筑波大に不覚、早くも大学選手権に向けての方向転換へ/関東大学対抗戦

1999.01.01
 慶応戦の敗北から1週間。仙台で行われた筑波大との戦いには、明治にとってまたも厳しい結果が待ち受けていた。試合開始からあっという間に連続トライを許し苦境に立たされると、後半一時は7点差まで迫るが、終盤にダメを押されて終戦。2敗目を喫し、早くも大学選手権への方向転換をせざるを得ない状況に置かれることとなった。

 いきなりの先制攻撃だった。開始からわずか2分余り。自陣ゴール前のラックを中央からやすやすと割られ、真後ろにゴールを背負った選手たちは、相手がサイドに振ってきたときにはついていけなくなっていた。試合が落ち着く前のこの失点で、チーム全体が浮足立ったのは明らか。PGを成功させて流れをフラットに持ち込んだかと思われたが、それから5分と経たないうちに同じ形でトライを奪われた。これで3-14……。それまではまだよかったのだが、終盤にはモールから押し込まれるトライを2本続けて奪われてその差は一気に倍になった。終了間際の斉藤(農1)のトライの印象も書き消されるほどの4トライは、誰もが予想しえないもの。最後まで相手のテンポを止めることができず、相手選手に「前半用意していた攻撃パターンはほぼ全部できた」と言われるほどで、ハーフタイムを迎えた。


 大なる修正が求められた後半。確かに修正は生かされていたように見えた。敵陣に攻め込む時間は大幅に増え、田村(文3)がパスフェイントから自分で持ち込むトライを挙げるなど、差を詰めていった。それでも、シンビンで相手が1人減っている間に奪えた得点はこれだけ。時間を消費するような粘り強い守りに攻め切れることができず、流れを引き込めなかった。終了10分ほど前には1トライ1ゴール差まで詰め寄ったものの、それまでに要した時間が長すぎた。そして、恐れていた次のトライを奪われ万事休す。完全に切れてしまったフィフティーンは単純なミスを繰り返し、さらにトライを献上。最終的なスコアは19点も離れ、予想外の大敗に終わった。

 試合後、選手たちや首脳陣は一様に混乱した表情を見せていた。その中で発せられた指揮官の「(今日の段階では)帝京早稲田に勝つことは難しい」とのいわば〝敗北宣言〟にこの1年で積み重ねてきたものの全てが崩れてしまったように思える。明治ラグビーは一体どこへ向かっているのだろう。選手たちもその答えを見つけることができずにこの日を迎えてしまったのではないか。それは見つめるこちら側としてもみな同じ。教えてほしい、彼らがこれから進む道を。1人、また1人とスタンドから足が外へ向かう前に。

[大塩拓也]

1.PR 茅島 雅俊(商2) 9.SH 秦 一平
→20.下村(後半12分)
16 伊吹 誠介(政経4)
←2.鈴木(後半12分)
2.HO 鈴木 亮太郎(政経2)
→16.伊吹(後半12分)
10.SO 田村 優 17 小野 慎介(政経2)
3.PR 榎 真生(政経1) 11.WTB 山口 真澄(政経4) 18 友永 恭平(政経1)
←4.渋谷(後半7分)
4.LO 渋谷 泰志(文4)
→友永(後半7分)
12.CTB 溝口 裕哉(政経2) 19 堀江 恭佑(商1)
←6.三村(後半35分)
5.LO 名嘉 翔伍(政経3) 13.CTB 衞藤 陽介(営3) 20 下村 真太朗(法2)
←9.秦(後半12分)
6.FL 三村 勇飛丸(政経3)
→19.堀江(後半35分)
14.WTB 斉藤 春樹 21 石井 彰太郎(法3)
7.FL 西原 忠佑(政経4) 15.FB 石丸 剛也(政経4)
→22.猿楽(後半35分)
22 猿楽 直希(政経1)
←15.石丸(後半35分)
8.NO.8 杉本 博昭(商3)

~選手のコメント~
吉田監督
 「自分たちのラグビーをやろうというのがあったが、これだけミスが多いとこうなってしまう。特に前半はラインアウトでのクリーンキャッチが0だった。フェイズプレーを重ねれば得点できるのは分かっていたが、それ自体ができなかった。明治でなぜラグビーをするのかという部分で、レベルの差・意識の差がなかなか全体に通じなかったのがこれまでのチーム作りの誤算としてある。次からは大学選手権出場を目指してやっていきたい」。

西原主将
 「前半は向こうのテンポを止められず、後半は修正したが数少ないチャンスをものにできなかったのが敗因。プレッシャーもきつくて、個人スキルの低さを感じた。先週の半ばから熱があったが、主将としてグラウンドに出ないわけにはいかなかったので、休むつもりはなかった」。

渋谷
 「全体的に悪くはなかったが、1つの小さなミス からポンポン点を奪われてしまった。ラインアウトは慶応戦に比べてよくなっていて、ターンオーバーもできた。しかしブレイクダウンで筑波の2人目の寄りが速く、アタックでテンポよくやられてしまった。またモールで簡単に行かれてしまうミスも直していかなければならない。やろうとしていることは間違っていないから、基本をもっとしっかりやっていければいいと思う。まずはセットプレーをやっていく」。

名嘉
 「前半に獲られたトライは自分としては痛くなかった。巻き返せると思った。しかし、そういう意識をみんなで共有できていたのかは疑問。流れをつかみきれなかったのは基本的な力が足りなかったため。アタックのリズムが悪くDFも相手のゲインを許してしまっていた。今回の試合を通じて最大の課題はブレイクダウン。ブレイクダウンを改善することが今後のキーになる。これからは技術うんぬんよりもFWの核として体を張ることが目標」。


 「やらなきゃいけなかったことができなかった。内へのディフェンスをやっていたが、見るべき相手を見ていなかったのがダメだった。相手のプレッシャーがきつい中でもボールをさばかないといけないのに、できなかった。前半がすべてだった。最初に連続で取られることでチームとしての雰囲気が良くなくなり、それを引きずってしまい冷静に行けなかった。修正してあと2戦絶対に勝って選手権で頑張りたい」。

溝口
 「今日はミスが多くしまりのない試合になってしまった。敗因は勝つことに対しての気持ちが弱かったからだと思う。筑波戦では外にボールを出してプレーするようにしていた。ラスト10分は明治のペースをつかめていたと思う。ハーフタイムで自分たちの力を信じろと監督に言われたが応えることができなかった。ノックオンやコミュニケーションミスが修正できていなかったのでこれからの課題だ。対抗戦優勝はもうできないけど大学選手権に出場して日本一を狙いたい」。