秋季リーグ戦展望Ⅴ~ 頭を使った練習で急成長――松渕健一~

1999.01.01
 今年3月東京選手権で実業団選手を破り、関東学生選手権シングルスでは早大のエース・笠原に負けはしたものの1セット奪取し、急成長中の松渕健一。自身の成長の秘けつは「何をやるにしても考えて練習するようになった」ことだ。

 入学当初は卓球界の名門・明治に入学したことに満足し、「ただただ練習をこなしていただけだった」。高い目標を持たず、現状にあぐらをかいていた松渕は必然的にこれまで勝てていた選手にも負けるようになっていった。「あれっ?こんなはずだっけと思いました。もっとちゃんと練習しないといけない」そんな思いを持つようになった松渕は変化を遂げる。毎日練習のための練習をしていたものを試合のための練習をし、また高校の監督にアドバイスを求めるようになるなど、頭を使って自身を成長させていった。

 その結果が東京選手権の金星と関東学生シングルスベスト32の成績につながった。そしてその実力を買われ、先月行われたインカレにメンバーと同行することができた(メンバー以外の選手は京都にも行けなかったので、同行することができたのは数少ないメンバーの次に実力を持った選手ということになる)。そこでも松渕は「全国の選手たちの色んなプレーを見てとても参考になることが多かった。早速サーブの組み立てやレシーブのコース取りを自分に取り入れました」と自身の成長のために一分たりとも無駄にはしない。

 これから迎える秋季リーグ戦も出場の可能性が出てきた。「春ベンチ入りした経験を生かして、試合ではとにかく勝てる試合をしていきたい。秋5連覇を目指します」。普段、部員から“エヴァンゲリオン初号機”と呼ばれ愛されている松渕が覚醒し始めている。代々木体育館で見せる彼の暴走に期待だ。