
前期、笑顔で締めくくれず/矢野杯東日本学生個人選手権
各校の猛者相手に、本学部員が一人、また一人と姿を消していく中、ルーキーの平松が健闘、昨年1回戦負けを喫していた神田は大躍進を見せ、また矢島が昨年に引き続きそれぞれ16強入りを果たした。「調子は悪くなかった」と語る後山は、今大会頂点に立った強豪・浜田(中大)を相手に惜敗。「相手との差はほとんどなかった」(後山)と納得のいかない様子を見せたが、堂々の8強入り。
最後に残ったのは、本学のエース・尾川主将。団体戦でこそ圧倒的な強さを見せる主将だが、意外なことに個人戦はいまだにタイトルがない。今回こそはと期待が懸かっていた。
尾川主将は2、3回戦、圧倒的な強さを見せ勝利を重ねる。じわじわ相手をマットの端へ追い詰め、ここぞという時に放たれるするどい拳は、確実に相手から得点を奪う。尾川主将の拳を避けるように、マット上を動き回る相手をにらみつけ、次第に自分のペースに相手を引き込む姿は、格の違いすら感じさせる。「尾川先輩、ファイトです!」後輩部員から声援が送られる中、「応援は力になる」と話す尾川主将は途中危ない場面もありつつも、機転を利かせ冷静に対応し着々と勝ち上がる。
そして迎えた準決勝、相手は昨年の同大会の覇者、安田(早大)。多くのギャラリーが見守る中、お互いに拳を交わし合って始まった試合は、序盤から硬直状態が続く接戦となった。試合も後半に差し掛かろうとした時、一瞬のスキを突いて放たれた相手の胴蹴りは目にも止まらぬ速さで尾川主将の胴を見事にとらえた。もう時間がない。尾川主将はここから、怒とうの反撃を見せる。しかし攻撃の手数は増えたものの時間は刻々と過ぎてゆく。制限時間残り40秒、入った!と思った拳に、審判の旗は上がらない。残り10秒、もうだめだとあきらめかけた瞬間「やられたら、やりかえしたくなる」(尾川主将)。主将の蹴りが相手の胴を突き、そのままポイント1-1で延長戦へ突入する。“この流れなら、もしかしたら・・・”誰もがそう思ったに違いない。しかしそんなに勝負の世界は甘くなかった。相手を蹴りに行った足を逆に相手に取られ、押し倒される。相手の押え胴突きで試合は終了。試合後腕を組んで立ち尽くす尾川主将の後姿には、悔しさがにじんでいた。
この後行われた3位決定戦。先制点を許すも最後は思い切り振り下ろした左の拳が相手の面を鋭くとらえ、見事逆転勝利。尾川主将の3位が決まり、同時に明治の拳士たちの2009年前期の試合もすべて終わった。盛り上がる順位決定戦の脇には、黙々と練習にいそしむ本学選手の姿があった。その目はすでに後期でのリベンジを見据えているようだった。
今大会を終え本学はオフ期に入るが、今日の悔しさをバネにこの夏、チーム一丸となって最大の目標であるインカレ優勝に向け練習に励んでほしい。
~試合後コメント~
・尾川主将
「今回は優勝できると思っていたが、だめだった。負けるときはそんなもの。悔しいが終わってしまったことはしょうがない。個人戦は団体戦と比べて仲間がいない分モチベーションも上がらない。自分はキャプテンなので、自分個人よりも拳法部全体で見て、今回の大会は、よかったと思う。いつもは1回戦で敗退してしまう選手も多いが、今回は2・3回戦までほとんどの部員が進めていたので、安心した」。
・後山
「調子は悪くはなかった。今日、だめだったところは負けたこと。相手との差はなかったから納得できない。取りが不十分だったのでそこを中心に練習していきたい」。
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