粘って粘って夏の雪辱/関東大学ジュニア選手権

1999.01.01
 先日の早稲田戦に勝利し、いい流れで迎えたジュニア3戦目。夏の菅平で苦杯を舐めている帝京大との再戦は、前半に広げた点差を最後まで守り切っての粘り勝ち。強豪相手に今後につながる連勝となった。

 わずか2か月前には5点しか挙げられなかった相手に対して、選手たちがその悔しさを忘れているわけがなかった。試合開始から両軍得点を挙げることができずなかなかスコアが動かない。20分にはパントキックのチャージからゴール前でスクラムのチャンスを作るが取りきれない。それでも、自陣でのピンチをしのぐことで相手に流れを渡すことはなかった。このまま無得点のまま前半を終えるのかと思われた35分。均衡は突然にして破られることとなる。自陣での相手ボールをターンオーバーすると、そこからつないで最後は染山(政経1)がついに先制のグラウンディング。この試合本人も「キックも当たっていたし、ゲームコントロールもできた」と振り返るように、コンバージョンも全部決めた1年生が重苦しかったゲームを動かした。ハーフタイム間際の40分、堀江(商1)がチャージから自分で持ち込んでトライを奪うと、一気に点差を広げて前半を終えた。

 しかし、相手は昨季対抗戦初優勝を勝ち取り、今季も優勝候補に目される帝京大。ジュニアでもその強豪が簡単に勝ちを明け渡すはずがなかった。後半の多くの時間で攻勢を見せ、幾度も明治陣内を侵食した。そして、陣内深くまで攻め込むと持ち前のFWの強さを発揮してトライを奪って追いすがり、最終的なスコア以上に脅威を与えた。「スクラムで相手の当たるスピードに対処出来なかった」(伊吹・政経4)とFWでの戦い方は今後の改善点としてあげられるだろう。


 そんな中でも、後半中盤は前半と違って守勢に転じ、流れもスコアもひっくり返されるかもしれないと感じさせた展開の中で、逃げ切って勝利を手繰り寄せたのはその粘りだった。後半開始早々に猿楽(政経1)が抜け出しゴール正面でハイタックルの反則をゲット。ペナルティーゴールを落ち着いてしずめて勝負にこだわった。また、トライを取られた後、次の得点をどちらが挙げるのかといったところでの木村(商1)のトライは追いかける帝京大にとって最後までダメージとして残った。主導権を与えることなく逃げ切り、貴重な勝利をものにした。

 ジュニア選手権初戦で関東学院に負けてからわずか3週間。チームはこの期間の中で確実に大きくなったように思える。その連勝も早稲田には逆転で、今回の帝京大には逃げ切りでのもの。もちろんまだ今の段階では楽観視することはできないが、違う戦い方で結果を出したことは、好材料としてみていいだろう。
さらに、この試合では主に下級生の存在感を見ることができた。「下級生でチームを盛り上げていきたい」(染山)とその気合いは十分。上級生やAチームだけではなく、下級生やジュニアが元気なチームはこれからの戦いでさらにその厚みを発揮させてくれるはずだ。

 幅のある戦い方、厚みのあるチーム・・・これらをよりいっそう高めていくことができれば、今年の明治ラグビーはもっともっと面白くなる。

[大塩拓也]

1.PR 松浦 雄樹(商4)

9.SH 下村 真太朗(法2)

16 渡部 逸記(営3)

2.HO 伊吹 誠介

10.SO 染山 茂範

17 神田 佑樹(政経4)

3.PR 小野 慎介(政経2)

11.WTB 木村 圭吾

18 榮長 寛(政経3)

4.LO 友永 恭平(政経1)

12.CTB 溝口 裕哉(政経2)

19 古谷 直樹(商1)

5.LO 渋谷 泰志(文4)

13.CTB 猿楽 直希

20 津久井 信介(政経4)

6.FR 堀江 恭佑

14.WTB 居迫 雄大(法3)
→22.石井(後半28分)
21 安部 亮佑(法4)

7.FR 池島 昇平(営4)

15.FB 石丸 剛也(政経4)

22 石井 彰太郎(法3)
←14.居迫(後半28分)
8.NO.8 竹内 健人(営1)

~試合後のコメント~
松浦
 「セットプレーではスクラムは駄目だったがラインアウトはよかった。スクラムの修正能力が足りなかったのでそれがこれからの課題。早稲田戦では逆にスクラムがよくてラインアウトが駄目だったので両方ともできるようしたい。
(一本目のトライの時に)ラインを抜け出せたのはたまたまで、自分でもびっくりした。染山のフォローがあったので自分としては2対1のつもりだった。
ケガをしないでAチームで出ることがこれからの目標」。

伊吹
 「前回の早稲田戦で課題だったモールディフェンスはしっかり修正できた。ラインアウトも今日はよかった。後半スクラムで相手の当たるスピードに対処出来なかったのが課題。今日は勝てたがこれで終わりじゃないのでビデオ分析などをして精度を高めていきたい」。

小野
 「全体的に前半はよかったが後半は駄目だった。一本点をとられてから敵に一気にもって行かれてしまった。スクラムも前半はよかったもののそれ以降は駄目だった。しかしラインアウトに関しては今日がジュニア選手権のなかで最高の出来だったと思う。
連勝できたのでこのままジュニア選手権で日本一になり、レギュラーに入って対抗戦でも1位になることがこれからの目標です」。

友永
 「染山のキックがよかったから今日の試合は全体的にのれた。帝京はブレイクダウンの集まりが早く苦しいところもあった。チームも成熟してきてまとまりも出てきている。個人的にはもっとボールを持って突破することを意識してプレーしていきたい」。

渋谷
 「疲れたけどとりあえず勝ててうれしい。今日はラインアウトがよかった。後半守勢に回ってしまった場面は、自分がキックオフのキャッチミスをしたところからだったが、その後ミスをカバーできたから大きなものにはならなかった。相手のFWはそこまで強く感じなかったが、回されて反則を取られることもあったので今後修正していきたい」。

堀江
 「今日は勝ててよかったです。前半は気持ちが乗っていてDFもうまくいっていたが、後半になってチャンスでトライをとりきれず相手に流れをもっていかれてしまった。スクラムでは、ファーストスクラムではうまくいっていたがそれ以降相手が(スクラムを)回してきたりして、それに対して試合中に修正できなかったのが問題だった。
みんな目指すところはAチームで同じ。ジュニア選手権でアピールしてAチームで出たいです」。

染山
 「夏には負けていた相手だったので気合が入っていた。個人としてはキックも当たっていたしゲームコントロールもできていたと思う。相手の圧力はFWでは感じる部分があって、自陣にいるときにはそれで押されて取られてしまったが、BKでは勝てていた。体調が悪かったが、自分自身負けず嫌いだし下には行きたくないので。下級生も練習中から声を出しているのでそこからもチームを盛り上げていきたい。ジュニアに満足せず、Aチームでやれるようになりたい」。