“明大のカットマン”定岡が攻める!!/関東学生選手権

1999.01.01
 今年、世界選手権横浜大会で、水谷(政経2)・岸川(スヴェンソン)組が日本男子勢12年ぶりの銅メダルを獲得したことは、すでに周知の事実だろう。その12年前、マンチェスター大会で同じ快挙を成し遂げていたのも、他でもなく明大OB、松下浩二氏(平2文卒)・渋谷浩氏(平2営卒)のペアだった。
 松下・渋谷両選手の戦型はカットマン。ひたすらカットをひいて相手のミスを誘うパターンが多かった時代に、カットで機会をうかがい、甘い球には積極的に攻撃へ転じる今日のカットマン像を築きあげた立役者は、彼らだといえる。そんな先輩方の確立した攻撃的なカットマンのスタイルで、各校の猛者に挑む選手が今、明治にも1人――定岡だ。

 抜群の安定感を誇る部内唯一のカットマン、定岡。団体戦でレギュラーになることも難しいといわれる明治で、今年、リーグ戦初出場を果たした。惜しくもそこで初白星とはならなかったが、続く今大会、関東学生選手権では見事な活躍を見せた。 総勢570名の選手が集い、関東の学生ナンバー1の座を争うこの大会。ノーシードから勝ち上がった昨年に続き、定岡はシングルス2年連続のベスト16入りを果たした。

 昨年の同大会の成績が考慮され、シングルスはシードで4回戦からの出場となった。大会初日にダブルスで敗れたものの、「大会中は試合ごとに調子が上がっていった」というように、2日目のシングルス4、5回戦は、相手を寄せ付けず快勝した。

 ランク入り(ベスト16)の懸かった6回戦、難敵埼玉工大の伴との1戦でも、長身から繰り出す重たいカットと鋭い反撃で相手を翻弄(ほんろう)。終始有利な展開で試合を進める。しかし、2-1で迎えた第4セットでは、マッチポイントを握ってから相手に連続得点を許し、デュースに持ち込まれるという場面も。そこで最後に勝負を決めたのは、やはり磨いてきた“攻撃力”だった。追いつかれてもなお自分のプレースタイルを崩さず攻め続けた定岡に、最後は相手が根負け。見事、ベスト16入りを決めた。必死にボールに向かってゆく定岡のその姿には、執念さえも感じられた。

 難敵を冷静にさばき、自身初のベスト8を懸けて7回戦で挑んだのは早大のエース笠原。2年生ながら今年の春季リーグ戦で個人賞を総なめした実力者だ。定岡は、長い手足を生かした粘り強いプレーで相手に食らいついていく。しかし攻略の糸口はつかめず、「相手の方が1枚上手だった」と健闘むなしくストレート負けを喫した。

 試合後、「大会の目標は最低でランク入りだったので、それを達成できたことには満足してる。でも最低条件をクリアしたにすぎないので、まだまだこれから」と話し、あくまで控えめな彼。しかし、偉大な先輩方に続くプレースタイルを生かし、2年連続のランク入りを果たしたことは、定岡に大きな収穫をもたらすだろう。今後の目標を尋ねると、「ランク入りの懸かったベスト32と16はもちろんのこと、ベスト16と8の差も大きいので、来年はさらに上が目指せるように練習を頑張りたい」とさらなる上位進出に意欲を見せた。その朗らかな笑顔の奥には、次を見据える熱い闘志がみなぎっているに違いない。

 数々の強豪を退けてきたその攻撃力は、どこまで飛躍を続けるのか。定岡の活躍に今後も目が離せない!

◆定岡恭平 さだおかきょうへい 商3 実践学園高出 186cm・87kg