尾川主将個人インカレ3位!負けられない戦いへ高まる覇気…/全日本学生個人選手権
そんななか、部を引っ張っていったのがやはりこの2人。尾川主将と後山だ。彼ら4年生部員にとっては最後の個人戦となる大会だけにたやすく負けるわけにはいかない。11月末に迫る全日本学生拳法選手権(以後団体インカレ)に向け、また自身の拳法生活4年間の集大成として、今大会にかける意気込みは並一通りでなかったに違いない。
今大会、明治から出場した選手は9名。その内2回戦に勝ち上がったのは5名と幸先のいいスタートを切った本学であったが、ここからまさかの大ブレーキを踏むことになる。直近の大会で好成績を残した明大期待の1年、平松、岡部は難なく勝ち上がったものの2回戦ではそれぞれおととしの同大会覇者・友中(関大)、今大会3位に入賞した油谷(桃山学大)ら強豪と当たり惜しくも敗退。また、いまや尾川・後山と明大の3本柱として活躍している神田も健闘むなしく敗北、2回戦で姿を消した。
「自分が練習に参加できていなかった時期があるから部内の緊張の糸が切れてしまったのかもしれない」と尾川主将。今回、3回戦に駒を進めることができたのは9名中わずか2名と、本学全体としてはいささか課題の残る結果に終わった。
4回戦へ進んだ尾川主将と後山。4回戦を両者ともに判定勝ちでしのぐと、続く5回戦に後山が正念場を迎えることとなる。相手は中大のエース浜田。今年の矢野杯の王者だ。先日行われた東日本大学拳法選手権では優勝決定戦で尾川主将と対戦し勝ち星を上げ、中大を優勝へと導いた。本学にとっては宿敵とも言える存在である。後山自身も今季は矢野杯準々決勝で苦汁を飲まされているだけにリベンジといきたいところであった。
試合は手にグローブをつけた2人のハイタッチから始まった。ベスト8の懸かった試合ともあり会場の2階から部員の声援が飛ぶ「後山先輩、ファイトです!」。
前半戦は非常に静かな試合となった。開始すぐに後山が相手の面を狙った突きを繰り出すと浜田は軽やかにそれをかわして見せる。そこからはともに手が1本も出ず30秒が経った。両者に指導が出され、その後積極的に攻撃を始めた浜田。鋭い突きが後山の胴を捉えた。
1本取られてからの展開は一方的なものだった。先制点を取り、勢いに乗る浜田は前へ前へ出てくる。じわじわコートの端に追い詰められる後山。最後は面突きをくらい試合終了。後山の大学生として臨む最後の個人戦はベスト16という結果で幕を閉じた。
中大は団体インカレでも明治の最大のライバルとなってくる相手。エース浜田の攻略を急ぎたい。
一方尾川は勝ち上がれば上がるほど調子を上げていく。5回戦をうまくさばくと、準々決勝でも危なげなく勝利を収めベスト4入りを決めた。
そして迎えた準決勝。決勝の舞台をかけて戦うのは龍谷大の倉岡。意外なことに尾川は4年間個人戦で決勝の舞台に立てたことは一度もない。両者の顔合わせは大学では初となるが、相手は古豪龍谷大の選手なだけに油断はならない。
試合はすぐに決着がついた。試合開始直後から勢いよく飛び出す倉岡。尾川も攻撃に転じようとするも相手の勢いに押されなかなかペースが掴めない。あれよあれよという間に2発の面突きを取られ、試合終了。2回目の面突きには尾川は両手を上げ審判のジャッジに訴えるしぐさも見せたが、結果は覆らず。4年間部を引っ張ってきた尾川主将の個人戦は、終わった。
試合後あぐらをかいて座り込む尾川主将。その背中は悔しさとともにどこかさびしさを感じさせた。“大学生活最後の個人戦だ”そんな気持ちもあったのかもしれない――
「あくまで目標は団体インカレ…」。今年尾川が度々口にしてきた言葉だ。11月末に迫る運命の日。鬼だと言われてもなお部員に課したハードな練習もすべてはその目標達成のため。「自分にはまだあと一歩何か足りないものがある。まだそれが何なのかは分からないがOBや監督の話を聞いて、団体インカレには克服して望みたい」と尾川主将は語った。この試合に懸ける思いは強い。さらに主将は続ける。「みんなは俺を信じてくれると思うし、俺はみんなを信じてる。この団体インカレまでの1カ月を4年間の集大成としてみんなで作り上げていきたい」。
主将の熱いココロが明治を団体優勝へと導くか。最強尾川メイジにはまだ負けられない戦いが残っている―――。
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