(20)鎧坂哲哉
昨年、2006年全国高校駅伝優勝、5000m日本人高校生ランキング1位という輝かしい実績を引っさげ、古豪・明治の門を叩いた鎧坂。入学直後から頭角を現し、今年の箱根駅伝では1区3位という好走でチームの43年ぶりシード権獲得に大きく貢献した。今年に入ってからも5000mで関東インカレ8位入賞、全日本インカレ6位入賞、さらには日体大記録会にて13分46秒97で明大記録更新と絶好調。今明治で最も勢いのあるランナーと言える。しかし順風満帆に見える陸上生活の裏では、度重なるケガに悩まされていた。
高校2年生時、前述したように全国高校駅伝で優勝を果たした鎧坂。3年生になると世羅高の主将を任されるようになり、エースとして、そしてディフェンディングチャンピオンとして連覇を目指した。しかしレース前日の練習で右足の甲に異変を感じ、検査の結果、中足骨の疲労骨折が判明。欠場を余儀なくされ、チームは10位に沈み、優勝どころか入賞さえも逃してしまった。
高校時代に栄誉と挫折を味わった鎧坂が進学先に選んだのが明治大学。明治の競走部は自主性を重んじている。まさに「個」を強くするチームだ。ここで鎧坂はメキメキと力を伸ばしている。1年時からインカレでも入賞するなど主力として活躍していたが、再びケガが鎧坂を襲った。それは2年ぶりの本戦出場を賭けた箱根駅伝予選会でのこと。ケガにより鎧坂はまたもや大事なレースを欠場することになった。この影響を受けてか、トップ通過が有力視されていた明治は何とか本戦には進んだものの、9位という結果に終わった。
過去2年間ケガで苦しんできた鎧坂だが、今年に入ってからはまだ大きなケガが1度もない。「2年生になってことで去年よりもチームを引っ張っていこうという意識が出てきた」(鎧坂)というように、意識の変化が今年の好調ぶりにつながっているのだろう。
「自分の走りをすれば大丈夫」。鎧坂はこの言葉をよく口にする。普段からそれほど多くを語らないが、内には自信を秘めているようだ。充実したトラックシーズンを過ごした今季。今の彼なら再び同じ轍を踏むことはないだろう。「自分の走り」をした鎧坂は、誰にも止めることはできない。
◆ 鎧坂哲哉 よろいざかてつや 営2 世羅高出 165㎝・50㎏
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