2連覇達成!だがしかし…/全早慶明定期戦

1999.01.01
 今年の東日本大学選手権3回戦、2部の専大に屈辱の敗北を喫した本学。「新しいバレーをつくっている途中」だとそのとき高橋(洋)コーチは言った。秋季リーグへ向け、その“新しいバレー”はどのように出来上がってきているのか、夏の成果が試されるときが来た。

 1948年以来、61年間続く伝統を持つこの全早慶明定期戦。現在、早大と慶大はどちらも2部リーグに属している。唯一1部校である明治は、「夏の間やってきたこと、そして1部で戦ってきたことを試したい」(廣本主将・商4)という気持ちで今大会に臨んだ。結果は昨年同様の優勝。だが、その内容は1部校明治が満足してよいものではなかった。

 当日、じっとしているだけでも汗がにじみ出るほどの暑さだった明大和泉体育館。そんな中最初に行われたのは早大と慶大の試合だ。今春のリーグ戦でも対戦している2校の勝負は、フルセットの熱戦の末慶大に軍配が上がった。

 次に行われたのは明治対早大の試合。“全”早慶明定期戦というだけに、今大会にはOBも参加可能だ。しかし明治の登録メンバーは現役のみ。夏の厳しい練習により負傷した田辺(法3)の不在という例外を除けば、夏の練習の成果をそのまま試すことができた。

 試合が始まると、スタートから明治は3点連続失点。さらに普段ならあり得ない木村(法3)のレシーブミス…。「明治は1セット目が弱いっていつも言われてる」(澤田・商1)というように、不安が募っていく。ばん回は不可能かと思われたその時、レフトの木村に代わり渡邊(裕・政経3)がコートに立った。元来リベロの渡邊の安定性が生き、1点取り返す。さらに今回1年生ながらスタメンだった澤田に代わり、ピンチサーバーの高木(政経3)が登場。サーブでうまく相手を崩し、そこに廣本や松本(文2)の攻撃で連続得点。ばん回し、そのまま最後までいくかと思われた。しかし、20―18で相手が取ったタイムアウト以降また流れは早大へ。23―25でセットを落とした。

 2セット目は大きくメンバーを変えて臨んだ。セッターは内田(法2)から塩田(商2)へ。この変更が功を奏したのか、序盤から点差を広げてリードする。塩田もブロックを決め、佐々木(貴・営2)や廣本のスパイクが相手コートに突き刺さり、連続得点。勢いそのままに2セット目、さらに調子を上げて3、4セット目と、相手を寄せ付けず勝利した。

 次は慶大との試合だ。この暑さの中での2試合連続プレーは体力的にも相当な負担となる。先に2試合連続でプレーしていた早大の選手の中には、暑さのあまり倒れてしまう者もいた。しかし事実上の決勝戦、負けるわけにはいかない。明治はレギュラー固めで試合に臨んだ。対する慶大のスタメンも全員現役。真っ向勝負が始まった。

 1セット目、スタートから好調な本学。廣本や松本、木村のスパイクで次々得点し、ピンチサーバーとして出た青井(商2)の鋭いサーブも決まる。終始本学ペースのまま1セットを取った。しかし2セット目は、序盤から拮抗(きっこう)した展開となる。慶大の1年生、間宮のサーブやスパイク、山本の攻撃に得点を許す。本学も負けじと攻めるが最後は追い上げかなわず21―25で慶大に取られてしまう。

 3セット目、体力が消耗していく中踏ん張らなければならない勝負どころ。序盤ミスが目立ち、流れを持っていかれるか、と思ったその時、「次(点取ったら)走んぞ!」と芳賀(営3)の声が上がった。直後、点を挙げた明治のメンバーはコート内を駆け巡って喜びを表す。これでメンバーの士気が高まった。途中慶大側のミスが目立ったのも味方し、明治が3セット目を取った。4セット目も、観客も驚く廣本の弾丸サーブで勢いづいた本学は、佐々木(貴)、松本の攻撃で連続得点。その後も廣本や佐々木(貴)の攻撃は相手も止めることができず、25-19で明治の勝利。同時に明治の優勝が決まった。

 試合後、廣本主将が選手たちに言った。「とりあえず勝てたけど、セットを落としているようではいけない」。今大会、関(文3)や松本のスパイクの威力が増していた。新しいフォーメーションでも臨んだ。そしてメンバー全員で2試合を戦い抜く体力が付いていた。確実に夏のトレーニングの成果が出ていると言えよう。しかし、明治がいる場所はここではない。「1部という自覚が足りない。“勝てればいい”じゃダメなんで」(廣本主将)。本番の秋季リーグはすぐそこに迫っている。1部という舞台で、明治は春との違いをどのように見せてくれるのか。この日以上の活躍を期待したい。