(4)本当に大切な場所

(4)本当に大切な場所
 街を歩けば金木犀の香りに出会う、そんな季節がやってきた。とてもいい香りが街に漂う。わたしはそんな金木犀の香りを嗅ぐと、小学校時代を思い出す。

◆総人口約3000人の村で育ったわたしは、常に自然と触れ合いながら育ってきた。春にはサクラ、夏にはひまわり、秋には紅葉、冬には真っ白な雪。今思えば四季を体で感じて成長してきたのだと分かる。同級生20人全員の仲が良く、学校が終われば皆一緒に外で遊ぶ。そのころは意識していなかったが、紅葉の季節にはいつも金木犀の香りとともに遊んでいた。

◆明治大学が行きたい大学No.1に選ばれた。関東の高校生へのアンケートで出た結果だそうだ。名誉なことだが、本当の良し悪しは行ってみなければ分からない。通って良かったと思えるのはどんな学校なのだろうか。

◆金木犀の香りで小学校時代を思い出し、あのころは良かったなと今さらながら思える。そしてそんなときは必ず、無性に地元に帰りたくなる。そんな風に思える場所が、自分にとって本当に“大切な場所”なのではないだろうか。

◆通ってから良かったと思える学校、一人一人の心に残る学校、それが真のNo.1なのだ。明治大学に戻りたいと思う日が、わたしにいつか来るだろうか。