11年ぶりシングルス優勝!明大色に染まる表彰台/全日本学生選手権

1999.01.01
 シングルスベスト16に明治の選手が3人入るという文句なしの結果を残した昨年の全日本学生選手権(全日学)。今年は、昨年優勝者、松平(青森大)が海外リーグの参戦、準優勝の大矢(東京アート)も実業団入りを理由に欠場が決まっていたため本学部員の上位進出も大いに期待された。しかし、結果はシングルスでベスト16に7人、ダブルスでベスト8に4組残るという予想を大きく上回る結果に。表彰式は、明治のカラー・紺色に染まり、王者の貫録を見せ付けた。この卓越した結果にも高山監督は「こんなにランク入り(ベスト16入り)するのはめずらしいが、実力を考えれば不思議なことではない」とまずまずの反応。その目はすでに全日本を見据えているようだ。

シングルス優勝、実力の差はっきり――水谷隼
 「――やっぱり水谷は強いです」。準決勝で水谷に敗退した濱川が試合後高山監督に歩み寄り漏らした一言。この一言に今大会の水谷のシングルスのすべてを物語っているといっても過言ではない。

 昨年も、今年同様、圧倒的な実力と実績で第1シードに君臨していた水谷。しかし結果はシングルスベスト32と下馬評を覆すまさかのとなった。この時ランク入りをかけて4回戦を戦い、水谷にシングルスで大学初の土を付けたのが近大の濱川。今大会は準決勝で再戦が実現した。濱川は今年の関西学生選手権準優勝と実力は十分。大会前から2人の再戦には注目が集まっていたが、結果は4―0と水谷の完勝。1年前の借りを返す形となった。

 迎えた決勝戦。相手は早大のエース笠原。笠原は今年、関東学生選手権の頂点に立ち、その実力は大学学生界のトップともいえる。実際今年開催された大学レベルの大会では“ある人物”にしか黒星はつけられていない。その“ある人物”こそがまぎれもなく水谷その人なのだ。今大会のパンフレットの表紙は水谷・笠原の二人で飾られている。強豪・青森大不在の今、力の突出したこの二人の決勝戦はある程度予測の範囲内だったといえよう。

 試合はセットを取られては取り返しという一進一退の状況が続いた。しかし次第に流れは水谷へ傾き、得意のロブから緩急をつけた多彩な攻めで相手を翻弄(ほんろう)。笠原も負けずに食らいつくがここ1本で点が取れず、終わってみれば水谷の4―2。世界で戦う彼にとっては負けられない戦いで下馬評通りの“順当な”勝利を手にした。

 水谷の優勝は、明治に11年ぶりのシングルス優勝をもたらした。今大会、水谷のプレイを見ていて感じた感想は、1つ。「――やっぱり水谷は強い」これに限る。

 シングルス3年連続ベスト4…準決勝の壁破れず――軽部隆介
 明治入学以来、出場したすべての学生レベルの個人戦で16強入りを果たすという抜群の安定感を誇る軽部。しかし、昨年の関東学生選手権以降個人戦では、全日本、関東と規模を問わずすべての大会でベスト4止まりと準決勝の壁を破れずにいた。去年ベスト4入りした選手は軽部以外全員青森大。今大会は青森大が不在であったため「今回こそは……」との声もあったが、今年も準決の壁は厚かった。

 今大会も例年通り着々と勝ち上がってきた軽部は準決勝まですべての試合でストレート勝ち。調子の良さがうかがえた。準決勝で対戦したのが、決勝で水谷に惜敗した笠原。大学に入ってからこれまで4度の対戦があるが、戦績は2勝2敗と実力は均衡している。直近の試合、今年の関東学生選手権では完敗しているだけに全日学でリベンジといきたいところであった。

 試合は、戦績どおりの接戦となった。第1、第2セットを落とした軽部だが続く第3、第4セットを連取。試合をドローに戻す。1度は流れを掴みかけた試合であったが、その後笠原が関東王者の意地を見せ5セット目、6セット目を奪い初の全日学決勝進出を決めた。

 今年残る学生個人戦は、11月に行われる全日本学生選抜選手権のみ。外国籍の選手も出場資格のあるこの大会でシングルス初タイトルなるか、今後の活躍に注目だ。