秋季リーグ戦展望Ⅵ~「課題は精神面のみ」~

1999.01.01
 今夏のインカレ。明治は早大を破り、11年ぶり12度目の日本一を勝ち取った。だが、明治は気を緩めることはない。「もう一度、早大を倒す」(高山監督)。春季リーグ戦では完敗した早大を倒すことを目標に再びトレーニングを積んでいる。すべては、秋季リーグ戦5連覇のために。そして、春のリベンジへ。今回は、展望6回連載の締めくくりとして大会全体のみどころを紹介したい。

急成長を遂げたエースダブルス。いよいよ明日9月15日、秋季リーグが開幕!5連覇に向けて明大卓球人たちの負けられない7日間が始まる。

 昨年の秋季リーグ戦では万全の体制を敷いていた明治。今年ポイントゲッターとして存分な活躍を見せている水谷(政経2)・軽部(営3)・池田(法3)に加えて関東学生2連覇を飾り“関東学生選手権で4年間を通して単複ともにベスト4以内”という偉業を成し遂げた水野(平21営卒・現東京アート)選手を擁していた明治はまさに超人軍団だった。結果は下馬評どおりの全勝優勝。優勝が決まった瞬間ラケットを宙に放り投げた水野の姿はまだ目に新しい。

 昨秋リーグの4連覇でリーグ戦の優勝回数を「32」とした明大は今春のリーグ戦でも、優勝が絶対視されていたが、早大戦に落とし穴があった。毎年有力視されながら、過去4年間早大に春の王者の座を奪われている明大には“春勝てない”というジンクスがある。今年もまさかの敗戦。選手の悔しさは計り知れないが、それだけにこの秋に懸ける思いは強い。

 応援でチームを勢いづけられるかもカギとなる。今季本学の中心になってくるのが水谷・軽部・池田・甲斐(営2)の4選手だ。明大のエース水谷は、8月に行われた韓国オープンでプロツアーシングルス初優勝。9月の世界ランキングも自身最高の11位までランクを上げ、インカレ以降好調を保っている。
 3年の軽部・池田の両選手はそろってリーグ戦18勝とその活躍ぶりは他大学でいうエース級。特に軽部は去年の出場した大学レベルの個人戦すべてでベスト4入りとオールシーズン安定した結果が残せている。“負けない”のが水谷ならば勝つためには“負けられない”のが軽部・池田といったところか。
 さらに「ポイントになってくるのはダブルス」と高山監督も言うように、リーグ戦で最も重要になってくるのが水谷・甲斐のダブルス。昨年は全日本王者と組むダブルスということもあってか思い切ったプレーに打って出られずにいた甲斐だったが、今年に入ってからは2人で練習できる機会も増え今期はほぼ負けなし。調子は上向きだ。
 これらを一つでも落とした場合、残るシングルス2枠に優勝は懸かる。2枠の候補としては関東学生でベスト16入りを果たしたルーキー根田(営1)とカットマン定岡(商3)、もしくは「今季1番の成長ぶり」と監督も太鼓判を押す松渕(文2)が有力。流れがそのまま勝敗へ影響するは本学の主要メンバーの黒星も十分に考えられることから、残り2枠における監督のオーダーには注目が集まる。
 エース水谷と関東学生ベスト16入りを5人抱える本学。今年も秋5連覇へ向けて体制は整ったか。

 そんな秋5連覇を狙う本学の前に立ちはだかるのは春の覇者、早大で間違いないだろう。今春、春5連覇を一足先に達成。今年に入ってからの本学との戦績は1勝1敗と実力は均衡している。昨年特別賞に輝いて卒業した最強カットマン塩野(東京アート)の抜けた穴は大きいが今年関東学生の頂点に立った新エース笠原(早大)、去年の関東学生準優勝の足立(早大)など選手層は厚い。この2人の組んだダブルスは今年の関東ナンバーワンダブルスにも輝いている。インカレで本学の水谷、甲斐組に敗れてはいるものの、その安定感は油断ならない。
 さらに早大は流れ作り出すのがうまいチーム。春リーグでは応援や気迫に負けたといってもおかしくはない。勢いに乗せれば脅威になり得る。高山監督が挙げる今の本学が抱える課題からも「秋のリーグでも早大の足立、御内(早大)らと誰かが当たるのは分かっているのだから、練習の時から想定して対策を考えていかなくてはならない」。と早大に対する意識の高さが伺える。さらに監督は「足立、御内あたりと当たって本学の軽部、池田が確実に勝てるかに優勝は懸かっている」と分析。最終日早大戦は、やはり事実上の決勝戦となるだろう。

 秋季リーグ4連覇中の本学に秋の優勝を逃した経験のある選手はいない。「後は精神面だけだね」と高山監督。過去の栄光が彼らを精神的に追い詰める形となるが、それは春5連覇を達成した早大も同じこと。それを乗り越えてこそ真の大学王者になれるのだろう。明治の“順当な”5連覇に期待したい。