(23)新井椋大

1999.01.01
 強い。彼の演武を見れば、おそらく誰もがそう思うだろう。春の関東インカレでは、男子初段の部で最優秀賞(1位)、実際に戦う部門である運用法男子有段の部で優秀拳士(1位)に選ばれた。その彼とは、少林寺拳法部のスーパールーキー・新井椋大(政経1)だ。

 新井が少林寺拳法を始めたのは、高校1年生のとき。友達と一緒に少林寺拳法部に仮入部した際、「幼いときから空手をやっていたことで、『お前スゲー』と(部員に)おだてられた。それで俺が入って全国優勝しようと思った。空手の演武の足しになるかとも思ったし…」。はじめは空手を中心に考えていた。それでも、「のびのびと自由でありながら、基礎体力、筋トレをしっかりとやる環境」の中で新井はめきめきと力をつける。「すぐに少林寺の魅力に取り付かれた」。高校3年生時には、全国高校選抜大会で単独演武優勝という結果を残すほどに成長していた。

 なぜそんなに強くなれたのか。新井は「空手をずっとやっていて、武道に慣れ親しんでいたのが大きい」という。また「基本練習では単に数をこなすだけでなく、常に形を意識している。OB、OGの方からの注意点を考えながら、それを身につける練習をしている」そうだ。武道特有の動作を受け入れられる身体と、常に向上を目指す意識。彼からは、実力者特有のおごりが感じられない。それこそが強さの秘密なのかもしれない。

 ところで、一般にスポーツ推薦の学生は、講義をおろそかにしがちだ。しかし、新井は違う。新井もスポーツ推薦なのだが、めったなことがない限り、講義に出席する。語学の授業では常に最前列の席に着く。「頭が良くないから」とさらりと言うが、なかなかできることではない。それでも実行に移せるのは、強さだ。彼の演武からにじみ出る強さは、普段の生活からも養われているのだ。

 11月15日には、全日本学生大会が控えている。目標はもちろん優勝。「キマってる演武をしたい。審判がヒヤッとするくらいリアルな演武を」。舞台は武道館。新井ならやってくれるに違いない。

◆新井椋大 あらいりょうた 政経1 川越東高出 170cm・71kg