強豪明治復活!インカレ11年ぶりの優勝を果たす/全日本大学選手権
まさに屈辱の敗戦だった――。さかのぼること3カ月、春季リーグで明治は最終戦を全勝で迎えた。しかし、すでに1敗していた早大にまさかの敗戦を喫し、目の前で「優勝」という2文字を攫(さら)われてしまう。この敗戦後、高山監督は早大の選手と談笑する明治の選手たちを見て「負けた相手とヘラヘラしながら会話できる神経が分からない」と珍しく強い口調で選手たちを詰(なじ)った。しかし、日を経るにつれ選手たちの心に染み渡ってゆく春季リーグでの屈辱。インカレ直前取材では「春は負けているから、インカレでは負けられない」と口にする選手たちが印象的であった。その表情はみな真剣で、目には強豪明治としてのプライドが宿っていた。
そして迎えたインカレ本番。予選を難なく突破した明治は、予選リーグから全試合ストレート勝ちで決勝まで進んだ。決勝の相手は予想通り鬼門の早大。明治の1番手は日本が誇る若きエース水谷。対する早大の1番手は、今年の関東学生選手権を制した笠原だ。
試合が始まると、水谷にしては珍しく強いボールをハイペースで打ち込み笠原を攻め立てる。さらに、普段闘志を余り表に出さない水谷が、雄叫びやガッツポーズを何度も見せると、明治ベンチのムードは一気に上昇する。最終的にセットカウント3-1で水谷は勝利。2番手は今大会明治の主将に抜擢(ばってき)された池田(法3)。池田は、緩急をつけて終始相手を翻弄(ほんろう)するが、終盤に粘りきれずフルセットの末にカットマン御内に敗れてしまう。
そして3ゲーム目、優勝へのターニングポイントとも言えるダブルス。「このインカレでダブルスが一番大事だと思っていた」(水谷)というだけに、この夏かなりの練習量を積んできた。水谷・甲斐組に対するは、春季リーグで敗戦を喫した笠原・足立組だ。1セット目はデュースに持ち込まれるものの、2セットを先取。1点取るごとに声を出し、2人でガッツポーズを交わす。これまで以上にダブルスらしい一面を見せる2人。しかし、勝利を目前にしたところで緊張が出たのか、3セット目は4点しか取れず敗北。流れが傾きかけたこのタイミングで水谷が、焦りの見えてきたパートナーの甲斐に声を掛けた。――この意思疎通が功を奏し、4セット目はダブルス本来の力でゲームを制した。
4セット目、このセットを取れば優勝が決まる。軽部の雄叫びとともに打ち込まれるスマッシュが決まる度、ベンチからの声援が大きくなってゆく。10‐3のマッチポイント、高岡のレシーブが外れた。11年ぶりの歓喜の瞬間は、意外にも静かなものだった。
現状に満足しない“秋のメイジ”はリーグ戦でも必ずや頂点に立ってくれるだろう。
☆試合後のコメント☆
兒玉総監督
「ミーティングでは、折れない気持ちを持たせるために、“勝負脳”を伝授した。勝つときはぶっちぎり、負けるときでも一点でも多く取るように言った。11年前に優勝した時と比べても、総合力は断然今年のほうが上。秋に向けてのモチベーションは問題ない」
高山監督
「隼には本当に救われた。オーダーを決める時も度々相談したが、ドンピシャだった。早稲田は逃げずに真っ向勝負で挑んできてくれた。大学3年の時にインカレで優勝したが、今のチームのほうが強い。強化すべきところをしいて挙げるならば、ダブルスのさらなる強化と軽部の体力向上」
倉嶋ヘッドコーチ
「春負けた次の日からインカレに向けてスタートした。“絶対優勝”というプレッシャーの中で選手たちは苦しかったと思う。厳しい練習もさせたし、不安もあっただろうけど選手はよくやってくれた。苦しい練習をしてきたので必ず優勝する、という気持ちが選手のプレーや行動に現れていた。水谷を軸に池田、軽部が普段通りの実力を発揮してくれた。甲斐もすごく練習して成長しているし、技術面だけでなく心の部分も成長した。来年青森大がいる中で優勝し、真の1位を見たい」
池田
「今回は主将を経験できてよかった。来年にもつながっていくと思う。秋も気持ちを強く持ってどんどん攻めて優勝したいと思う」
軽部
「今回は大会通して調子は良くなかった。入りの1セット目はやはり決勝ということもあり緊張して落してしまったが、相手もプレッシャーは重かったと思う。前回高岡さんには負けていたのでリベンジという気持ちでやれた」
甲斐
「リーグ戦以降ずっとダブルスの練習をしてきた。その成果が今大会出せてよかった。秋の大会に向けて今大会のビデオを見て欠点を探して修正していきたい」
水谷
「春負けて、みんな絶対優勝っていう気持ちがあったので勝ててよかった。インカレではダブルスが一番大事だと思って、一番練習してきた。決勝では終始自分のペースで試合ができた」
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