(1)6月の花嫁の悩みの種

(1)6月の花嫁の悩みの種
 <思い切り愛されたくて駆けてゆく六月、サンダル、あじさいの花>さりげない6月の日常を描写した俵万智の短歌である。解釈はひとそれぞれだが私には長雨によるじめっとした重苦しさと、軽快に跳ねるサンダルや幸せそうな女性の対照的な情景が目に浮かぶ。ひょっとすると幸せそうにはしゃぐ彼女はジューンブライド(6月の花嫁)なのかもしれない。

◆諸説あるが、ローマ神話のジュピターの妻であったジュノーが結婚生活の守護神であり、6月の英語名juneがジュノーの名から取られたことから、6月に結婚した花嫁は幸せになれるということらしい。梅雨のこの時期、結婚式を控えた花嫁を毎年のように悩ませるのは雨であるが、今年の悩みの種はそれだけではなさそうだ。

◆「今月友人の結婚式が海外で催されるのですが大丈夫でしょうか」現在全世界で流行の兆しを見せている新型インフルエンザの影響で列席者からは不安の声が上がっている。厚生労働省は「流行地への渡航、人込みや繁華街への不要不急の外出を控えること」としているが、結婚式ともなれば話は別だ。万一感染者が列席すると、式の性質上大人数が一度に密集することや、披露宴中にマスクができないことから、二次感染の危険性は高まる。

◆体調に異変を感じる者は、この程度ならと高をくくっていてはいけない。6月の花嫁の幸せを願って式を欠席する勇気も必要だ。世界中で雨が降っている今だからこそ自を固めることが要求される。