出雲へ向けて大きな弾み/日本学生陸上競技対校選手権

1999.01.01
 9月4日から6日の3日間にわたって行われたインカレ。明大にとっては苦しいレースが続いたが、最後には意地を見せた。
 大会初日、100m、1500mはともに予選落ち。10000mW決勝も下位に沈んだ。さらには10000m決勝を、エース松本(昂・情コミ4)が座骨神経痛の影響で欠場。「走ろうと思えば走れたけど、大事をとって欠場した」(松本・昂)。症状は軽いだけに出雲駅伝での奮起が期待される。
 2日目は800m予選、決勝が行われた。この種目には関東インカレ3位の粟津、8位入賞の石丸が出場し、上位進出が期待されていた。しかし、石丸がまさかの予選敗退。持ちタイムからしても両者の予選通過は確実と見られていたが、石丸はラストスパートのキレを欠き、実力を発揮することはできなかった。
 そして最終日は800m決勝と5000m決勝。800m決勝では持ちタイムが全体で2位の粟津に期待が高まった。レースは優勝最右翼の横田(慶大)が序盤から集団を引っ張る展開に。ハイペースなレース展開に600m以降粟津は付いていけず、最後は7位に終わった。レース後、粟津は「7位という順位に納得いかないし、タイムも良くない。久しぶりのレースでうまく調子を合わせられなかった。自分にはまだ甘さがある。来年からは3年生なのでもう甘さは見せられない。今後は下平さんの作った早大記録を抜くことが目標」。この悔しさを胸にしまい、粟津はさらなる高みを目指す。
 5000m決勝では「調子がいいので期待していてください」(松本・昂)という石川(卓)主将と鎧坂が出走。スピード駅伝と言われる出雲駅伝に向けて、この大会で結果を残すことは大きな意味を持つ。
 スタートの号砲とともに野口(日体大)が飛び出すと、その後ろに鎧坂が食らい付く。最初の1キロを2分41秒のハイペースで通過。しかしその後、ダニエル(日大)、ジュグナ(第一工大)の留学生勢に吸収される形に。3キロ過ぎにこの2人がペースを上げると鎧坂、野口は付いていけず。さらに3.5キロ付近では石川、宇賀地(駒大)、村澤(東海大)の集団にも追い付かれ、野口は大きく後退。鎧坂も4.4キロ付近でこの集団から遅れ始めると、3人の集団はラスト1周でペースアップ。この3人は一歩も引かず、ホームストレートを迎える。最後はスプリント力の差で石川、宇賀地、村澤の順でフィニッシュ。石川は日本人トップの全体3位、鎧坂も6位と好成績を残した。レース後、石川(卓)主将は「順位は気にせずいかに体を動かすかを意識していた。これからは体調管理に気をつけて、15日から始まる菅平合宿では個人の意識を高く持って出雲に合わせられるようにしたい」。また、鎧坂は「体調は良くも悪くもなかったが、最初から積極的にいけて良かった。次の合宿が大事になると思う。秋からのリレーシーズンでちゃんと走れるようにがんばりたい」。
 長距離部門はこれでトラックシーズンを終え、ロードシーズンを迎える。明大史上最強とも言われる現在の競走部。照準はあくまで箱根駅伝だが、その前哨戦となる出雲駅伝でまずは上位進出を狙う。今年の箱根駅伝でのシード権獲得をまぐれと言わせないためにも、選手たちはさらなる闘志を燃やす。真の古豪復活を遂げたとき、明大は箱根で最高の輝きを放つかもしれない。