“予選”だからこそ負けられない明治の戦い/全日本学生選手権・関東予選

1999.01.01
 先日、全日本大学選手権優勝を果たし、真の“大学日本一”となった明治。しかし、個人戦で日本一となることも選手たちの一つの目標だ。その“学生日本一”を決定する全日本学生選手権(全日学)への切符を勝ち取るべく、選手らが関東予選会に出場した。試合は2日間に渡って行われ、新たにダブルス27組、シングルス58名の代表が決まる。6月行われた関東学生選手権の結果などから、明治ではシングルス6名、ダブルス3組がすでに全日学への出場を決めていた。それらの選手も見守る中、数少ない代表の座をめぐって戦いの火蓋が切られた。

 まずは明治から10組が出場した男子ダブルス。激戦区・関東で、どのペアも健闘を見せた。北村・浅川組は3回戦で新人戦ベスト4の干場・秋田組(日大)を破り、代表決定戦へ進出。フルセットの末惜しくも代表は逃したが、「3回戦であのペアに勝てたのは大きい」と自信を付けた。一方、原・笠井組は代表決定戦まで順調に勝ち進み、そこでも2セットを先取。しかし、あと1セット取れば勝ち、という場面で4セット目を奪われてしまう。最終セットも粘るが、9―11で試合終了。初の全日学出場はならなかった。

 そんな中、大塚・柴田組、竹之内・仲田組、松渕・根田組が予選を通過した。中でも特に劇的な展開を見せたのが竹之内・仲田組だ。代表決定戦前の3回戦、駒大の1年生ペア、渡邉・濱口組にセットカウント0―2と追い込まれる。しかし、ここであきらめる2人では無かった。「練習通りやろう」。今までやりこんできた練習、そしてお互いのことを信じ、1本1本慎重に取り返していく。気付けば最終セットのマッチポイント。競り合いながらも、代表決定戦進出を決めた。

 代表決定戦の相手は筑波大の大森・藤本組。今度は順調に2セット先取するも、3・4セット目を奪われフルセットの試合に。最終セット、序盤リードするが相手も負けじと追い上げてくる。ここで負けてはいられない――強い気持ちがプレーに表れたのか、11-8で勝利し、見事代表の座を勝ち取った。「ありがとうっ!!」。その瞬間、仲田の口から感謝の言葉が飛び出した。

 1日目後半から2日目にかけて行われた男子シングルス。明治の選手はほとんどがシード選手となっていた。ほぼ毎年全日学に出場している選手らが、安定した強さを見せ次々に代表を決めていく。シングルスに出場した本学選手21人中10人が、見事予選通過を果たした。

 その中で初の全日学出場を決めたのが豊岡と猪瀬だ。4年生である豊岡は最後の年にして初の快挙を達成。代表決定戦まで進出したのも初めてだったが、日大の飯干に3―1で余裕を見せ勝利。「就職活動や国体予選であまり練習できていなかった」(豊岡)との言葉からは全く想像がつかないくらいの好プレーを見せた。

 一方、明治選手の中で一番最後まで試合が続いた3年生の猪瀬。「(代表の座を)狙ってた」と話す。組み合わせが決まってからは、この予選に向け規定練習以外でも積極的に練習をしてきた。そして4回戦、代表決定戦では大正大のカットマン、佐々木と対戦。セットカウント1―1から3セット目を奪われ1―2と後が無くなるも、ドライブとストップで相手を翻弄(ほんろう)し1本1本着実に得点していく。ベンチや観客席に集まった明治の選手たち全員の声援を受け、猪瀬も点を取る度ガッツポーズし大きな声を上げた。結果はフルセットでの逆転勝利。予選通過を果たした猪瀬を、応援していた選手ら全員が喜びの声で迎えた。
 明治からは毎年多くの選手が全日学に出場する。選手層が厚いと言われる明治では、当たり前のこと――なのかもしれない。しかし、今大会終了後に選手たちから出た言葉は、「相手に早くミスってもらうことを願うだけだった」(大塚)、「サーブ出すときも手が震えてた」(柴田)、「びびってた」(松渕)、「緊張して自分のプレーが出来なかった」(川上)、というもの。はたからは楽勝そうに見えても、選手たちの内心はそうではない。いつも“常勝明治”の名の下に戦っている選手たち。だからこそ重くのしかかる重圧がある。相手との戦い、自分との戦い…簡単では無いが、乗り越えていくしかない。予選は終わった。本番の全日本学生選手権では、どれだけの選手が自分との戦いにも勝利を挙げることができるのか。彼らの活躍に期待したい。
 

