頂点は遠く 2年連続優勝者なし/全日本学生体重別選手権

1999.01.01
 大学柔道日本一を決める今大会。本学からは東京予選を勝ち上がった9人と推薦出場の上川の計10人が出場したが、優勝者はゼロ。全国から集まった強豪選手を相手に、厳しい戦いを強いられた。

 初日は60kg級から81kg級の計4階級の試合が行われた。

 注目は東京予選で優勝した81kg級の武田。同階級の昨年度のチャンピオン・川上(国学院大)が初戦で敗れる波乱の展開の中、武田は上四方固めで一本を奪い、順当に3回戦へと駒を進める。迎えた3回戦の相手は、筑波大の田中。持ち味である積極的な柔道で果敢に挑むが、上背のある相手に一瞬のスキを突かれて一本負け。藤原監督も思わず「大きい相手には一瞬でも引いたらいけない。もったいない」と口にする悔しい敗戦で、東京王者は3回戦で姿を消した。
 同じく81kg級に出場した吉井は2回戦、3回戦とゴールデンスコアまでもつれ込みながらも豪快な技を武器に勝ち上がる。しかし、あと一つ勝てば入賞という準々決勝で試合終了直前に一本負けを喫し、ここで敗退。ベスト8に入ったため来月行われる講道館杯への出場権を手にしたが、目標としていた学生王座を逃し、悔しさに天を仰いだ。

 73kg級に出場した西川は、積極的に攻め続けるも天理大の橋本を前に初戦敗退。66kg級の下山も3回戦に勝ち進むが、山梨学大の星野を相手に苦戦。試合はゴールデンスコアまでもつれ込むが、両者決め手を欠き、判定の末に白星を逃した。

 本学の選手が次々と敗れていく中、輝いたのは最軽量級の60kg級に出場した三枝だ。現在、本学柔道部では唯一の60kg級選手。通常時の体重は65kg近くあるというが、「明大歴代の60kg級でインカレ優勝者は誰一人いない。だからこの階級にこだわりたい」(三枝)という強い思いから、試合前に厳しい減量を行い、満を持してのインカレ初挑戦となった。
 そんな三枝だったが、緊張をみじんも感じさせない堂々とした柔道を見せる。試合開始1分で一本を奪い初戦突破を果たすと、その後も順調に白星を重ね、明大勢でただ一人、準決勝へと駒を進めた。
 迎えた準決勝の相手は日体大の山本。来月行われる世界ジュニア選手権に日本代表として出場することが決まっている強敵を相手に、互角以上の戦いを繰り広げる。しかし、腕を取られ抑え込まれてしまう。絶対絶命のピンチ。「あきらめるな!」という園田助監督の声に応えるように必死の抵抗を見せ一時は技を解きかけるが結局そのまま抑え込まれ、畳には試合終了のブザーが鳴り響いた。畳から降り、園田助監督のもとへとたどり着くなり崩れ落ちるように座り込んだその姿が、彼のこの大会にかける思いの強さと夢半ばで敗れた悔しさを物語っていた。

 大会2日目は重量級の試合が行われた。本学からは5選手がエントリーするも、この日も優勝者はなし。100kg超級のエース・上川の3位が最高位だった。

 大会は先の東京予選で準∨に輝いた菅原の緒戦敗退で幕を開けた。後を追うように、長谷川、加藤(貴)がトーナメント半ばで敗れ去っていった。
 オール一本勝ちで勝ち上がった松岡の4回戦。前戦では合わせ一本を決めた瞬間、気合いのガッツポーズで珍しく感情をあらわにしていた。優勝への期待感が高まるも、昨年度同大会3位の強豪を相手に残り55秒で有効を奪われ優勢負けに終わる。「投げる力は十分に持っていたが、自分から強引にいけていなかった」(藤原監督)。

 残すは上川のみ。準決勝の相手は国士代の百瀬だ。次代を担う若手として多くの国際大会に派遣されてきた両者。しのぎを削るライバルであり、互いの手の内は知り尽くしていた。昨年の体重別団体インカレの決勝戦では上川が一本勝ちを挙げていたが、「相手の方が成長していた」(上川)。得意の足技で百瀬を崩せず、場外際で投げられての優勢負け。悔しさをにじませながら畳を後にした。

 「勝ちへの執念が足りない」(藤原監督)、「準備不足。相手の研究をしていない」(古賀コーチ)。大会を振り返ると辛辣(しんらつ)な言葉が飛ぶ。2年連続優勝者なしという由々しき事態に、「稽古で気持ちを養っていかなければ」(藤原監督)。11月の講道館杯へ進出したのは三枝、吉井、松岡、上川の4名。前年の12名とは打って変わって出場人数は少ないが、体重別団体インカレへつながるような覇気溢れる柔道で勝ち進んでほしい。