサイドでのブレイクダウンでのディフェンスとアタック」。

土橋コーチ
 「向こうのほうが勝ちたいという思いがあったし、そのための準備ができていた。スクラムでは押せていたものの、ラインアウトの修正やミスを少なくするといった課題の修正がこの段階になっても残ってしまっている。今日の収穫はスクラムだけだが、その点を評価してチーム選考をしたいと思う」。

松浦
 「今日の敗因は小さなミスから崩れていってしまったこと。完敗だった。だが、前半のスクラムトライこそ、明治のラグビーだ。ああいったプレーにAチームは何も感じないはずがない。今、Bチームは池島、渋谷、鎌田ら四年生を中心に声を出しまとめあげており、いい雰囲気でやれている。これからもFWで崩していくことが目標」。

鈴木
 「今日はセットプレーの精度で負けた。チームに迷惑をかけてしまい、本当に悔しいです。前半のスクラムトライは、ファーストスクラムの時点で押していけると感じたのでみんなで話し合って狙いに行こうとした。しかし獲りきれないところがあったので次の試合からはもっと狙いに行きたい。Bチームはまとまっているし、しゃべる選手も多い。BチームからAチームに出られる選手が増えれば良いと思う」。

小野
 「前後半で相手が特に変わったわけじゃないのに、連続で取られてしまってその後の修正ができなかった。こっちが得点を取れずにいたことで、点差以上に焦ってしまった。とりあえず次に進めることにはなったので、また頑張りたい」。

渋谷
 「前半はFWの調子がよくて修正すべき点はラインアウトだけだった。後半はみんな浮き足立っていてミスをとられ、気持ち的にも沈んでしまった。プレーしている自分たちは変わっていないと思っていても前半のスコアの余裕から油断する気持ちが出てきてしまったのかもしれない。次の試合でリベンジする。Bチームの強みであるチーム内のまとまりをAチームにも伝えていきたい」。

池島
 「前半はFWが優位に立ててよかった。後半はメンバー交代がうまくいかなかった。気持ちも折れてしまった。毎回勝てる試合を落としてしまっている。全ては気持ちの問題だ。(Bチームで)ミスしても前向きにポジティブにつなげようと心がけている。次まだ試合あるので頑張りたい」。

猿楽
 「今日は自分たちのミスと気持ちが敗因。完璧になめきってやっていた。前半は自分たちのやりたいラグビーがよく出来たと思う。まとまりはAチームよりもBチームのほうが断然良くて楽しくラグビーができる。Aチームは勝たなきゃいけないというプレッシャーがあると思うのでまとまるのも難しいと思う。Bチームの中心となっている人はやっぱり池島さん。次は帝京戦ですが相手が誰でも楽しくラグビーをするのが目標です」。