<試合後のコメント>

平屋主将
「今までで一番緊張した。1・2・3年のとき予選通ってるし負けたくなかった。まず予選通らないといけないので。毎年4年生で落ちる人がいたから…。ちゃんとやってきて良かった。全日学の目標は、ダブルスは本当にランク以上。いつも本選あんまりだったけど、林とのダブルスも最後なんで。シングルスもランク。」

大塚
 「今年で最後なので、今までずっと予選通ってきたし今回負けるわけいかなかった。1、2セット取れても3セット目意識しずきちゃって…。自分としてはお願いだから早くミスって、みたいな気持ちで試合してたから、勝ってホッとした。夏の間は国体予選とかがあったので、試合の感覚はあった。全日学では今まで勝てそうで勝てなかったので、自己最高記録更新のベスト16が目標。最後なんで、負けてもいいかなっていう楽な気持ちで取り組みたい」

柴田
 「今日いい試合できてなかった。でもそこは明治っていうオーラ出して気合で。サーブ出すときも手震えてて…でもそれはいい緊張。結果がついてきたし。全日学ではダブルスもシングルスもランク入りしたい。その前に9月はリーグ戦もあるので頑張ります」

豊岡
 「初めて決定戦まで行った。全日学も初めて。就活とか国体予選で練習できてなかったんですけどね。実家では練習したりしてたけど。全日学では1回勝つことが目標。そうすると泊まれるらしいので」

猪瀬
 「(代表を)狙ってた。自分の思い通りにできた。組み合わせが決まってから、ちょっと積極的に規定練習以外にも練習してきた。全日学では1回勝ちたい」

遠藤
 「決定戦の相手は専大のレギュラーだったから楽勝でもなかった。でも自分の思い通りにできた。全日学での目標は、去年ベスト32だったのでベスト16」

竹之内
 「ダブルスでは2人で1本1本結構話し合った。そしたらいい流れになった。ダブルスは信頼し合わないといけない。自分も仲田の力がなければできなかった。相手が年下だったから絶対負けたくないっていう気持ちはあった。シングルスは軽部がいいアドバイスをくれた。全日学での目標はランク入り。それが大学入ってからの目標でもあるので」

仲田
 「竹之内のおかげ。サーブレシーブとか練習やり込んだんで。(駒大に先に2セット取られたときは)練習通りやろうって話して。ダブルスは全日学ランク取ります」


 「力のあるボールはいいけど細かいことが出来ないダブルスなので、パターンとか細かい技術を練習してきた。試合の内容は良かった」

松渕
 「ダブルスはあんまり練習してなかった。かみ合わない部分もあったけど、試合は良かった。大事な所は2人で話し合って。シングルスは勝ってホッとした。予選は通過点なんで。そこをちゃんとできて安堵(あんど)してる。決定戦はビビってた。でも練習してきたし、最後は自分が勝つっていう気持ちでできた。全日学では単複ランク目指して頑張ります」

北村・浅川
 「3回戦の相手が結構強い相手だった。そこに勝って油断した部分があった。でもそこに勝てたのがすごい」

川上
 「緊張した。自分のゾーンがいける場所だったから。自分のプレーができなかった。予選には、規定練習以外に走ったりトレーニングして臨んだ」

根田
 「ダブルスはあんまり練習してない。余裕で予選突破する気でした。試合は良かった。全日学はランク目指して頑張ります」