東日本制覇へ一歩及ばず/東日本大学選手権
試合前に円陣が組まれ「勝つぞ!勝つぞ!明治!」。この日、本学の勇姿を見守るために駆け付けたたくさんOBと、部員たちの声が和泉体育館に響き渡った。
〈貫禄見せつけた2回戦〉 明大―慶大
シードのため2回戦から登場した明大。相手は慶大。だが、圧倒的な力を見せつけ7-0でスキを見せず準決勝へ進出した。
〈1年生が大活躍、準決勝〉 明大―早大
準決勝では関東でのライバル、早大と対戦。早大との対戦ということで会場中は沸き立ち、他大学からも熱い視線を送られながら始まった。
先峰は尾川主将(政経4)。副将の後山(営4)が尾川主将を送りだした。だが、勝負とは分からないもの。華麗なフットワークで相手を倒してくれるかと思いきや、早大のエース、中川相手にふところに飛び込めず、1-0でまさかまさかの敗北を喫してしまう。続いて登場した次峰・神田(理工2)。神田は尾川主将・後山と共に明治を支える3本柱の一人だ。神田は相手から2本を奪い、勝負を振り出しに戻した。そして、1年生ながら前期から活躍している参峰・平松(法1)が登場した。平松も神田に続き相手に勝利し、喜びのガッツポーズが飛び出した。ベンチも、平松の金星に大喜び。ところが次の宮下(文4)が早大の主将、安田と対戦し敗れてしまう。「安田はパンチの強い選手だと分かっていたから、倒したときに決められなかったのがもったいない」と、悔しさをにじませた。これで2-2でイーブン。見ている側も、緊張感がどんどん高まっていく。明大の期待を一身に背負い、登場したのは岡部(文1)。岡部も平松に続き、ストレートで勝利を収める。その瞬間、尾川主将はやおら立ちあがり、岡部のつかんだ勝利を喜んだ。続く副将は後山。大将の矢島(文4)に回る前にここで勝負を決めてしまいたいところであったが、攻めきれず敗北してしまう。「早大戦が1番だめだった。矢島に負担を掛けないためにも、ここで自分が決めなきゃいけない、っていう気持ちが自分で自分を追い込んでしまった」と後山も攻めきれず敗北してしまう。勝負は大将戦へ持ち込まれた。「3-3の場面で大将戦が来るかもしれないと思っていたから、試合を見ずに自分の試合のことを考えていた」矢島。緊張する大将戦。尾川主将は「信じよう」と声を掛けて矢島を送り出した。勝敗を決める運命の大将戦が始まった…。張り詰めた雰囲気の中、矢島の拳が相手の面を捉える。歓声が響き渡る。続いて2本目、キレのある拳を相手の胴に叩きつけ、2本先取で勝ちを収めた。次はいよいよ決勝戦だ。
〈あともう少しで…決勝戦〉 明大―中大
迎えた決勝戦。先峰は宮下。迎える相手は中大最強拳士の浜田だ。ここで勝ち、リズムをつかみたい本学。だが、浜田に面突きを2本くらい敢えなく敗退してしまう。続く神田は引き分けに終わる。「決勝戦はもう少しで決められたのに悔しい」(神田)。そして迎えた副将戦。この時点で1勝3敗1分けともうこれ以上負けは許されない状況だ。登場したのは今日負けなしの平松だ。平松は胴ひざで相手から1本を奪い取り、そのまま勝利を収めた。大将は明治の大黒柱、尾川主将だ。さすが尾川主将。キレのあるストレートで面突き、続いて胴突きを相手に決め、華麗に勝利を決めた。これで勝負は3勝3敗1分となり、代表戦が行われることに。本学から出場したのはやはり尾川主将。対する相手は体格で勝る浜田。自らの拳で優勝を勝ち取ることができるか。会場の視線はこの試合に全て集まった。尾川主将の胴突きが相手に入り、まず先手を奪う。だが抑え胴突きを相手に決められてしまい、1-1へ。決めて勝利したいところであったが、浜田の直突きが決まり、尾川主将は敗れてしまった。その瞬間、「信じられない」という表情をし、がっくりと肩を落とした。
今回、春に続き優勝し関東一に輝くことはできなかった。だが、明るい材料はある。全戦全勝で敢闘賞を獲得した平松、中大戦では惜しくも相手エースに敗れたものの1本を奪った岡部の成長の萌芽が随所に見られた大会だった。「平松、岡部がいたから決勝に進めることができた」(宮下)。
「府立を取る」ことが明大にとっての最大の目標であり、必須条件だ。明大は過去2年、インカレ優勝から遠ざかっている。「団体戦はサポートのメンバーも含めての全員の戦い。1年生の時は学ランを着てチームを手伝ったけど、それでも優勝したときはうれしかった。でも、最後にはプレーヤーとして優勝を味わいたい。感動するよ、泣けるよ、府立に校歌が流れるんだよ……」(宮下)。部員たちの府立に懸ける思いは、どんな海より深く、空より高い。府立を拳法部のプレーヤーたちの思いで絶対に勝ちとってもらいたい。そして、高らかに響く「おお明治」を府立で聞くことが楽しみだ。
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